about : "ZERO" experience

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それは、2003年、12月 23日の事だった。
聖夜の準備も忙しいその夜、私は笑顔を引き攣らせながら
零〜赤い蝶〜のプレイに興じていた。

プレイは既に終ノ刻、明らかに終末が見えていた事もあり、
明日の仕事を顧みる事なく、終末へ向けてひたすらつき進んだ。

そして、12月 24日 午前 0:30分頃、無事終末を迎えた。
救われない姉妹の終いに唖然としつつ、私は床に就いた。


妙な圧迫感にどうも寝つきが悪く、寝付いたのかどうかも分らない、
そんな感じでいると、突然、何かが私に触れた。

仰向けに寝ている私の胸を強くまさぐる様な感覚。
恐怖に慄きつつ、声を上げて右腕でその感覚ごと振り払おうとした。
しかし、掛けていたふとん以外の重みもなく、腕は虚空を泳いだのみ。

そして目を開けると、光の様な、強い光を見た後の残像の様な、
得体の知れない者が私の目に映った。
人といえば人と言えなくはない。いうなればシーツを被った人の様に
頭と体がはっきり区別できないが、胴体と腕は、識別できた。

呆然と見つめていると、その者は私が寝ているすぐ脇の机の中に、
すぅっと消えていった。

その後別に何ということもなく日々を過ごし、
その者が消え入ったこの机に向かい、この文を書いている。
−以上−

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