about : CAN-2

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 私は学生の頃、液体窒素が好きでした。

 あの冷たさ、いやさ、熱さが好きでした。
 あの、液体窒素で冷やしたチョコが好きでした。
 あの、液体窒素で冷やした靴のひんやり感が好きでした。
 あの、ぶちまけると気化してさっと広がる様が好きでした。

 といった具合に、本来実験に使うべき液体窒素で如何に楽しむか、
これは理科系の学生にとってとても重要な事なのです。
 しかし同じ冷やすにしても、これを液体ヘリウムでやると、何かと
大変な事になりますので注意しましょう (先生にでも聞いてみて下さい)。

 それはさておき、私が感銘を受けた窒素遊びをご紹介しましょう。

 適当な空き缶を用意します。そしてその中に液体窒素を注ぎます。
すると、缶の表面に次のような変化が起こります。
  1. 缶の表面が結露する
  2. 缶の表面が凍る
  3. 缶の表面が結露する
とりあえず 2までは誰でもご理解いただけるものかと思います。
ご存知の通り、液体窒素は約 -200℃。缶の表面が結露→凍るのは
至極当然です。では、3はどういうことなのか? 別に窒素の温度が
上がった訳ではありません。しかも 3で結露した液体はとても冷たく、
体に付くとドライアイスを触った時のように熱く感じます。

 しばし考えて気付きました。3で結露したのは空気中の窒素なのです。
空気の成分の 70% は窒素ですし、液体窒素の温度付近であれば、
缶の表面に結露するのも頷けますし、体に付いて冷たいのも納得です。
考えてみれば当たり前の事なのですが、水(主に水を成分とする液体)
以外のものが液化する所を見る、という経験が無かった当時の私には
とても不思議な思いでした。理論では沸点付近でモノが液化するのは
解かっていたんですけどね。

 経験しなけりゃ分らない、なんて歌の歌詞が良くありますが、まさに
そんな感じです。ただ知っている、とうだけではダメなんだな、そう
思いしらされたものです。

−以上−

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