宗政報告No9(2004年3月31日)
宗政調査委員会の報告 |
3月25・26日と今年度最後の宗政調査委員会が開かれました。今回は、前回に引き続き教育基本法「改正」問題と、三派で協議を重ねてきた選挙制度についてお知らせします。 ◆教育基本法「改正」問題についての宗務総長の見解の確認 先月24・25日、全国正副議長協議会が開催された折、宗務総長に対して、全日仏が推し進めている教育基本法「改正」問題についての質問が出され、総長は、「基本法第9条の宗教教育に関する条文改正には賛成」と答弁されたと伝え聞いています。 もし、そのことが間違いないとすれば、前号No8でお伝えしましたように、安原参務が教育基本法「改正」反対を表明されており、明らかに内局不一致ということになります。 なお、前出の協議会で、仙台の諏訪議長が中心となって、その他に山形・大聖寺・四国そして仙台の各正副議長8名が呼びかけ人となり、全日仏の動きに反対を求める要望書を内局に提出することを提案。50名の出席者の内、30名が賛同の署名。全日仏の常務理事教団である大谷派として、明確に反対の意思を表明することを求める要望書を総長に手渡したそうであります。全国30教区の教区会の正副議長のうち、30名が署名したことは大変重いことといえるでしょう。 前回の宗調から、以上のような動きがあったものですから、改めて総長の見解を確認する必要を感じ、25日の午前中の総会で質問いたしました。 まず、30名の正副議長から出された要望書をどのように受け止めておられるか。また、教育基本法「改正」について、現在いかなる見解に立っておられるのか。そして、全日仏に対してどのように対応されるのかを、何度かのやり取りの中でお聞きしました。 ◆「改正」に賛成ではないが、全日仏に対して反対は表明しないとの、総長答弁 総長のお答えは、現今の宗教教育の問題性を指摘しながらも、同時に平和憲法を改悪するようなことには、くみしないと、11月に確認した時とは異なり、総体的には「改正」には賛成できないという認識を披瀝されたが、全日仏に対する対応については、いままでのいきさつから、反対するつもりはないと言及。 このうえは、議会で教育基本法「改正」反対決議を取りつけるしか、内局の方針を変える事は無理なように感じます。というより、そのことこそが、内局がまた、欲していることではないでしょうか。 ◆選挙制度改正に向けての三派協議会、合意を見いだせず まず、選挙制度改正問題について、如何なる内容であり、これまでどのような経緯をたどって来たのかを確かめてみましょう。 問題になっているのは、宗議会議員の選挙権は有教師にありますが、その被選挙権、並びに教区会議員の選・被両権、そして組会の会員権はすべて住職にしかということであります。果たしてそのことが、同朋公議を宗門運営の基本方針として標榜する教団にとって相応しいのか、また、宗門の活性化・女性の宗政参加を目指す上で、問題はないのかと問われています。その中でも、今回特に問題としているのは、宗議会議員の被選挙権についてであります。 この問題は、1995年の宗議会常会で取り上げられて以来、2000年の常会まで毎年、本会議で取り上げられて来ました。また、98・99年の宗政調査会の制度機構専門委員会でも課題とされ、そこでは「宗議会の被選挙資格を全ての有教師に開く必要がある」と結論づけています。 それらを受けて、2000年9月には、「宗議会等の選挙制度に関する検討委員会」が設置され、翌年3月30日に、当時の木越総長に「住職(主管者も同様)・前住職・代務者・責任役員・候補衆徒・副住職は被選挙資格を有する」と、拡大することが望ましいと報告しています。 そして、その年の常会で、同様の趣旨の改正条例案が、グループ恒沙と真和会との合同提案として議員提案されますが、不可解なことに興法議員団の多数の反対によって廃案となりました。上記、報告は興法議員団主導でまとめられたものであったにも関わらずであります。 そして、2002年常会で、ときの三浦総長は、2005年の宗議会議員選挙は改正された選挙条例で行いたいという方針を表明。それを受けて、三会派で、自主的に選挙制度協議会を設置。メンバーは、興法議員団から、吉田・安藤・江尻・大橋の各氏。真和会からは、河野・菅原の両氏。そしてグループ恒沙からは、藤島氏・藤内であります。途中で、興法議員団の吉田・江尻両氏が、里尾・寿台両氏に、そしてグループ恒沙の藤島氏が三浦氏に変わりましたが、一年半以上の協議を重ね、なんとか三派で議員提案できるように合意点を模索しましたが、それが無理であることがはっきりしたということです。 ◆三派の各々の主張 興法議員団の改正条例案は、所属寺院(教会)の住職(主管者)の認定を得た有教師に宗議会議員の被選挙資格与えるというもので、住職(主管者)に立候補せんとする教師が相応しいかどうかを認定する権限を持たせたいというものであります。 真和会は、選挙制度検討委員会報告とほぼ同様の寺院(教会)の役員に拡大しようとするものです。 我々グループ恒沙は、全ての有教師に被選挙資格を開くというものです。 われわれは、教師条例並びに僧侶条例から、教師には宗門を荷負する責任と義務があり、さらに、公議公論を運営の柱とする宗門であろうとする限り、本来有教師には被選挙権が付与されるべきと考えます。 一方、興法議員団は、現在、経済的負担を具体的に担っているのは住職(主管者)であり、権利・義務の観点から住職(主管者)には、特に権限を与えるべきであり、立候補しようとする所属教師が、被選挙権を有するに相応しいかどうかを認定する権限を付与しようとしています。 もし、大幅に譲歩して、興法議員団案の住職の認定権を受け容れるとしても、そのときには、認定が拒否された場合、その拒否が妥当かどうか判定する方途が確保されていないことには、条例として欠陥と言わざるを得ないでしょう。住職の恣意により、認定を拒否された教師を救済する条項なしでは、決して賛同できるものではありません。 なんとか合意できる改正案はないかと協議を重ねましたが、各派の主張の溝は狭まらず協議会は、各派の主張を確認して解散しました。 われわれは、長年、宗門課題として検討と協議が積み重ねられて来たこの問題を、中途半端な条件を付して、改正の趣旨も願いも曖昧にしてしまう妥協の産物で決着させてはならないという思いがあります。このうえは、この5月に招集される常会で、宗議会議員被選挙資格をすべての有教師に開く改正案を、グループ恒沙以外にも賛成者を募って、できるだけ多くの議員で議員提案したいと我々は考えています。 |