宗政報告No.8(2004年2月9日)


宗政調査委員会の報告
2月3〜5日にかけて、宗政調査委員会がありました。
宗政調査委員会というのは、年間5回ほど開催され、教学・制度機構・財務、そして、同朋社会推進の各専門部会に分かれています。議員は、一年毎に、いづれかの専門部会に所属し、各部門における宗門の問題点・課題等について調査し、その克服にむけて講ずべき方途について研究をするわけです。
昨年は、組織機構専門部会に属しましたが、そこで現在、宗務改革委員会の課題の一つとなっている大教区・小教化区制の提案を部会として行いました。今年は、財務専門部会なのですが、御依頼の基準となる門徒戸数調査について検討を重ねています。



《 教育基本法「改正」問題についての研修会 》

前回の報告(宗政報告No7)で、同和委員会から全日仏に要請書を提出することは、無理だったのですが、議長斡旋で、全議員を対象にした教育基本法についての学習会を持つことになったということまではお知らせ致しましたが、その学習会が、2月3日の午後1時30分から議場で開催されました。議員の他、宗務役員の部次長も聴講しました。
講師は、高木英明師。現在、兵庫大学特任教授兼学長補佐を勤められていて、前光華女子大学長でもあります。
内容についての賛否を云々せず、中立の立場でお話願いたいという依頼があったようで、師自身の率直なお考えをお聞きすることが出来ず、残念。
教育基本法の制定経過や制定趣旨・中教審の議論と答申の概要等について述べられました。
とはいえ、答申については、教育基本法は準憲法と言うべき性格のものであるにもかかわらず、改正を答申するには、その手続きがあまりにも不備と厳しく指摘。
また、あとの質疑の時間に、「中立の立場を捨てて、先生ご自身のご意見として、いま、何故「改正」なのかということについて教えて頂きたい」と、質問すると、「憲法改正を目指している保守勢力が、その前段階としての基本法改正の機は熟したと見たということでしょう」と、明解にお答えいただき、このお答えを聞けただけでも、この日の研修会を持った甲斐があったと思いました。


《 再度、全日仏への要請書提出へ 》

3日の高木師の講義を受け、護憲か改憲かの視点で「改正」問題をとらえ、執行部人事が一新された全日仏に、要請書(資料ー1)を作成。翌4日、興法議員団と真和会に署名を呼びかけました。その時、イラク派兵即時中止・撤退(資料ー2)署名も合わせて求めました。真和会は、二つの署名をともに拒否。興法議員団は、イラク派兵反対署名は、一部修正を経て、28名の方が署名しましたが、不可解なことに基本法「改正」反対に関しては、一人の署名もなかったということです。
昨年9月12日の全日仏への要請(宗政報告No6の資料ー1)には、18名の興法議員団の方が署名しており、さらに今回は高木師の講義を聴講してのうえでのことでありながら、どなたの署名もないということ。これは、いかにも不可解というしかありません。もっとも、全く思い当たることがないわけではありませんが、こんな重大なことを憶測でコメントすることはひかえたいと思います。


《 安原参務、基本法「改正」反対を表明 》

最終日の5日の午後に、議員総会があり、そこで、新しく全日仏の常務理事に安原参務、理事に藤田議長がそれぞれ就任されましたので、お二人が基本法「改正」についていかなるスタンスで、全日仏の中で関わっていこうとされているのかを尋ねました。
それに対して、安原参務は、「改正の動きは準備も盤石で、強固なものであり、手強い。すぐにというわけにはいかないが、反対していきたい」と、内局として、はじめて反対の意思を表明されたことは、大変大きい。反対の意思を具体化し、展開されるよう、今後の趨勢を注視していきたいと思います。しかし、そのうちなんて悠長なことは言っておれない状況であることは、肝に銘じなければならないでしょう。その上からも、会派を越えて、議会が一つになって、内局を支えるべきだと思うのですが。

各教区で、教育基本法「改正」反対にたって、署名運動が展開出来たらいいですね。
まず、仙台教区から、やってみたいと思います。


《 御影堂仮設素屋根工事請負業者選定 》

ここのところ、基本法「改正」問題を中心にご報告していますが、いよいよ今月から、御影堂に設ける素屋根工事が始まります。その請負業者が、厳選な選定方法により、下記のように選定されました。
     業者名:大林組      請負金額:21億9千4百万円
     工  期:2004年2月〜12月  
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[資料ー1]

教育基本法「改正」に向けての運動の即時撤回を要請する

 この度、執行部人事を一新され、新たに歩みだされている貴会に、標記運動について、是非再考され速やかに撤回されんことを強く求めます。
 政府・与党は、今国会での教育基本法「改正」(案)の提出を見送ったようですが、「改正」を諦めた訳ではなく、決して予断をゆるされる状況ではありません。
 ところで、貴会の、いじめ・不登校そして学級崩壊等の教育荒廃や少年犯罪の増加を憂い、宗教者としての大いなる自責の念から、宗教教育によって問題状況の打開を果たしたいという想いは理解できます。
 しかし、その真摯な願いが、教育基本法「改正」の流れの中に組み込まれ、利用されるということに思いをいたすべきではないでしょうか。
 教育基本法「改正」を目論む人びとの中には、色々な立場や思想の方々がいます。ある端的な例として、2001年11月5日のシンポ「教育改革のめざすもの」で、中曽根元首相は「憲法改正は10年以内にできるだろう。教育基本法は、その根を作る意味で、憲法に先駆けて改正しなければならない」と発言しております。このように教育基本法「改正」を憲法改正の露払いとして位置づけている多くの人びとがいます。
 我々は先の戦争で、アジア諸国を含む多くの人びとに惨禍をもたらし、その懺悔に立って、世界に類のない平和憲法を手に入れました。世界の平和を希求する仏教徒として、平和憲法を葬り去ることにつながる運動の即時中止・撤回をここに強く要請するものであります。

 2004年2月5日

(財)全日本仏教会理事長
    里 見 達 人 殿
                                   真宗大谷派宗議会議員

                                  釈 氏 政 昭   篠 田   穣
                                  新 羅 興 正   高 橋   悉
                                  寺 永  哲   長 野 淳 雄 
                                  藤 内 和 光   藤 島   恵
                                  藤 森 教 念   三 浦   長
                                  森 島 憲 秀
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[資料ー2]

自衛隊のイラク派遣即時中止・撤退を要請する

 1月31日未明、政府・与党はイラク派遣承認案の衆議院強行単独採決を行い、陸上自衛隊本隊をイラクに派遣いたしました。このことは、イラク復興支援・国際貢献の美名のもとにアメリカが行った戦争を正当化することに他なりません。
 わが国は、アジア諸国をはじめ多くの人々に惨禍をもたらした先の戦争の懺悔に立ち、世界に類のない平和憲法を手に入れました。いま、復興支援のためと強弁し、明らかに戦闘地域であるイラクに、重火器を装備した自衛隊を派遣することは、平和憲法をなし崩し的に空洞化する行為であると言わざるを得ません。
 歴史に学ぶ時、武力の行使は、戦闘員のみならず、一般市民の多数の犠牲を必然し、敵味方を問わず大きな悲しみをもたらすものであります。人間のいのちを軽んじ他を抹殺して止まないすべての武力行使は決して認めることができません。私たちは、親鸞聖人の教えに聞く宗教者として、自らが犯した過ちを心に刻み続け、思想信条・宗教・民族・国家等のあらゆる違いを超えて、世界の人々と「世の中、安穏なれ」との願いを共有し、武力に頼らない「兵戈無用」の世界の到来に力を尽くして参りたいと念願するものであります。
 貴職におかれましては、すみやかに、自衛隊のイラク派遣を中止・撤退し、平和憲法を有する国の指導者として、とりうるすべての平和的手段を尽くし、アメリカが引き起こしたこの度の戦争を乗り越える方途を講じられることを強く求めるものであります。

2004年2月5日

内閣総理大臣
 小 泉 純 一 郎 殿
                                     真宗大谷派宗議会議員有志
                                               39名署名