「ね。喰べよう。お喰べよ。僕は紺三郎さんが僕らを欺(だま)すなんて思わないよ。
そして二人は黍団子をみんな喰べました。そのおいしいことは頬っぺたも落ちそうです。狐の学校生徒はもうあんまり悦んでみんな踊りあがってしまいました。
キックキックトントン、キックキックトントン。
「ひるはカンカン日のひかりよるはツンツン月あかり、
たとえからだを、さかれても狐の生徒はうそ云うな。」
キックキックトントン、キックキックトントン。
「ひるはカンカン日のひかりよるはツンツン月あかり、
たとえこごえてたおれても狐の生徒はぬすまない。」
キックキックトントン、キックキックトントン。
「ひるはカンカン日のひかりよるはツンツン月あかり、
たとえからだがちぎれても狐の生徒はそねまない。」
キックキックトントン、キックキックトントン。
四郎とかん子もあんまり嬉しくて涙がこぼれました。
笛がピーとなりました。
『わなを軽べつすべからず。』と大きな字がうつりそれが消えて絵がうつりました。
狐のこん兵衛がわなに左足をとられた景色です。
「狐こんこん狐の子、去年狐のこん兵衛が
左の足をわなに入れ、こんこんばたばた
こんこんこん。」
とみんなが歌いました。
四郎がそっとかん子に云いました
「僕が作った歌だねえ。」
雪渡り 其の二(狐小学校の幼燈会)最終編
****** 雪渡り ******
其の二(狐小学校の幻燈会)
〜四幕〜
