おまけのページ その44

    (C) 2005 HEPAFIL


    あなたにとって首輪とは何ですか?

    ぼくにとって首輪とは、自分の存在を証明するための何か、
    社会の一員として名誉ある地位を占めたいと思う、
    そのための何か、誇り高きもの
    ・・・とまあ、そんなところかな。

    きみはまさかぼくが、首輪を自分の自由を拘束する何かだと思って、
    ぼくがなんとかして首輪をはずして
    逃げ出そうとしているなんて思ってやしないよね?

    きみがもしステレオタイプの考えを好み、
    人間と共存する一般的な犬に、
    「鎖につながれた犬」というイメージを
    あてはめるのが好きな人だとしたら!

    そんなこと、ぼくはとても想像できないけどね。


    だって、考えてもみてよ!

    きみがもし王様みたいに、朝から晩まで何も働かずに寝てばかりいて
    夕方になればとりあえずご飯をもらえる、

    気が向けば頭をなでてもらったり、たまには入浴もできる、
    時折はおいしいお菓子だってすみの方をもらえる、
    集金はないし、支払いの請求もない、家賃も水道代もない!

    こんな快適な暮らしを捨てて、ホームレスの犬になりたいと思ったりするかい?

    首輪は、ぼくが家庭を持ち、家族を持ち、
    たまには散歩につれていってくれる人がいて、
    狂犬病の予防接種だって、一年に一回必ず受けているよ、という証明書になっているんだ。

    そんなものを、なぜ、ぼくが好き好んで自ら捨てようとするだろう?

    首輪はぼくの家族の証明、社会の一員として認められているという
    人間社会へのパスポートみたいなものなんだ!

    ぼくは、首輪を愛し、首輪を誇りに思い、
    首輪がある犬であるという喜びに浸ろうとしている・・・。

    でも、そんな律儀で善良なぼくの努力を根底から覆そうとするものがある!
    それこそが、「首輪の匂い」なんだ!

    ぼくは首輪が嫌いなんかじゃない!

    でもぼくの首輪は、物心ついてから、わずか3本目。
    ひとつめは赤ちゃんの時、小さくて首に回らなくなった!
    その次のは擦り切れて使えなくなった!
    はるか昔銀河系の彼方で、いつ買ったのか覚えていないくらい昔々のしろものが、今使ってるやつなんだ!

    いくら引っ張っても切れないから、まだ使ってるの。
    夏が何回過ぎたことだろう!

    その首輪ときたら、今ではもう「鼻くそ状態」
    つまり、臭いはずなのに、体の一部と化しているから、
    なぜかわからないけど、もう匂いすら感じなくなっているんだ!

    でも、いったんはずすと、なぜこの匂いを感じずにいられたんだろうと考えただけで
    熱が出そうになってしまうんだ!

    ぼくは首輪が嫌いじゃない、
    誇りにすら思っている。
    それだからこそ、
    毎日毎日、今日はどの首輪にしようかな?
    これはちょっと派手かな?・・・なんて迷ってみたり

    誕生日のプレゼントに、「気に入るかどうかわからないけど・・」
    なんてもらってみたり

    部屋の壁にわけもなくいろいろ並べたてて、
    微妙にリッチな気分を味わってみたいんだ!

    そんなことでぼくの貴重な時間を費やしてみたいし、
    世界でたった一つしかない立派な首輪をして、
    特別な日のお散歩に出かけてみたりしてみたいわけなんだ!

    もう少し、おしゃれにこだわるぼくの繊細な感性を理解してほしいんだよ!!


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    流れているのは「また会える日まで」




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