きみにとって「タブー」って何?
うん、実はね。
「タブー」っていうのは戒律をおかすこと、
でも戒律がないいぬにはタブーなんておかせない、
これって、どういう気持ちだと思う?
タブーがない生活なんて、
たぶーんとってもつまらないにきまってる・・・。
それでね、ぼくは戒律をつくることにしたんだ。
でも、あまり立派なのは思いつかなくてね。
「右のおしりを噛まれたら、左のおしりを噛みなさい」とか
「汝殺すべからず、ただし多勢でやるのはOK」とか
「人間みたいに、ひげをそってはいけない」とか
そんなものばかりなんだよ。
これじゃあ、あんまり戒律っぽくないだろ?
それでね、ぼくは、
いったい何が足りないんだろうって考えてみたんだ。
それで気がついたんだよ。
戒律ってものは神様がつくるもの、
ぼくが自分でつくっちゃいけないんだってこと。
それでぼくは、
じゃあ神様は誰がつくるんだろうって考えてみたんだ。
でも答えがみつからなくてね。
それでぼくには、
神様もなければ戒律もなく、
戒律もなければタブーもなく、
タブーもなければ邪悪もなく、
邪悪もなければ善もなく、
善もなければ銭もなく、
銭もなければ喜びもなく・・・
まったくな〜んにもなくなっちゃって
ほんとにつまらないことになってしまったの。
それでぼくは、
やっぱりいぬにも宗教は必要だって思いはじめたんだ。
宗教っていうのは、
自己の存在について悩むことからはじめなくちゃならないんだろ?
自分はどこから来て、誰がつくったんだろうとか、
深遠なる形而上学的問題についてだね。
ぼくは生命の神秘に目覚めて、それでまた気がついたってわけ。
やっぱり、この世に神様なんていないってこと。
だってこの世に神様がいたら、
ぼくをいぬなんかにしておくわけないんだからさ。
それで、ぼくは思ったんだよ。
今日からは神様のことを考えるのはタブーにしようって。
で、戒律も生まれたんだ。
「さわらぬ神にたたりなし」。
ね、これなら神様のせいで殺し合いなんかしなくてすむだろ?
・・・ぼくって、この次は人間に生まれ変われるのかな??
流れているのは「A dusty computer」