おまけのページ その37




犬的発想は、どうしたらできるようになりますか?

まずきみが毎日毎日何もすることがなくて、
1日中、寝ることと食べることと、
時たま飼い主のご機嫌に任せて、
10分から30分の散歩を、1日1回か2回くらいするとするね。

そうするとね、
きみは自然に、ときたまの散歩で自己実現を図るほかは、
食べることと寝ることしかやることがなくなくなって、
完全に受身的な発想方法に陥ったまま、
怠惰と無気力な生活に安住するようになる。

夕方になるとえさをほしがってくんくんないてみたり、
飼い主が帰ってくると、思いっきりしっぽを振って親愛の情を示したりする。

ふと気がつくと、庭のサンダルを埋める穴を一心不乱に掘っていたり、
「りっぱなガードワン」なんていわれて、誇らしげに胸を張ってしまったりする。

そして、ついには、
首輪がついていないと、やけに首のあたりがスースーして不安にかられたり、
鎖につながれていないのに、離れて遠くに行く気にもならなくなるんだ。


そういえば、
「乞食と公務員は3日やったらやめられない」ということわざがあったろ?
ちょうどそんなふうな具合なんだよ。

ぼくはぼくの生活に安住して、ぼくの生活に安らぎを見出し、
今おなかがいっぱいなら気持ちよく寝ていて、
その上、自分自身に誇りを感じるんだ。

そして、人類に食糧危機が来て、
また再び犬を食料にする時代が来なければいいなと思いながら、
平和な一生を送っていくわけなんだ。




それでも、ぼくは「癒しの動物」って呼ばれて、
暗い海の底へたった一人で沈んでいくような暗澹たる気分でいることがある。

ぼくがぼくだけのものではなく、人間のためにあるんだって言われて
自分自身の存在価値すらわからなくなってしまうんだ。

「いやしの動物」って呼ばれるくらいなら、
「いやしい動物」って呼ばれるほうが、
ずっと真実に近いし、ぼくは喜べるんだ。

万が一、「いやらしい動物」って呼ばれたら・・・
そのほうが喜べるかどうかは、ちょっと考えてみるね。




流れているのは「ぼくは窓拭き族」です




このページについてのお問い合わせは E-mail:hepafil@ag.wakwak.com までお願いします。
このホームページに掲載されている画像等は、すべてオリジナルで、このホームページ制作者の著作物にあたります。
許可なく転載、引用等の利用を禁じます。     (C) 2000 HEPAFIL

ホームページ おまけの目次 次ページ メール