「アスベストについて考えるホームページ」宛てに送っていただいたお便りの中から
皆様にも一緒に考えていただきたいご意見や体験などを紹介させていただきます。
(文中の固有名詞など、一部で掲載時にイニシャルに直している部分があります。)
「石綿の資料も多く読み暴露防止に努めて来ましたが、最近疑問に思う事があります」
〜建設業関係で、これまでも吹付けアスベスト撤去工事を多く行ってこられた方からのお便り〜
少し前、I市の建設業者I社に建物解体(旧スーパーマッケート H市)を頼まれ、見積りを作りました。対象物件を下見に行ったところ、設備室に吹付け石綿と思われる物を発見したのでI社の担当者と相談し、見積に石綿撤去工事を追加しました。見積を提出してから2週間ほどしたある日、I社から電話があり「石綿を無視してやってくれる安い業者がいるから今回はそこに頼みます」と言うのです。私は半分呆れてしまいました。あれから連絡も無いので今現在、その工事が着工しているかは分かりません。
またH市の建設業者R組でも同じような事がありました。その時も駅付近のビルでしたが、石綿撤去を含めた見積を提出した所、「予算が無いからもっと安くならないか」と言われました。つまり石綿撤去工事をサービスでやれと言う事です。
作業員への暴露や、周囲への漏洩の防止、特別産業廃棄物である石綿の処分だけで莫大な費用が掛かる石綿撤去工事を無料でやることなど不可能です。「注文者に相談したら?」と意見したのですが、R組の担当者I氏の変なプライドで「いまさら言えない」と言うのです。
結局その工事も他の業者が石綿を無視した形で受注し工事が始まりました。工事途中で労働基準監督署に見つかり急遽、石綿撤去工事をしていましたがどれぐらいの石綿が漏洩し、作業員に暴露したのか見当もつきません。しかもその担当者I氏は労働基準監督署の職員に「事前調査をしなかったので知らなかった」と言い訳したそうです。私はそのI氏には怒りすら覚えます。
石綿を発見し、素直に報告して見積を作ると高額で工事が受注出来ないというこの状況はいったい何なのでしょうか?確かに不景気の世の中ですが、それが理由で作業員や近隣住民の健康を害する事は人道的にも反する事だと思います。なぜ、それが地方ゼネコンの担当者は分からないのでしょうか?
(2003.11)