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アスベストについて考える会
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【検討会の運営の仕方に関する意見】
1.「情報公開法の制度運営に関する検討会」の審議は公開とすること
2. 意見募集の時期は特に設けず、審議終了まで受け付けること
【情報公開法の制度運営に関する意見】
1. 開示請求手数料は廃止し、開示実施手数料の写しの交付は、A3まで1枚10円とすること
2. 公益に資すると認められる請求については手数料を減免する措置を講じること
3. 法人情報の非公開の事前の条件について、「文書による」等の制限を加えること
4. 会議の公開の規定を設けること
5. 地方の請求者の便宜を図ること
6. 運用状況等を監視する機関を設置すること
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【検討会の運営の仕方に関する意見】
1.「情報公開法の制度運営に関する検討会」の審議は公開とすること
第1回検討会で、三宅委員は、「検討会の会議の持ち方だが、会議の公開を求めている意見もある。次回からはヒアリングなので、公開でない方がいいと思う。最後の検討内容の整理という1月、2月のところは、どういう内容でまとめるのかということにもなるので、ここも今後の状況次第で、どういう持ち方をするかは考えた方がいいと思っております。しかし、7月ぐらいから12月ぐらいまでのフリートーキングのところは、もしも今日のような議論の内容であれば公開について差し障りがないと思う。ただ、会場の手配とかもあるので、運営規則では座長にお任せすることになっているので、事務方と御検討の上で、この情報公開について審議をするに当たって一律非公開というのではなく、会議公開について、ヒアリングが終わるころまでに少し詰めていただきたい。」と発言されたとのことである。
一律非公開でないようにとの配慮の上のご発言であると思うが、ヒアリング、どういう内容でまとめるかについての議論、フリートーキングなどによって、なぜ公開、非公開の区別が出てくるのかについて、一般的な理解は得られないと思う。
非公開となった情報の内容について議論するわけではないので、非公開とする理由は特に思いあたらない。会議が公開されるかどうかは、委員の判断に任されているわけではなく、恣意的に決められるべき問題でもない。
すべて公開する前提で審議をすすめるべきで、特に非公開とされる場合であっても、納得できる説明をした上で非公開とするべきだ。
2. 意見募集の時期は特に設けず、審議終了まで受け付けること
意見募集の呼びかけには、意見・要望の募集は、「情報公開法の制度運営に関する検討会」の資料として議論の参考とさせていただくもの、と特に断り書きがつけられていた。
議論の参考とするのであれば、特に期限を設ける必要はない。今後の請求から有益な意見が提供されることも考えられるので、できるだけ受け付ける期間は長いほうがよいと考えられる。
また、意見を募集する際に、「資料として議論の参考とさせていただくもの」と特に断るのは、意見を提出する人に対してただ参考にするだけだという印象を強く与える。意見提出は提出者にかなりの負担を与えるので、くれぐれも形だけの意見募集にならないように、できる限り意味のある形で役立てることができるように、時期や方法を選んで募集を行う必要がある。
また提出された意見については、事務局が取りまとめた結果を口頭で委員に報告するとか、まとめた結果を委員に配布したりするのではなく、すべての委員が直接意見に目を通して今後の議論に役立てることができるように配慮してほしい。
【情報公開法の制度運営に関する意見】
1. 開示請求手数料は廃止し、開示実施手数料の写しの交付は、A3まで1枚10円とすること
現在の手数料は、請求者の負担が大きく、実費の範囲内ともいえない。また、手数料の計算方法や支払い手続きは、非常に煩雑でわかりにくい。
開示請求時には請求者は何も得ているわけではないので、請求の際に手数料を取ることはおかしい。また、1回の請求なのに2回も手数料を取るのはおかしい。低額にするとともに、請求時に手数料をとるならば閲覧や文書交付の際には手数料は取らないなど、どちらかに一本化してわかりやすくするべきだ。
2. 公益に資すると認められる請求については手数料を減免する措置を講じること
この点について、例を挙げて説明する。
今年の3月に、国土交通省に、建築基準法による定期報告の取りまとめ結果を請求した。この文書を請求した理由は、公的建築物の所有者等に課せられている調査報告義務がどの程度果たされているのか調べるためである。
所有者等から定期報告を受けた都道府県の窓口では、報告件数や報告率の集計を行って、集計結果を国土交通省に通知することになっている。国土交通省では、それを取りまとめて全国の報告率等の数値を出している。
全国で数十万件にも達する建築物の所有者等に、法律で調査や報告を義務付けておきながら、行政の方でやっていることといえば、単に報告を受け付けて、形式的な督促状を送り、報告率などの計算をするだけになっている。その結果、ホテルや旅館などで、報告率が40%に満たないような現状が放置されている現状がある。これでは、利用者の安全を守るための定期報告制度は十分に機能しているとはいえない。
行政の側で、報告内容を分析してとりまとめた結果を公表していれば、それを見ればすむわけだが、そのような作業が全く行われていないために、情報公開請求をして生データを集める必要があった。この文書の請求にかかった経費は2千円程度で、結果はホームページに掲載している。この請求を通じて、都道府県の担当者等との交流もでき、定期報告結果を生かした対応をお願いする機会も持つことができた。それは、ひいては利用者の安全につながることになる。
行政がやるべきことをやらないでいるために、一部の人が余分な負担を強いられる。それが私たちにとって必要な情報で、公表されるべき情報であれば、個人的に金銭的な負担が出てきても請求には意味があるが、他方で、公的な利益につながるのであれば、個人的な負担は何らかの形で軽減されるべきだということもいえる。
そのためには、公益に資する請求であることを請求者が申請した場合、それを審査して金額を免除、軽減できるようにすることや、基金などの形で一定の金額をプールしておいて、一定の基準で、請求のあった人に配分できるような制度にすること等、何らかの制度的な措置が講じられるべきである。
3. 法人情報の非公開の事前の条件について、「文書による」等の制限を加えること
4. 会議の公開の規定を設けること
これらについて、現在請求を検討中の事例があるので、実例を挙げて説明する。
昨年10月の労働安全衛生法施行令の改正によって、今年10月1日から、10種類のアスベスト製品の使用等が禁止されることになっている。
アスベストは、最盛期には、3千種類とか4千種類の製品に使用されていたといわれ、禁止が決まっているのが10製品だけというのは、かなり限定されているといえる。
禁止される10種類の製品は、おととしの12月から昨年3月まで開催された「石綿の代替化等検討委員会」という委員会の審議がもとになって決められている。この審議はすべて非公開だった。
10種類以外の製品がなぜ禁止とならなかったのかという質問に対して、厚生労働省の担当者は、この委員会の審議で行われたヒアリング結果や調査結果を挙げている。しかし、この委員会の審議は非公開で、議事録は、任意提供の段階だが、ヒアリング対象となった企業名も含め、ヒアリング部分はすべて公表できないといわれている。公表できない理由について、担当者は、「非公開の会議で行われたヒアリングだから、事前に公表されないという条件で話を聞いているため」と説明している。
現在、会議の公開、非公開の決定については、委員や担当者間でかなり恣意的に決められている印象がある。非公開とされた会議での意見や調査結果が、このような形で事前に公にしない条件で提供されたことになってしまうと、不開示情報の範囲はかなり広範囲なものになってしまう可能性がある。
いったん非公開の会議での発言等が不開示情報にあたると判断されると、公益上の理由により結果的に公開されるとしても、第三者に対する意見提出等の手続きが義務付けられることになって、担当者の負担はかなり重くなる。
このようなことを防ぐためには、次のような条文改正が必要と考えられる。
・情報公開法で、会議の公開の原則、議事録の公開の原則を明記する
・情報公開法第5条第2号ロの、「公にしないとの条件で任意に提供されたもの」の規定に、「文書による」などの文言を加えて、非公開の約束が事前に明確にあった場合に限定する・同法第13条第2項の規定の、第三者に対する意見書提出等の義務付けの範囲について、「公にしないとの条件が文書により明記されている場合」等の文言を付け加えて、手続きを簡略化できる範囲を広げる
(なお、上記の「石綿の代替化等検討委員会」の議事録の情報公開請求は、今から行う予定になっており、請求の結果については、上記「アスベストについて考えるホームページ」に掲載される見込みです。)
5. 地方の請求者の便宜を図ること
・第38条の規定はこのままでもかまわないが、地方におかれている情報公開の窓口が現実にどの程度機能しているかは非常に疑問を感じる。静岡市内に置かれている国の情報公開の窓口は、情報公開の説明のパンフレットを渡して、ここは情報公開の窓口ではない、国の窓口で相談するようにといって電話番号を教えてくれる程度で、文書の特定や担当者を探す手助けをしてくれることはない。
地方の窓口で、本庁や出先機関の情報公開の担当者や、文書を管理している担当者と直接連絡ができるような体制ができていれば、地方の請求者が文書を特定する際にたいへん役に立つ。文書を特定するための連絡は、地方の窓口からでも行えるような対応を検討してほしい。
また、最近、オンラインで情報公開請求等ができるような取り組みが積極的に進められてきている。このような取り組みは、たいへん有益である。今後さらに、請求に関する相談、文書の特定についての相談等についてもすべてメールでやり取りができるように、メールアドレスを積極的に公表する、メール担当者を配備するなど、制度的な取り組みを進めてほしい。
6. 運用状況等を監視する機関を設置すること
以上のような意見が常時反映される体制を作るため、情報公開法の運用状況を監視したり、制度的な問題点を把握したり、運用について相談をすることができる機関を設置することが望まれる。
(2004.6.30)