産経新聞で取り上げられた次の日、毎日新聞は、審査会委員が公費で飲食を伴う「懇談会」を定期的に行っていることが8日明らかになったとして、県オンブズマンネットワークの服部代表幹事の「県から公費で接待を受け、公正な審査をしているのか疑問だ」という意見を載せた。
また、情報公開室長は「審査会の中立性を損なわないよう十分考慮して懇談会を開いてきた。誤解を招くなら、職員の参加を控えることも検討したい」と話していると伝えた。続く5月10日、朝日新聞の朝刊に、「県公文書審査会との懇談会に不参加決定−県情報公開室−」という小さな記事が出た。
県の情報公開室は、審査会と、年1回公費を使って開いてきた懇談会に今後は参加しないことを決めた、同室は「誤解を招き、審査会の中立性を損なうことがないように配慮した」と説明している、という内容である。これらの一連の報道について、情報公開室に確かめてみたところ、副知事の見解(県職員を同席させるのは問題だが、委員同士の懇親会に公費を支出するのは問題ないという見解)は県の見解、問題になってからまだ2、3日で、今後どのようになるかは、審査会の委員と話し合いをしてみなければ現状では何とも言えない、と述べていた。
数日後、定例会見で知事方針として伝えられた内容はこうだ。
『知事は15日の定例会見で、県職員が公費を支出して飲食を伴う懇談会を開くことを、原則禁止する方針を明らかにした。実施時期は今後詰めるが、自治省は「きわめて珍しい」と言っている。
知事は、「ここ4、5年で行過ぎた側面が出てきたのも事実。どこまでが適正で、どこまでが行き過ぎかを判断するのは難しい。こういうものはオール・オア・ナッシングでなければ」と話した。』さらに、知事は情報公開室に懇談会の開催を見直すように指示していたこと、また、「どんな懇談会をするかは、委員の自己の責任と負担でやってもらう」と公費支出の中止の意向を示した、とも伝えられている。
(毎日新聞2000年5月16日朝刊1面「静岡県飲食会合を禁止−知事方針「適正」の判断難しく」より引用)結論は当然だが、こうなると問題はさらに増えてしまう。
情報公開制度の中で、不服申立ての審議を行う審査会の委員が公費で飲食をすることと、他の審議会の委員が公費で飲食をするということは意味が違う。「審査会」の特殊性が消されて、他の審議会と全く同列におかれてしまっている。そしてもうひとつ、重要な問題が残されてしまった。
つまり、自治省が「極めて珍しい」とコメントしているということがどういう意味なのかということである。
(つづく)