「開かれた県政」を求めて-目次-

条例改正の行方(2)-法律との整合性

−静岡県の情報公開条例について考える−


件数の算定方法が明確にはならない、1件あたり200円の閲覧手数料を徴収する静岡県の情報公開条例の改正が、そこまで遅れたまず第1の理由ははっきりしている。
それは、県が国の情報公開法の制定を待っていたことである。

国の情報公開法は、1996年12月に要綱案が出されてから1年余り過ぎた1998年3月に法案が国会に提出されたが、その後、たびたび継続審議となり、最終的に裁判管轄などの修正を経て、昨年1999年の5月7日に成立した。

法案が国会に提出されてから成立に至るまでの1年2ヶ月の間、県は、情報公開条例の改正を予定しながら、国の法律が成立の見通しがたち、最終的にどのような法律として成立するのかを見極めてから、条例改正の手続きを開始しようとした。
国の法律との整合性を図りつつ、条例の見直しをするという方針は当初からあって、むしろ、国の法律との整合性を主眼としつつ、合わせて条例の不備な点を直して行くことを考えていたといえる。

このことは、第1回の情報公開懇話会で行われた、副知事の冒頭の挨拶にもあらわれていた。
柴副知事は、10年の節目を迎えた静岡県の情報公開制度が、5月成立した情報公開法との整合性を図りつつ、これからの時代にふさわしいあり方を検討してほしいと挨拶したという。
結局、静岡県の情報公開条例の改正手続は、ずるずると1年以上も国の法律の制定を待って始められた。

それ以前に改正手続を始めなかった理由は、何よりも、法律との整合性を図ること以外に緊急の見直しを行う理由を見いだしていなかったからといえる。
つまり、1件200円という閲覧手数料を徴収していることをあまり重要な問題としては受け止めていなかったわけである。

県にしてみれば、それまでは東京都や岡山県が同じように徴収していたのだから、オンブズマンなどの団体からは失格という厳しい批判を受けていても、さほど常識はずれの制度だという意識は持っていなかったことだろう。
それがいざ改正手続をはじめようとして、法律の制定を待っているうちに、東京都は改正手続を終え、膨大な量の議事録をインターネットで公開。件数の数え方に改善は見られなかったものの、1件あたりの上限を定めて低減化を図り、閲覧手数料についての批判をかわした。

一方、同じ頃に懇話会の手続を始めていた岡山県は、8月末の答申の後、すぐに条例を改正し、思いがけず10月には早々と閲覧手数料を廃止してしまった。
他方、静岡県は情報公開懇話会の審議を公開し、傍聴を認め、発言者の氏名入りで議事録をインターネットで流して、県民の意見を募集し、意見陳述を認めるなど、東京都や国などの会議の公開や意見募集のやり方を参考にして、少しずつ前向きなやり方を採用しながら手続を進めようとした。

静岡県が自分たちだけが取り残されたと気づき始めた頃、条例改正の手続きは、多少とも県民参加をとり入れて、一足飛びには進められなくなっていた。

(つづく)

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7月22日第1回情報公開懇話会 副知事あいさつ

・情報公開制度は、「民主的な国家における標準装備」とも言われ、行政運営に欠かせない仕組みとしてその役割がますます期待されている。
・本県情報公開制度は今年でちょうど10年の節目を迎え、また5月には情報公開法が成立した。
・情報公開法との整合性を図りつつ、これからの時代にふさわしい本県条例のあり方を検討していだきたい。
・懇話会委員の皆様には本県情報公開制度をめぐる状況を踏まえて、本県の情報公開制度のよりふさわしいあり方について御提言を賜りたい。

 〜静岡県ホームページの議事録より引用〜


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