「開かれた県政」を求めて-目次-

手数料についての意見書


*写しの手数料(コピー代)について、情報公開室と県民のこえ室に意見を出しました。



2000年10月11日

静岡県企画部知事公室県民のこえ室 御中
静岡県総務部私学文書総室情報公開室 御中

     アスベストについて考える会
E-mail: hepafil@ag.wakwak.com
URL : http://www.ag.wakwak.com/~hepafil/



公文書開示における写しの手数料について(意見)



 このたびは「静岡県公文書の開示に関する条例」の全面改正に取り組んでいただきましてありがとうございます。
 条例案は、知る権利が盛り込まれ、実施機関や対象文書、請求権者が拡大されるなど、今までの条例とは異なる充実した内容となりました。また、直ちに全部を公開できる場合には口頭による手続が認められたり、情報提供施策の充実が求められるなど、県民が利用しやすい制度の実現に向けて、様々な角度から取り組もうとする姿勢が示されているものと思います。
 公安委員会や警察の情報については、実施機関の判断に委ねるべきではないという批判も強くある上、最近になって、自治省により審査会の諮問に付す方針が明らかにされるなど、今後改善されなければならない条項も残されていますが、県民参加の促進と開かれた県政の実現に向けた取り組みが、徐々にとはいえ着実に進められようとしていることを歓迎しています。
 とりわけ、この条例案では、従来、他の都道府県に比べて遅れているとして批判が大きかった閲覧手数料が廃止されています。手数料の問題は、情報公開制度を利用しやすい制度とする上で大変重要なので、このような形で閲覧手数料が廃止されようとしていることは貴重な前進であると感じます。
 条例が改正された際には、県民の立場としても、情報公開制度の目的にある、県民参加による開かれた県政の推進に向けて努力していくことが期待されているものと受けとめています。
 このような見地から、現在検討されている写しの手数料につきましても、実費の範囲内で、できる限り低額なものとしていただきたいので、下記のように理由を添えて意見として提出します。
 静岡県の情報公開制度がさらに充実したものとなるように、今後ともよりいっそう前向きな取り組みを進めていただきますようにお願い申し上げます。




T 意見

 「静岡県公文書の開示に関する条例」の改正に伴う写しの手数料の変更においては、実費の範囲内で、市価、若しくは、県民サービスセンターで資料をコピーする際の料金と同程度かそれ以下の額とし、できる限り低額とすること

U 理由

1 公文書開示制度において、手数料は、従来は、大量請求を阻んだり、請求を一定程度の範囲に制約するための手段として設定される傾向が強かった。しかし、今回の条例改正の内容や経過を見ても明らかなように、現時点では、情報公開制度は県民参加や開かれた県政を推進するための基本的な制度として、できる限り利用しやすいものとすることを前提に進められている。

2 インターネットをはじめ、情報提供施策の内容は飛躍的に進歩しており、多くの情報を誰でも手軽に入手することができるようになってきている。そのような流れの中で、請求することによって行政文書を入手できる公文書開示制度の役割は徐々に変化してきており、料金の面において、インターネット等の手段により行政文書を入手する場合と特別の差異を設ける必要性は認められなくなっている。

3 現在、県民サービスセンターに設置されているコピー機は、A3判まで1枚10円で利用できる。県民サービスセンターにおかれている資料は、一部を除いて貸出しができるほか、すべてこの料金で写しを得ることができる。県民サービスセンターに配置される資料と、配置されない資料に関しては、一定の方針(「行政資料の収集に関する要綱」)が作られているとはいえ、特に明確な基準として運用されているものではなく、担当者の判断に委ねられているのが現状である。

4 特に、他の都道府県同ではインターネットで提供されている情報であっても、我が県においては、インターネットに掲載されず、県民サービスセンターにも配置されていない例がある。また、配置されるように要望しても、担当部局での一致が得られらないため、公文書開示制度を使って請求をせざるを得なかった例がある。また、過去においては公文書開示制度で請求した文書が、状況の変化により県民サービスセンターに配置されることになったり、さらには、インターネットで公表されるようになったりしている。今後情報化の進展によって、このような例はさらに増加するものと推測される。

5 現在、一般に利用されているコピーサービスは、白黒印刷の場合、A3判まで1枚10円が普通になっている。実費ということであればこの料金で十分であるから、それ以上の金額を請求する理由は見出せない。

6 県のNPO活動センターでは、登録されているNPOに対して、用紙を持参すれば無料でコピーできるサービスを行っている。公文書開示制度をNPO活動の一環として利用する場合には、NPO活動を支援する施策との整合性から、最低限の手数料とすることが望ましいことになる。また、NPO活動を行っていない個人等が文書開示制度を利用する場合にも、NPO活動を支援するための制度と大きな差異が生じないようにすることが望ましい。

7 改正案の「第3章 情報公開の総合的推進」では、「情報提供施策の充実を図る」「情報公開の総合的な推進に努めるものとする」等の文言が入れられており、今後、これらの規定にしたがって、各部局が積極的に情報提供を行うことが期待される。その際、担当部署の判断で無料で提供された場合と、開示請求手続により写しの手数料が請求される場合とで、できる限り差異が生じないようにしておく必要がある。

8 最近では、他の都道府県等(宮城県、三重県、福井県、石川県、岐阜県、愛知県等)でも、A3判まで1枚10円とする例が珍しくなくなってきている。県民参加の推進や情報提供施策の充実のためには、手数料はできる限り低額とすることが望ましいことから、このような政策的な判断は十分に合理性があり、今後、他の地方自治体の制度でも同様の方向で進められていくことが予測される。

9 その他、次のような理由が考えられる。
(1) 公開により得られた情報は、行政活動の不備な点や不充分な点を補完する場合があること。
(2) 健康に関する情報は安全な生活のために役立つので、情報の公開は、県民の健康や安全性の向上につながること。
(3) 財政的側面では、情報の公開は県の財政の健全化に役立ち、無駄な支出を減らし、財政悪化の歯止めにつながること。
(4) 県民が情報を請求することによって、職員が職務を遂行するにあたり適度な緊張感が生まれ、ひいては職員のレベル向上につながること。
(5) 県民が情報を請求することは、県民や職員が学習する機会を生じさせ、県民にとっては生涯学習の役割、職員にとっては研修の役割を果たすこと。
(6) 広報の目的などで提供されているパンフレット、ちらし等の印刷や配布には、相当程度の県の財源が使われており、余って廃棄されている場合もあること。

    以上


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