静岡県の情報公開懇話会で、「会議の公開」が積極的に検討されなかった事情は、他にもまだあるようだ。「会議の公開」の問題は、一般的には行政改革の一環として取り組まれる場合が多い。
情報公開条例の改正の経過では取り上げられていない自治体でも、審議会等の設置基準の明確化や運営の適正化とともに、行政改革の一環としてすでに継続して取り組まれている場合が多いのだ。高知県や大阪府のように、情報公開条例の条文にはなくとも、「会議の公開の指針」が作られて原則公開の方針が明らかにされ、積極的な取り組みが行われている場合もある。各地では、行政の透明化、県民参加の促進の見地から、「会議の公開」は様々な形で取り組みがすすめられているのである。
一方、静岡県では、最近インターネットで行政改革の取り組みについて発表している。『静岡県は行革のトップランナーをめざしています』−真の行財政改革−というタイトルである。
そこで取り上げられている主な柱は、職員の削減、業務棚卸表をもとにした行政評価、組織のフラット化などで、行政改革といえば不可欠の課題のように思える行政の透明化の問題は、この中では取り上げられていないようである。静岡県の場合、行政の透明化を促進するという視点は、行政改革の問題としてはあまり重視されていないようだ。行政改革についてのこのような限定的な考え方が、情報公開がこれまで重視されてこなかったことや、審議会等の設置や運営についての取り組みがすすめられてこなかったことと、かなりつながりがありそうだ。
言ってみれば、静岡県の場合、情報公開が遅れているのではなく、行政全体の中で情報公開をどのように位置付けるかという点が遅れているのであって、このことが、「会議の公開」をはじめ、審議会等の適正な設置や運営に対する取り組みがすすめられてこなかったことにも現れているように思う。
このような結果、審議会の問題は全くといっていいほど手付かずの状態になっている。
これをどこがやるのか。情報公開条例の改正問題として取り上げるとすれば、情報公開室がやらなければならないが、情報公開室に、全庁にわたって、「会議の公開」を呼びかけるような権限が与えられているとは思えない。情報公開懇話会で、「会議の公開」が検討事項に加えられて調査を行うことになれば、これからは情報公開室の担当にならないとも限らない。 しかし、懇話会の運営に1年間かかりきりになっていた情報公開室が、これから条例の改正作業を進めながら、加えて個人情報保護条例の制定作業にまで着手しなければならなくなっている状況で、そんなことにまでかかわり合いになっている余裕があるわけもない。
結局、情報公開室は、いくら「会議の公開」が情報公開条例の改正と関連があるからといっても、全く手付かずのままほったらかしにされている審議会の問題を、自ら抱え込むような選択をするつもりもなかったし、したくてもできなかったのだと思う。
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『 静岡県は行革のトップランナーをめざしています 』
http://www.pref.shizuoka.jp/governor/talk/gyokaku1/
参考例:各自治体のホームページより抜粋
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沖縄県行政システム改革大綱案
(6)開かれた県政
これからの県政運営においては、県民の持つ多様、多彩な 知恵と能力を地域づくりに活かしていくことが大切であり、県民参加を重視した県政運営を行っていく必要がある。
そのためには、何よりも県政が公正・透明で分かりやすいものでなければならないことから、県政情報を積極的に提供し、県民と情報を共有しあう開かれた行政を展開することが重要である。そして、県民と県とが適切なパートナーシップを築きながら、県民の多様なニーズに的確に対応した県民参加重視型の県政を進めていく必要がある。
このような見地から、以下について積極的に取り組むこととする。ア 情報公開の推進 県が保有する情報を広く県民に公開することにより、県民の県政への理解と信頼を確保し、公正で開かれた県政を推進するとともに、県民の知る権利を実効的に保障するた め、平成4年7月から「沖縄県情報公開条例」を施行している。
(中略)
今後、県としては、こうした制度の適切な運用に引き続き努めるとともに、去る平成11年5月7日に成立した 「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」を踏まえ、今後の情報公開制度のあり方等について検討を行っていくこととする。また、インターネットなどを利用した県民への情報提供のさらなる充実等に努めることとする。
また、事務事業評価システムの導入にあわせて県政の各分野の目標や達成状況、事務事業の成果等についても県民に公開していくこととするほか、公社等外郭団体の情報開示制度づくりに向け検討を進めることとする。
さらに、県が設置する附属機関や研究会、懇話会等の議事内容については、平成12年度において「附属機関等の公開等に関する指針」を策定し、公開が可能な場合には公開を推進するとともに、公開することが難しい場合にあっても議事概要等を適時適切に公開するよう指針を定め対応していくこととする。 (以下略)------------
香川県-行政改革の基本的な考え方
4 開かれた県政の推進
情報公開等の推進
行政手続制度の適切な運用
外部監査制度の導入
県民参加の促進(主な実施事項)
国の情報公開法の内容等を踏まえ、公文書公開条例の改正を検討します。
「審議会等の会議の公開に関する指針」に基づき、会議の公開を推進します。 (以下略)------------
秋田県行政改革大綱 H11.3
審議会等の整理・統合
県の重点課題について専門的な立場から調査・検討を行うとともに、県政の推進に広く県民の意見を反映させるため160の各種審議会等を設置しているが、社会経済情勢の変化や必置規制の緩和により、役割を果たしたものについて統廃合を進めるとともに、審議会等の公開を推進する。
(中略)4 審議会等の公開
審議会等の審議の状況を県民に明らかにし、開かれた県政を推進するため、「審議会等の公開に関する指針(仮称)」を策定し、審議会等の会議、審議録を公開するとともに、積極的な情報提供のシステムを確立する。「審議会等の公開に関する指針(仮称)」の基本的考え方
次のいずれかに該当する場合以外は、審議会等の会議・審議録を原則として公開する。
(以下略)------------
高知県では、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加による公正で開かれた県政を一層推進することを目的に、審議会等の会議の公開を進めています。
この制度は、審議会等の会議のうち、知事が制定した「審議会等の会議の公開に関する指針」に基づいて公開ができる会議を一般の方に傍聴していただくものです。高知県行政改革大綱
新たな行政改革のキーワード
今、高知県は何が求められているか
○「県民の満足度を高めるための改革」
○「説明と参加による県民に開かれた行政の推進」
○「『是正の行革』から『創り出す行革』へ」
○「トータルコストの発想」------------
広島県新行政システム改善に関する提言(第1次)
○ 県出資法人の見直しについて
○ 附属機関等の見直しについて
H10.12.9
広島県行政システム改善推進懇話会附属機関等の見直しについて
附属機関等については,設置目的を明確にし,目的に即した実質的な審議の確保を図るため,次の点を踏まえて見直しを行うべきである。
1. 附属機関等については,社会経済情勢の変化等を踏まえ不断の見直しを行うとともに,地方分権推進などの観点から自主的,主体的な設置運営が図られるようにするべきである。
2. 設置目的を達成したものは廃止するとともに,審議事項等が他の機関と重複・類似しているもの等については,統廃合すべきである。
3. 運営にあたっては,実質的,効率的な審議が図られるよう十分留意することとし,設置目的に照らした,適正な委員数や委員構成にすべきである。
4. 法令の規定等により公開すべきでないものや個人情報に係るものなどを除き,原則とし て,会議の公開や議事録の公開などを行うことにより,透明性の向上に努めるべきである。なお,特段の事由により,会議又は議事録を非公開とする場合は,その理由を明示すべきである。
5. 男女共同参画社会を実現するため,委員への女性登用を積極的に促進すべきである。----------------------
宮城県 審議会等の会議の公開
宮城県の施策の企画立案などに重要な役割を担っている審議会等の会議の、より公正な運営を確保し、県民参加による県政を推進するため、審議会等の会議を公開する制度です。
対象となる審議会等の会議
知事や行政委員会の下に、法律・条例・要綱などにより設置された審議会等で、県民、学識経験者などが委員になっている会議を対象としています。原則公開
審議会等は、公開で行うことが原則です(情報公開条例第19条)。----------------------
(その他)
三重県「情報公開条例改正についての提言」(11.7)
同「審議会等の会議の公開に関する指針」(H11.7.1以降の会議)
同「審議会等の設置・運営等に関する判断基準」
同「情報提供先進県をめざす三重県の課題」(H11.10)高知県「審議会等の会議の公開に関する指針」(H11.3.1)
同「 同 運用方針」大阪府「会議の公開に関する指針」(S60.11.26)
同「大阪府公文書公開条例改正等についての提言」(H11.2)山梨県「情報公開制度の基本的なあり方及び山梨県公文書公開条例の改正すべき事項について(答申)」(H11.9)
北海道 「北海道の情報公開制度の改善に関する提言」(H9.12)
[12] その他
(1) 審議会等の附属機関の会議の公開
各種審議会等の附属機関の会議については、原則として公開する旨を条例に盛り込むこと。滋賀県平成11年度行政改革実施計画
7 行政の透明性の向上と公正の確保
(番号90、91)---------(以上、参考例)
(つづく)