**用語説明**NO.2


囲い込み



吹き付け部分の少し下の部分を、建材などで覆い、密閉して、アスベストが飛散しないようにする工法。

天井が低くなるが、密閉されるため、いったんは外部へ飛散しないようになるが、使われる建材が弱ければ、破れたりはがれたりすることも考えられる。 また、地震などで破壊されたりすると、中に落ちてきてたまっているアスベストが、一度に撒き散らされる可能性がある。

同様に、改修工事などによって、囲い込み部分をはがすと、内部に落ちてきているアスベストが漏れ出す危険がある。

天井の内部の鉄骨にアスベスト含有の吹き付けが行われていることを知らないで改修工事ではがしてしまったため、そこにたまっていたアスベストを、作業をしていた人たちが吸い込んでしまった事例もある。


静岡市営住宅の場合、福井市の市営住宅の例を、この工事の参考にして工法を決めた。
福井市の場合は、和紙を吹き付け部分に貼ってから、その下を建材によって覆っているが、静岡の市営住宅は、和紙の代わりに壁紙を張り付けてから、下部をリフォジュールシートなどで覆っている。

静岡市の場合、福井市の場合の和紙とは少し違って、壁紙自体の重さも割合に大きいと考えられ、壁紙を張り付けるときに接着が難しかったという報告も出されていることから、壁紙がはがれ落ちたりする危険もあると考えられる。

使われているリフォジュールシートは柔らかなもののようなので、その場合にリフォジュールが、重さに耐えられるかどうかという問題が出てくる。


  また、建物の取り壊しの際には、吹き付けアスベストは特別管理産業廃棄物として取り扱われるため、囲い込みに使われた建材も、飛散防止のために使用されたシートなどと同様に処分される必要が出てくるため、廃棄物の量が増えて、取り壊し費用がかさんでしまうという問題もある。


  我が国では、1980年代の後半から、学校などの吹き付けアスベストが問題になって各地で工事が行われたが、囲い込み工事の場合は、特殊な技術もいらないで割合に簡単にできると考えられ、小さな工務店などでも行なっていたようだ。

天井に囲い込みが行われていても、わからない場合もある。
建物の売買や賃貸によって、囲い込みを行った人と使用者が違っている場合、吹き付けアスベストが使用されていても、それに気がつかない場合も少なくない。

賃貸契約や売買契約を結ぶとき、売り主や貸し主に確認することが大切だ。

静岡市の市営住宅の居住者が、賃貸契約に当たって、どのような説明を受けたか、使用されている事実を知らされているかどうか、重要な問題である。


囲い込み工事については、1988年に出された、建設省住宅局などが監修している「既存建築物の吹き付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説」でも、「竣工時と大差なく、粉塵の発生も認められない」場合は例外として、それ以外は、除去工事と類似の、マスクなどの労働者の安全や飛散防止のための対策が求められている。 静岡市の工事は、1990年に、居住者からの「ぼろぼろ落ちてきて困る」という苦情から工事が行われているのに、このマニュアルに書かれているような対策をとっていない。

工事の時も、居住者の安全のための配慮は見られず、飛散防止対策はほとんどとられていないばかりか、カーテンなども取り払われることなく行われている。

この工事自体によって、被害を受けている可能性もあるが、今回は、今できる対策をまず問題にしている。


 

封じ込め



  吹き付け部分はそのままで、いろいろな飛散防止のために有効な薬剤を使って、表面に吹き付けるなどの方法で表面を処理し、劣化などによりアスベストが飛散することを防ぐ工法。


一見簡単な工法に思えるが、薬剤の吹き付けによってアスベストが飛散することや、薬剤自体の危険性もあるので、安易に考えるのは危険。


特に、封じ込めを行う面積が広い場合、吹き付け部分が下地からはがれやすくなっていると、薬剤によって天井の吹き付け部分が重くなるので、それ以前よりもはがれやすくなって、落下する危険が出てくるなど、危険性が増す心配がある。


薬剤の種類によっては、水銀などの重金属を高濃度に含む場合もある。
過去に、除去された吹き付けアスベストから、埋め立ての際の許容濃度を超える高濃度の水銀が検出され、問題になった例がある。
また、アルカリ性が強く、他国で毒物として指定されている薬剤も過去に使用された例がある。
このように、薬剤の種類によっては、作業者に危険が伴う場合や環境に悪影響を与えるものも使われる危険がある。


このような危険性も配慮して、薬剤を選ぶ際には十分注意し、使用された薬剤名も記録しておくことが必要だ。



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