**用語説明**NO.1




耐火用フェルト板


新聞によれば、このフェルト板とは、「アスベストを含んだロックウール(岩綿)と呼ばれるガラス質の物質でできており、アスベストの含有率は4,50%だったという」。

詳しくはわからないが、同じような建材として、フェルトンと呼ばれるものがある。
フェルトンは、アスベストを、水ガラスをバインダーとしてシート化されたもの、とされる。
亜鉛鉄板等からなる折板構造屋根の、耐火材、防火材として接着工法により裏張りするなどして使用されたという。
主に使われている場所は、大型工場、体育館などの屋根材など。
使用期間は、昭和40年頃から58年頃とみられる。



クロシドライト


別名、青石綿という。

アスベストは、繊維状の珪酸塩鉱物で、火成岩が変化した変成岩の一種。

火成岩の地核の裂け目に入った水が、高い圧力と熱水作用によって繊維状になってできると考えられている。
また、母岩が高温高圧下で水蒸気ガスの作用によって蛇紋石などに変化する際に、多くの割れ目を生じ、これに沿って溶液が入りこみ、冷却されて繊維状の結晶となるとも説明される。

もとになる岩が、蛇紋石の場合には、クリソタイル(白石綿)、角閃石の場合には、アモサイトやクロシドライトになる

クロシドライトは、この中でもリーベック閃石の一種。

クリソタイルが、Si,Mg,O,H,などを主成分とするのに対して、クロシドライトは、主に、Mgは乏しく、Fe,Naなどが含まれている。
含有する酸化鉄のため色が青いことから、青石綿と呼ばれる。

クリソタイルに比べ、特に、酸に強く、アルカリなどの薬品にもおかされにくい。

この強い耐酸性や、強度が大であるなどの特性から、また、疫学調査などの結果により、クリソタイルよりも悪性中皮腫の発生を引き起こす危険性が高いとも考えられている。

一方、肺ガンの発生には危険性は変わらないとも見られ、悪性中皮腫の発生についても、クリソタイルにクロシドライトを含有していることもあって、危険性を同程度と考える見解もある。

我が国では、1995年(平成7年)1月、労働安全衛生法施行令・同規則、特定化学物質等障害予防規則の改正によりクロシドライト、アモサイト(クロシドライトと同じ角閃石に属するアスベストの一種、茶石綿ともいう)の、使用・輸入は禁止された。

これに先立って、業界では1987年(昭和62年)にクロシドライトは使用を中止しているといわれているが、1975年に特化則の改正で吹き付けが原則的に禁止されるまで、戦後盛んに行われたアスベストの吹き付けには、クロシドライトが使用されてきた。

クリソタイルの内部にクロシドライトを吹き付けている場合も多く、そのころ建てられた建物は現在も多く使用されていることから、改修や取り壊しの際や建物の使用に当たって、アスベストによる被害を受けることが心配される。




ロックウール(岩綿)


ロックウールは、人工鉱物繊維の一種。

アスベストが天然に産出する繊維性の鉱物であるのに対して、ロックウールは、鉱物を原料にして人工的に作られた繊維性の物質。

1989年環境庁監修の「アスベスト代替品のすべて」110頁には
「1897年、米、Hallにより、天然の石灰岩質粘板岩を原料にして製造されたのが始まりと言われる。…ケイ酸質岩石、玄武岩、スラグなどをキュポラで1400度〜1500度に溶解し、遠心力、圧縮空気、高圧蒸気などで吹き飛ばして、繊維化して作る。

 …現在、主原料は、製鉄高炉スラグ。…不燃、耐火性、断熱、吸音、遮音性。
 全体的に均一なガラス状、横方向には折れるが、石綿のように縦方向には折れない。」
 とある。

 結晶構造をしていて、縦方向にさけ、さらに細かな繊維に分かれてくるアスベストなどと比べ、ロックウールなど、結晶構造をしていない物質の場合、上にあるように、縦方向に割れて、より小さな径の繊維を生じることが少ないと考えられている。

 また、体内(肺内)での溶解性がアスベストに比べて高く(溶解しやすく)、このような理由から、アスベストなどの天然鉱物繊維と比べ、発癌性が低いと考えられている。

 これに対して、発癌性が、繊維の長さなどによって決ってくるという仮説もあって、そのような考えに立った場合、安全性をどのように評価してゆくのかという問題は、依然として残されている。

疫学調査などの結果なども含めて判断して、ロックウールの発癌性は、アスベストに比べて、一般的に低いと考えられている。
(「ここが危ないアスベスト」135頁参照)

 今回の場合のほか、普通は、アスベスト含有の吹き付けロックウールなどのように、アスベストによる発癌性が問題になってくるので、アスベストの危険性の問題として考えることになる。

使用されている吹き付けロックウールなどの、アスベストの含有率が問題になるわけだが、含有率が低くても、劣化の状態がひどく、振動や他の衝撃などで飛散しやすくなっている場合には、室内のアスベストの濃度が高くなるわけなので、含有率が低くても、危険性が低いと言えない。

現在、1%以上アスベストを含有する製品が規制対象になっている。
アスベストを含有するロックウールでも、5%前後のロックウールで問題になることが多く、4,50%というのは、かなり含有率が高い。



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