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「静岡県公文書の開示に関する条例」の改正について
−質問書−

 
 

1999年1月21日

 静岡県知事 石 川 嘉 延 様

アスベストについて考える会


「静岡県公文書の開示に関する条例」の改正について(ご回答のお願い)

 前略
 日頃、開かれた県政の推進と県民の参加の促進のため、ご尽力いただきましてありがとうございます。県民サービスセンターの設置や、一般公開文書の範囲拡大、インターネットによる情報提供などを通じて、県政に接する機会が日増しに増えてきていることをたいへん喜ばしく感じております。
 ところで、国の情報公開法の制定も間近と伝えられる中、情報公開に対する国民的な関心もとみに高まってきており、地方自治体の条例制定や改正の動きも各地で目立ってきております。
 このような状況をふまえて、私たちは、しばらく前から、情報公開の担当者を通じて、県の条例改正についての動きや取り組み姿勢についてお話をお伺いしてまいりました。しかしながら、それに対する回答としては、国の法律制定を待って改正作業に着手したいという意向を示されただけで、これまでのところ、具体的な方針や取り組みについてご説明をいただくことはできませんでした。

 ご承知のように、国の情報公開法の制定は大幅に遅れておりますが、その理由の一つには、政府案には、対象文書や開示請求権者が広く認められている部分があるなど、一定程度評価できる点もあるとはいえ、「知る権利」が明記されていないことや、要綱案では目的に書き込まれていた「監視」と「参加」が削除されていることに象徴されるように、私たちの積極的な関与を、法案自体が拒むような内容になっていることが挙げられると思います。今後の国会審議の場で、このような問題点が個々の条文の修正によって改善されてゆくことが望まれているわけですが、いずれにしましても、このような問題点が多く残されていることから、制定までにはまだまだ時間を要するのではないかという見通しも出されてきています。このような情勢の中で、県の条例改正が、今後も具体的な動きに結びつかないまま、漫然と国の法律制定を待つような事態は、地方の独自性を重視する観点からも、決して望ましいことではないと考えます。  また、最近のインターネットなどを通じた情報の提供や、意見募集などの形での参加型の行政決定の進展には、目を見張るものがあります。しかし、一方で、静岡県内でも、掛川市で市民参加が全く行われないまま、わずか2回だけの庁議を経ただけて情報公開条例案が議会に提出されたことが問題になるなど、私たちの参加が、具体的にどのような形で認められ、また、生かされてゆくのかということは、個々の取り組みによって大きな隔たりがあることも現実であろうかと思います。

 各地で行われている条例改正の取り組みの中には、一般公募が認められている例もあり、現行の県の公文書開示条例にも、「県民参加による開かれた県政を推進することを目的とする」と定められているので、今後の条例の改正作業において、県民の参加が最大限重視されるだろうことは十分期待できるところではありますが、具体的にどのような形での県民参加を得て進められてゆくのかという点は、情報公開条例の担っている制定の趣旨を生かす上でも、今後の極めて重要な課題になってくるだろうと思います。

 以上のようなことから、県の公文書開示条例の改正作業の現状と今後の方針や、その際の県民参加のあり方について、また、それに関連して、現行の条例の運用状況と閲覧手数料の問題について、県の取り組みやお考えをお聞かせ願いたいので、下記の点について早急にご回答下さいますようにお願い申し上げます。(なお、煩雑になりますので、質問の詳細は別紙に記載しました。)  また、この質問及びご回答につきましては、インターネットや上記ホームページなどを通じて、一般に公表させていただきたいと思いますので、この点についてあらかじめご了承いただきますようにお願い申し上げます。

草々




    1 「静岡県公文書の開示に関する条例」の改正に対する取り組みの進行状況について
    2 同条例の改正に際しての県民の参加のあり方について
    3 同条例の運用状況と閲覧手数料について
    4 その他(職員の研修や県民への協力について)
      (各項目の質問事項の詳細は別紙に挙げます。)

以上


(別紙)

−質問事項の詳細−

    1 「静岡県公文書の開示に関する条例」の改正に対する取り組みの進行状況について

    (1) 改正のための組織作りについて

    (ア) 現行条例の改正作業を行う際、それを担当することになる県庁内の部署名、担当者の人数、お名前などを教えて下さい。
    (イ) 現在までに、県庁内に懇談会、検討会など、この問題について何らかの検討をするための組織を、公式または非公式に設けていますか。設けているようであれば、それはどのような組織であって、どのようなメンバーの方が、どのような経過で選ばたのか教えて下さい。
    (ウ) そこでは、現在どの程度の話し合いが進められ、どのような点が一致できていますか。現在検討中の問題も含めて教えて下さい。
    (エ) 設けられていない場合には、今後設ける予定があるかどうか、どのような形で設ける方針であるか示して下さい。
    (オ) 今後県庁内でこの問題に関する検討会などの組織を設ける可能性がある場合、それに参加すると考えられる職員の所属と役職名を教えて下さい。

    (2) 諮問、相談などの形で意見を求めることのできる既存の機関について

    (ア) 現行条例の改正にあたり、県が現時点で、改正について相談したり諮問したりすることができる機関がありますか。また、相談をすることができる人がいますか。
    (イ) 現行の条例の制定に取り組んだ懇話会は現在は存在していないとのことですが、この懇話会はどのような経過で作られたものですか。また、当時の会議録などがありましたら見せて下さい。この懇話会をあらためて再開したり、県から相談や意見を求めたりする可能性はありますか。また、当時のメンバーは、現在の運用方法や改正のやり方などについて、意見を言うことのできる立場にありますか。

    (3) 資料収集などの調査やその他の準備作業について

    (ア) 県は現時点で、他の地方自治体の情報公開条例や改正の動向などについて、何らかの資料を収集していますか。また、それはどのような方法によって行っていますか。
    (イ) 県は、現在、他の地方自治体の情報公開条例の運用や利用状況などについて調査をしていますか。またそのような実態調査も含め、国や、県内市町村をはじめとする他の地方自治体の情報公開の担当者との連絡や意見交換などを行っていますか。
    (ウ) これ以外の方法も含めて、県は、他の地方自治体が行っている情報公開条例の改正に関する動きについて、どの程度把握していますか。また、これまでに収集した資料などを、一般の県民も利用できるような形で提供していただくことはお願いできますか。

    (4) 上記以外に、改正に係る動きに関連して、私たちが知ることによって今後役に立つと思われる情報がありましたら教えて下さい。


    2 同条例の改正に際しての県民の参加のあり方について

    (1) 現行の「静岡県公文書の開示に関する条例」第1条には、「もって県民参加による開かれた県政を推進することを目的とする」とあるので、今後、県民参加を重視する方向での改正作業が進められていくものと考えますが、その点に関して県の現在の考え方を示して下さい。

    (2) 参加の形態について

    (ア) この条例改正に向けて、具体的にどの様な参加のあり方が望ましいと考えていますか。何らかの方向が検討されているようであれば教えて下さい。
    (イ) 東京都などで行われている「一般公募」などの方法も考えられていますか。
    (ウ) 参加方法を検討する現在の段階で、どのような形での参加方法を採用するのか、また、どの段階で意見を求めるのか、どのようなメンバーによって改正条項を検討するのが望ましいかなどについて、県民から意見を求めたり、希望を聞いたりすることは考えていますか。
    (エ) その他、この条例改正に係る県民参加について、今後の問題点として考えていることがありましたら教えて下さい。


    3 同条例の運用状況と閲覧手数料について

    (1) 現行の条例の制定経過、及び運用、利用の実態について

    (ア) この条例の制定経過や運用の実態、利用状況などについてご説明下さい。
    (イ) この条例の内容、現在の運用のあり方、利用の実態などについて、県はどの様に自己評価していますか。特に、公文書開示請求の請求数、請求者数について、他の都道府県と比べて多いと考えていますか。それとも少ないと考えますか。
    (ウ) この条例の運用、利用に関して、どのような問題点があると考えていますか。

    (2) 閲覧手数料について

    (ア) 県民が県に公文書の開示を請求する際、閲覧手数料を支払わなければならない理由はどのようなことですか。
    (イ) 現行の条例において、手数料が減免されるのはどのような場合ですか。減免のための手続きを具体的に教えて下さい。
    (ウ) 閲覧手数料の計算の際、一件の料金を算定する基礎になっているのは、「事案処理を一にする公文書」であり、これは「決裁またはこれに準ずる手続」を指しているとのことですが、このようにな料金の算定の単位として「決裁」を使うことが妥当と考えられる理由を説明して下さい。

    (エ) 「決裁」は、その時々の状況や担当者の判断など、様々な事情でとり扱い方が異なってくる可能性があり、一般の県民のように、部外者の立場からは、どのような形で決裁が行われているのかを推測することは非常に困難です。そのため、請求者は、単に文書の開示請求をするだけでありながら、その行為とは全く不釣り合いな、予測不可能な負担を負わなければならない立場に置かれることになり、これは非常に不当なことであると考えます。また、そればかりでなく、継続する事務処理をどの時点で区切って一件と考えるかという問題をはじめ、実際に、一件の判断は、担当する課や職員の考え方の違いによって様々に変わってくる可能性もあり、判断の根拠は非常に不明瞭で、恣意的に行われる可能性も無視できません。このような点について、県はどの様に考えていますか。

    (オ) 他の地方公共団体では、閲覧手数料は取らないで公開しているところがほとんどであることは、すでにご承知のとおりです。同じように県の所有する公文書の公開を求めながら、特に静岡県民が、他の地域で無料で提供されている行政サービスを、時には高額の料金を支払わない限り受けることができないのは、県民にとって全く納得することができない不当なものであると考えますが、この点について、県はどのようにお考えですか。

    (カ) 行政の行っている不正や不適切な公金の支出の調査、また、行政が適切に行われていないことを指摘するために必要な書類を入手するためであっても、県民が、個人として閲覧手数料を負担しなければならない理由は、どのようなことですか。
    (キ) このような場合をはじめ、公益目的の開示請求については減免対象とするべきであると考えますが、これについてはどの様に考えますか。 (ク) 閲覧手数料や写しの料金が高額すぎるのではないかという批判については、どの様にお考えですか。
    (ケ) その他、手数料について、今後の改正の際の方針や検討されていることがあれば教えて下さい。


    4 その他

    (1) 職員に対する研修について

    (ア) 現在までのところ、情報公開についての職員に対する研修はどの様に行われていますか。
    (イ) その際、公文書の開示を県民に認めている意義を、県としては職員にどの様に説明していますか。
    (ウ) 今後の研修予定と研修を受ける対象、研修の内容を教えて下さい。また、これらの研修会に一般県民が参加を申し出ることはできますか。

    (2) 県民への協力、支援について

    今後、条例改正に関する議論を深めるため、県民が行う勉強会、検討会などに、県が講師を派遣したり、アドバイスをするために職員を参加させるなどの形で、支援や協力をするお考えはありますか。

    (以上)


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