平成9年度通商産業省委託 石綿含有低減化製品等調査研究

 
平成10年3月       社団法人 日本石綿協会

(以下転載)-----------------------

巻頭言

 石綿の有用性と、石綿の使用状況において過剰に吸入曝露された場合の有害性については、すでによく知られているところであるが、石綿を安全に管理し使用すること、及び適切な代替繊維を開発し安全に使用すること等の目標を達成するためには、なお多くの医学的、工学的知見が必要である。また、それらの知見に基づいた管理技術や行政的対応の方法についてもなお調査・研究に待つべき課題は多い。通商産業省は、このような状況に対応するため、1989年以降石綿対策検討委員会、さらに石綿含有低減化製品等調査研究委員会を設置して、調査・研究を推進してきた。その結果、石綿粉じん発生抑制マニュアルの作成、石綿代替繊維の安全性評価に関連する内外の情報の収集、繊維の生体内における滞留性の研究、標準繊維の作成、石綿及び代替繊維関連企業等における環境管理の現状、特にISO14000シリーズによって代表される最近の国際的な環境対策の標準化に対する対応の調査・解析、さらに、施工現場を模擬した実験において発生する繊維の幾何形状及び粉じんの発じん量について実験的に検討してきた。一方、石綿含有建築材料の施工現場での実状調査も行ってきた。本報告書は、上記の流れを受け継ぐ、調査研究として、平成9年度に実施した石綿含有製品の室内および室外における施工作業において発生する石綿繊維と粉じんおよび拡散について実験的研究の成果をまとめたものである。一方、窯業系建築材料のライフサイクルに関するアンケート調査を関連団体に実施した結果をまとめている。実験担当者及び協力者、さらにアンケート調査に携わられた各位の非常なご努力と、委員会委員各位による適切な討議とご示唆により、有用性の高い報告書となったと考える。ここに関係諸氏に対し深甚なる謝意を表する次第である。

平成10年3月26日

石綿含有低減化製品等調査研究委員会
委員長 田中勇武

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    目次

    はじめに

    (1)調査研究の目的
    (2)調査研究の内容
    (3)調査研究の期間
    (4)調査研究の委員会組織

    第T章 石綿含有建材等模擬施工時における石綿粉じん飛散把握実験
    1 実験目的
    2 実験場所
    3 実験建築材料
    4 実験使用工具及び器具
    5 実験建築材料の切断条件
    6 実験方法
    6.1 屋内実験
    6.1.1 実験条件
    (1)換気条件の設定
    (2)施工実験手順
    6.1.2 測定方法
    (1)サンプリング方法
    イ)サンプリング条件
    ロ)測定位置
    (2)分析方法
    イ)石綿の計数(PCM法)
    ロ)粉じんの質量濃度
    6.2屋外実験
    6.2.1施工実験手順
    6.2.2測定方法
    (1)サンプリング方法
    イ)測定位置の設定
    ロ)サンプリング条件
    (2)分析方法
    イ)石綿の計数(PCM法)
    ロ)粉じんの質量濃度
    7 実験結果
    7.1 屋内実験結果
    (1)FBボード
    (2)スラグ石膏板
    (3)サイディング
    (4)けい酸カルシウム板第一種
    7.2 屋外実験結果
    (1)気流の測定結果
    (2)実験結果
    8 考察 (1)屋内実験について
    (2)屋外実験について
    9 まとめ
    9.1 屋内実験について
    9.2 屋外実験について

    第U章 建築材科のライフサイクルに関するアンケート調査

    1 調査目的
    2 調査内容
    3 調査方法及ぴ回収結果
    4 調査結果 4.1 回答企業の概要 4.2 石綿含有建築材科のライフサイクルにおける安全性の確保のための取り組み
    4.3 無石綿建築材料のライフサイクルにおける安全性の確保のための取り組み
    4.4 国際的な動向への対応等について
    5 まとめ
    展望

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1 はじめに

(1)調査研究の目的

 石綿は、大量に長期間吸入した場合に人の健康に影響を与える恐れのある物質として、使用にあたっては、管理の徹底が必要とされており、国際労働機関(ILO)においても管理下の安全使用を前提とした石綿条約が採択されている。石綿の安全使用には、健康被害の防止の観点から、石綿含有製品の製造、加工、補修、解体、廃棄にわたる製品ライフサイクル全般の安全性の評価が必要である。わが国では、石綿製品製造・加工工場に比べ、施工現場及び解体現場での施工・解体方法による石綿繊維及び粉じんの発生量等について、信頼できるデータが乏しい状況にある。本調査研究では、石綿含有製品のうち、石綿の使用量が多くかつ生産量の多い石綿含有建築材料を対象に、施工現場及び解体現場のうち、特に施工現場における石綿繊維を含む粉じん発生量・濃度を把握するとともにその評価を行うことを目的とする。併せて、製品のライフサイクルに関する窯業系建築材料製造業者の実態調査を行う。

(2)調査研究の内容

 この調査研究では、石綿含有製品のうち、製造量の多い建築材料を中心として以下の事項について調査検討する。(1)現在までに公表等されている石綿含有建築材料の施工時に関する石綿及ぴ粉じん濃度データ(作業条件や作業環境条件を含む)を収集・解析して、石綿及ぴ粉じんの発生・濃度の関係を把握する。
(2)主要な石綿含有建築材料を使用している施工現場で石綿及ぴ粉じん濃度測定を行い、同時に作業条件(使用工具、加工量、作業頻度等)及ぴ作業環境条件(天候、換気状態、労働衛生対策の有無等)を調査し、作業現場における発じん状況を把握するとともに、上記(1)との整合性を確認する。
(3)窯業系建築材料製造業者特に石綿含有建築材料製造業者を対象にして、製品のライフサイクルについての対応等に関するアンケート調査を実施し、製品のライフサイクルに関する製造業者の実態を確認するとともに石綿含有建築材料のライフサイクルのあり方について検討する。

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(3)調査研究の期間
平成9年度(平成9年8月6日〜平成10年3月31日)

(4)調査研究の委員会組織

    委員構成

    本委員会      ____  調査分科会
    (委員長:田中勇武)     (主査:田中勇武)
                      粉じん測定調査作業部会
                      アンケート調査作業部会

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    本委員会

    委員長 田中勇 武産業医科大学教授
    委員 東敏昭 産業医科大学教授
    委員 名古屋俊士 早稲田大学理工学部教授
    委員 本橋健司 建設省建築研究所第2研究部室長
    委員 福水健文 通商産業省生活産業局住宅産業窯業建材課長
    委員 小西汐人 (社)日本作業環境測定協会
    委員 乙黒利和 (財)建材試験センター
    委員 山谷恒夫 (社)日本石綿協会
    委員 前田高徳 スレート協会
    委員 富田雅行 耐火被覆板協会・ロックウール工業会
    委員 栗本武雄 日本窯業外装材協会
    委員 永渕郁郎 セメントファイバーボード工業組合
    委員 前島毅 EPC(押出成形セメント板)協会
    委員 神谷健二 硝子繊維協会

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    調査分科会

    主査 田中勇武 産業医科大学教授
    委員 大和浩 産業医科大学講師
    委員 二渡了 産業医科大学助教授
    委員 名古屋俊士 早稲田大学教授
    委員 丸山清 通商産業省生活産業局住宅産業窯業建材課
    委員 尾畑英格 通商産業省生活産業局住宅産業窯業建材課
    委員 小西淑人 (社)日本作業環境測定協会
    委員 乙黒利和 (財)建材試験センター
    委員 前田高徳 スレート協会
    委員 富田雅行 (社)日本石綿協会
    委員 栗本武雄 日本窯業外装材協会
    委員 前島毅 EPC(押出成形セメント板)協会
    委員 永渕郁郎 セメントファイバーボード工業組合

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    粉じん測定調査作業部会

    委員 大和浩 産業医科大学講師
    委員 尾畑英格 通商産業省生活産業局住宅産業窯業建材課
    委員 前田高徳 スレート協会
    委員 小西淑人 (社)日本作業環境測定協会
    委員 前島毅 EPC(押出成形セメント板)協会
    委員 冨田雅行 (社)日本石綿協会

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    アンケート調査作業部会

    委員 二渡了 産業医科大学助教授
    委員 尾畑英格 通商産業省生活産業局住宅産業窯業建材課
    委員 前田高徳 スレート協会
    委員 栗本武雄 日本窯業外装材協会
    委員 前島毅 EPC(押出成形セメント板)協会
    委員 富田雅行 (社)日本石綿協会

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実施日程


    項目      8 9 10 11 12 1 2 3月
    委員会
    本委員会 2回  (略)
    調査分科会3回   (略)
    粉じん測定調査作業部会 2回  (略)
    アンケート調査作業部会 4回  (略)

    調査
    実験
    報告書作成

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    委員会開催日

    1 本委員会
    第1回平成9年8月27日
    第2回平成10年3月26日

    2 調査分科会 第1回平成9年9月12日
    第2回平成10年3月9日
    第3回平成10年3月26日

    3 粉じん測定調査作業部会
    第1回平成9年9月12日
    第2回平成9年11月20日

    4 アンケート調査作業部会
    第1回平成9年9月12日
    第2回平成9年10月6日
    第3回平成9年11月4日
    第4回平成10年2月6日

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