(4) 情報の提供

 私たちは昨年秋、アスベストを含まない建材について、環境ラベルによる販売の促進が可能であるか検討する必要があったため、(財)日本環境協会に問い合わせをした。すぐに資料は送られて来て、エコマークについていろいろなことを知ることができた。

 しかし、エコマーク商品の商品類型について提案する必要があると考えて、再度いくつかの質問をしたところ、質問に対して提供された情報はかなり限定されていた。

 まず、エコマーク推進委員の名前を公表してもらうのに手間取った。公表はしてもらったものの、前年以前の名前は教えてもらえなかった。

 会計報告を公表してほしいとお願いしたら、それは難しいと言われた。何とかお願いしたら、東京に来て申込書を書いてもらわなければだめだという。会計報告は国民が知るべきごくありふれた情報であり、当然公表されていてしかるべきと考えたが、そのような考え方には立っていなかったようだ。郵送でもできるように検討してほしいとお願いしている。

 ところが、そのことも含めて回答と経過をホームページに載せたら、他の人に誤った印象を与えるおそれがあるからホームページに載せるべきでないという抗議が来た。そのようなことをする団体とはどういう団体なのか、アスベストについて考える団体がエコマークのことに関心を持つのはおかしいというのである。

 環境基本計画で情報の提供を重視するといっても、環境行政の中核となる公益法人ですらこうである。情報公開が制度として作られても、定着することは本当に難しい。しかも法制度が作られていなければなおさらのことだ。私たちは、環境基本法や環境基本計画の定めがあれば十分であると考えたいが、この例でいくとそうではないようだ。

 私たちの知る権利を守ることを目的とする、充実した内容の情報公開法の制定が待たれるところである。


 現在、国会では情報公開法の制定に向けた審議が行わようとしているが、2月中旬に各省庁に配られた政府原案では、公益法人はこの法律の対象に含まれていないようだ。また、非常に重要なことだが、目的の中から要綱案には示されていた「参加」が抜け落ちてしまった。請求料金も有料とする考えのようだ。

 環境基本法第27条では、国が必要な情報を適切に提供することを求めており、環境基本計画にはそれを実現するための取り決めがある。また、環境基本計画の中では「参加」は重要な柱になっている。

 もし原案のような形で情報公開法が制定されるとすると、環境基本計画でいう「環境保全に関する様々なニーズに対応した情報が各主体に正確かつ適切に提供されること」「適正な情報が効率的に提供され、できるだけ広い範囲で容易な利用が可能になるように努める」ことなどが達成されにくくなってしまうおそれがある。

 情報の提供は「参加」を実現するための大切な要素である。
 行政の補助的な機能を果たし、公共のために役に立つ活動をしているのに、そのために必要な情報を得ることを個人や民間団体の個人的な負担に頼っているようでは、環境行政の充実は望むべくもない。

 「参加」を推進する目的のためにも、少なくとも環境情報に関しては手数料の免除を行うなど特別の措置が必要だと考えるべきである。情報公開法の制定にあたって、環境基本法や環境基本計画の趣旨が十分尊重されることを期待する。
(5) 国際的取組と国内の対策

 昨年11月、私たちは、環境庁長官宛に「原子力発電所の増設を地球温暖化防止の手段と考える政策に反対する意見書」を提出し、中央環境審議会にも意見として送付した。

 「持続的な発展」をテーマに、循環を旨とした持続可能な社会の構築を目的とする地球環境問題の解決の手段として、放射性廃棄物の問題や廃炉の問題が解決されていない原子力発電の推進を前提とすることの政策的な矛盾を指摘したものである。

 原子力発電は、地震の際の事故の可能性を否定することができず、いったん事故が起これば環境に与える影響は計り知れない。このような危険が伴う政策を、温暖化防止という、未来のこどもたちの地球環境を守るための手段として認めるべきではないという判断が、環境行政の根本的な考え方としてなされなかったことは非常に残念である。

 国際的な取組は、国民の健康と安全を第一義に考えた国内の対策の充実を基礎として推進されることが大切である。


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