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アスベストについて考えよう


***  考えて何になる? 考えないで暮らしたい。  ***

*アスベストとは*

アスベストは天然にできた鉱物繊維 アスベスト鉱山で採掘した原石から 繊維を取り出して製品化する。
わが国でも、アスベスト鉱山はあったが、 現在は、北海道の一か所を残すのみ。 95%は、カナダ、南アフリカ、ロシアなどから輸入。

*なぜ危険なのか*

アスベストは熱に強く、酸、アルカリにも強い。 摩擦に強く、ピアノ線よりも強いといわれるほど切れにくい。 丈夫で、変化しにくく、柔軟で、加工しやすく、安価。 しかし、その耐久性のゆえ、いったん吸い込んで肺の中に入ると、 組織につき刺さり、長い間ととどまって、何十年か経ってから 肺癌、悪性中皮腫などの病気を引き起こしてくる。

20年から40年の潜伏期間というと、現実的な危険性は感じないが、 20年以上も前に吸い込んだアスベスト繊維のために、 今突然、発病してくると考えると恐ろしい。

*子供の方が危険なのか*

若い時にアスベストを吸い込んだ人の方が悪性中皮腫になりやすいと言われる。 そのため、アメリカなど、学校などで、子供たちが アスベストを吸い込むことのないように、特に注意している。

*日本ではもう使われていないのではないのか*

今まで電話などでいろいろなところに問い合わせても、 もうアスベストは使われていないといわれてきた。 しかし、わが国のアスベストの使用量は、現在でも、年間約20万トン この量は、ロシアに次ぎ、中国と第2位を争っていると言われる。

*どこに使われているのか*

現在、アスベストの代替化は進んでいると言われるが まだ、アスベストを使っている車も走っている。 吹き付けアスベストは、原則的に1975年に禁止されたが その後、他の建材の吹き付けに混ぜて使っている例もある。 戦後、盛んに行われた吹き付けアスベストを使った建物は
今も多く残されており、これから取り壊しのピークを迎える。

吹き付けアスベストは、飛散性があるものとして特に問題にされるが、 実際に使用されている量は、スレートなどの、 一般に、アスベスト成形板と言われる建材の方が遥かに多く 我々の身近かにあふれているが、解体にあたって、法規制がないため 影響は、むしろ大きいのではないかとも考えられる。

一般住宅の屋根瓦(コロニアルなど)、外装材などに 広く使われていることが問題とされる。

特に、代替化が進んでいると言われながら 昨年度の消費量が19万トンを越えていたことから どのようなところに実際に使われているのか、判然としないため、 通産省に質問し、はっきりと確認する必要があると考え、現在、準備中。

*どの程度危険なのか*

相当量の疫学調査などの結果から、アスベストは他の危険物質に比べ、危険性はかなりはっきり証明されていると考えられている。

特に、他の発癌物質の発癌性を高める働きが有ると言われ、 タバコとアスベストの相乗作用によって タバコだけだと、吸わない人の10倍ほど発癌率が上がるとされるが、 喫煙者のアスベスト労働者の発癌率は普通の人の90倍という報告もあり、 普通は50倍くらいも高くなるとされる。

他の発癌物質が、大気中に増えていることから、それらの物質との相乗作用によって、 肺癌などの癌が、今後増加してゆくことが心配されている。

*どの程度の被害者がいるのか*

日本でのアスベストによる被害者が現在どの程度いるか、 調査されていないので、あまりよくわかっていない。
ほとんどがアスベストによって起こるとされる、 悪性中皮腫が近年急上昇している事実から、 1972、3年頃をピークに大量に使われ続けている影響は アスベストの長い潜伏期間から見て、 今後、現実に表面化してくることが予想されている。

*他国の状況*

欧米各国では、1980年代からアスベストの危険性が明らかになって、 使用禁止になったり、使用量が減って、使われなくなってきている。
特にアメリカでは、他に類を見ないほど大量の訴訟が起こされ、 トップメーカーのマンビル社は倒産。訴訟は今も継続しており、日本の被害者も、最近8人が、製造物責任に基づいて賠償請求が認められた。

今まで、注意して使用すれば安全と言っていたフランスでも、 昨年7月、アスベストの使用禁止が決まり、 癌を誘発すると、30年前から言われていた末の禁止措置は 遅すぎる感が有ると報道されている。
そのフランスの年間使用量は3万5千トン(〜5万トン?)、 現在の被害者は年間2千人とか、3千人とみられている。

イギリスの1993年頃のアスベスト輸入量は約1万トンだが、 悪性中皮腫だけでも、死者は1991年に年間千人を越えている。

1993年当時でも、アメリカが約3万トンで、日本は、その約8倍のアスベストを 使用している。
これは人口一人あたりでは、約16倍、面積あたりでは約194倍になっている。
アメリカの減少傾向からすると、この比率は現在はもっと大きくなっていると考えられる。

*アスベスト被害を防ぐため*

地震などによって倒れた建物に、 吹き付けアスベストが使用されている場合 近寄ったり、そのままで解体したり、 解体中に側にいたりしてはいけない。
特に子供を解体現場に近づけない。
解体工事や建設工事を行う人は、 国家検定の防塵マスクを使って、自衛する。
吹き付け材が使われている場合、 いたずらで、削ったりして子供を遊ばせない。
アスベスト繊維が含まれている建材を 家の中で加工してはいけない。
日曜大工をやる人は、 建材にアスベストが含まれていないか注意する。 アスベストの粉塵は、大変細かいので、 掃除機のフィルターを通ってしまう。> もし掃除機を使うと、まき散らして危険になる。 部屋を締め切って、クーラーなどを使う時、 その部屋にアスベストの吹き付けがあれば、 振動によって飛散することを承知しておく。

古いドライヤーや、トースターなどには、 アスベストが使われている可能性もある。
建物の解体現場には近付かない。
昭和30年代から50年代頃の 鉄筋などの建物の解体が 近くで行われる場合には 吹き付けアスベストが使われているか 工事の責任者に聞く。
家の中の吹き付けアスベストを 除去しようとする場合、 しっかりとした業者が、 確実に飛散防止対策をしているか 調べなければ危険。

*吹き付けアスベストは除去された?*

1988年頃、大きな社会問題になって、吹き付けアスベストは 学校等ですでに除去されていると考えられているが、 静岡県などの場合その資料はなく、 その後でも除去工事が行われていることから、 まだ残されている可能性はある。

静岡市営住宅でも、アスベスト含有のロックウールが使われている住宅は 建材で覆われているが、現在も850戸以上残されている。

アスベストは もう使わない
使ったアスベストは飛散させない

アスベストについて考える静岡県民の会
ヘ パ フ ィ ル タ ー

1997.1


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