20年から40年の潜伏期間というと、現実的な危険性は感じないが、 20年以上も前に吸い込んだアスベスト繊維のために、 今突然、発病してくると考えると恐ろしい。
吹き付けアスベストは、飛散性があるものとして特に問題にされるが、 実際に使用されている量は、スレートなどの、 一般に、アスベスト成形板と言われる建材の方が遥かに多く 我々の身近かにあふれているが、解体にあたって、法規制がないため 影響は、むしろ大きいのではないかとも考えられる。
一般住宅の屋根瓦(コロニアルなど)、外装材などに 広く使われていることが問題とされる。
特に、代替化が進んでいると言われながら 昨年度の消費量が19万トンを越えていたことから どのようなところに実際に使われているのか、判然としないため、 通産省に質問し、はっきりと確認する必要があると考え、現在、準備中。
特に、他の発癌物質の発癌性を高める働きが有ると言われ、 タバコとアスベストの相乗作用によって タバコだけだと、吸わない人の10倍ほど発癌率が上がるとされるが、 喫煙者のアスベスト労働者の発癌率は普通の人の90倍という報告もあり、 普通は50倍くらいも高くなるとされる。
他の発癌物質が、大気中に増えていることから、それらの物質との相乗作用によって、 肺癌などの癌が、今後増加してゆくことが心配されている。
今まで、注意して使用すれば安全と言っていたフランスでも、 昨年7月、アスベストの使用禁止が決まり、 癌を誘発すると、30年前から言われていた末の禁止措置は 遅すぎる感が有ると報道されている。 そのフランスの年間使用量は3万5千トン(〜5万トン?)、 現在の被害者は年間2千人とか、3千人とみられている。
イギリスの1993年頃のアスベスト輸入量は約1万トンだが、 悪性中皮腫だけでも、死者は1991年に年間千人を越えている。
1993年当時でも、アメリカが約3万トンで、日本は、その約8倍のアスベストを 使用している。 これは人口一人あたりでは、約16倍、面積あたりでは約194倍になっている。 アメリカの減少傾向からすると、この比率は現在はもっと大きくなっていると考えられる。
古いドライヤーや、トースターなどには、 アスベストが使われている可能性もある。 建物の解体現場には近付かない。 昭和30年代から50年代頃の 鉄筋などの建物の解体が 近くで行われる場合には 吹き付けアスベストが使われているか 工事の責任者に聞く。 家の中の吹き付けアスベストを 除去しようとする場合、 しっかりとした業者が、 確実に飛散防止対策をしているか 調べなければ危険。
静岡市営住宅でも、アスベスト含有のロックウールが使われている住宅は 建材で覆われているが、現在も850戸以上残されている。
アスベストについて考える静岡県民の会 ヘ パ フ ィ ル タ ー 1997.1