2001.10.26
静岡市内で開業している歯科医が麻酔液を使い回ししているとの申立てにもとづき、静岡市保健所が立入検査を行ないました。
25日に朝日新聞の静岡版に、「麻酔液使い回しか/静岡の歯科医」というタイトルで、次のような内容の記事が掲載された。
http://mytown.asahi.com/shizuoka/news02.asp?kiji=4447静岡市内で開業している歯科医が、麻酔注射の際、余った分を次の患者に使っているという指摘があり、保健所が立入検査をしたというもの。
以下、静岡市保健所の担当者に聞いた内容をもとに、事実関係をまとめてみた。
(以下の内容は概略で、一部不明確と思われる部分があります。正確な情報が得られた時点で、間違っている部分があれば訂正します。ご不明な点については関連部署でご確認ください。)これまでの事実経過は、次のような流れだったとみられる。
8月30日、静岡市保健所総務課(054-255-7811)に、市内の歯科医の助手が訪れ、勤務先の歯科医が麻酔薬の使いまわしをしている、感染の危険性があるので指導をしてほしいと申し出た。
保健所では指導すると伝え、9月7日の1:30、昼休みで患者がいないときに行くことを決めた。
(この後、県の医療室の担当者に、このような申し出があったことを伝え、市が立ち入り検査をすることを伝えた。県からは、市に指導権がある、行政指導で適切な対応してくださいというアドバイスを受けた。)9月7日、保健所の職員2名で立ち入り検査。時間は1:30から50分くらいまでの20分間。
歯科医に、一般市民から、麻酔薬の使いまわしをしているから指導してほしいという申し出があった、感染の危険があって危ないので、そういった行為はやらないでくださいとお願いをした。
医師は、やりませんという返事だった。 (この際、これまで使いまわしをしていたという事実があったかどうかということについては、聞かなかった。聞きたかったが、聞く権限がないので聞けないと判断した。)
10月9日に、厚生労働省の担当者(医薬局監視指導麻薬対策課)から、弁護士から、使いまわしの事実があるという内容の話があったが、どのような対応をしているのか電話で聞かれた。
立ち入り検査をして、やめてくださいという指導はしたと伝えた。厚生労働省の担当者は、わかりましたということだった。
10月19日に、市内の弁護士から、使いまわしの事実があり、その証拠もある(録音テープ)ので、指導してほしいという内容の申立書が、保健所長宛てに提出された。
保健所では、それを精査検討した結果、もう一度立ち入り検査をして、文書で回答を求めようということになった。
10月23日、2回目の立ち入り検査、1:30から20分間位。職員は2名。
@9月7日の1回目の立ち入り検査の後、使いまわしを行っているか
Aそれ以前に行っているか
Bもし行っているのなら患者に対する今後の対応をどうするか
の3点について、10月29日までに回答するように、文書で申し入れた。*なぜ、1回目の立ち入り検査の時に、使いまわしの事実について確認して、適切な処置を検討することができなかったのかについては、現実に被害者が発生していない段階でそのような対応をすることはできなかった、使いまわしという行為自体は、あくまでも法律違反ではないので、保健所では対応できないと判断したという。
*他の診療所についても調査するべきという意見は出なかった。警察に捜査などを求めることも、被害者が発生しているわけではないのでできない。医療保険の点数などの関係は、社会保険局の担当で、そちらに申し出てほしいと伝えたので、すでに調査をしていると思うとのこと。
*医師に患者についての対応をどうするか聞くだけではなく、自分たち自身の責任として、そのような使いまわしの事実があるとすれば、一日でも早く止めさせるとともに、患者を調査し、検査をするように伝えるなどの責任があるはず、そのような対応はしていないのか聞いたところ、検討はまだのようで、回答を待ってからということだった。
*県の担当(静岡県医療室)でも、そのような検討はしておらず、他でも行われていないかどうか調査すべきなどという意見も出なかったという。
*注:
保健所の話では、量などの詳しい様子は不明だが、注射器に取り付けた容器の中に残った麻酔液を、容器ごと、新しい針と注射器に差し替えて使うとのこと。
歯科医は「針を取り換えれば心配ない。血液が逆流しても、よほどの量でなければ大丈夫」と答えていたようだが、県や保健所では、はじめに使用した患者の血液が、容器の中の麻酔薬に逆流する場合があり、感染の危険があると考えているという。