アルファロメオS.Z.
1986年にフィアットに吸収され生まれ変わった新生アルファがイメージリーダーとして1988年に発表したスポーツクーペ。
そのアレグレッシブかつアバンギャルドなエクステリアは、このクルマに“IL
MOSTORO”(怪物)のニックネームを与えた。
1990年より本格的に発売されたが限定1000台は瞬く間に完売となり、コレクターズ・アイテムとして現在でも高価で販売されている。
S.Z.の由来は御存知60年代の名車、アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ザガートのSZであるが、その成り立ちはむしろ70年代のジュニア・ザガートに近く、又、デザインもフィアットが主導しザガートも例のGFRP製ボティーの組み付けとルーフ関係のシャシ改造を担当したのみであり、その意味からもS.Z.は単なるエッセ・ゼータであってスプリント・ザガートでは無いのかもしれない。
しかし、アルファロメオの歴史上、ザガートとの組み合わせは特別なクルマとして不動の物であり、このダブル・ネームはアルフィスタにとって強烈なインパクトをあたえるだろう。
但し、正体はアルファ最後のFRでトランスアクスルのTipo
75であり、機関部や電装系のトラブルは必至であろう。 そのドライブ・フィールは伝統の3000ccV6ユニットと75エボの足廻りの組合わせをリファインし、アルファ独自のスパイスで仕上げられ、適切な前後重量配分と低められた車高によって、現在においても第一級のコーナーリング・マシーンであり、腕に覚えのあるドライバーが峠を走れば、あの独特のアルファ・サウンドと共に異次元の世界に入ることのできる魔法の靴となる。
但し、この僅か千台の希少な限定車を、目一杯走らせる事の出来る酔狂な人は、やはり限られた趣味人だけなのだろう。
いや〜 誉めた誉めた。 やっぱ、自分の好きなクルマは解説にも力が入るなぁ。