【 ラフ画 】

完成版とほぼ同じですが、この段階ではまだ周囲の囲みをどうするか具体的に決まっていませんでした。
「ステージで囲んでよりゲームらしさを出そう!」と思いついたのは優子の原画を描き始めてからでした;
最初は全部のステージを入れようと思っていたのですが、かなり小さくなって潰れてしまうとわかり、
縮小後の見栄えなどから「街」「下水道」「ボルセドムの森」「ログレス城」を選択しました。
【 優子線画 】
0.3Bシャーペン

当時の、「手描きの絵を白黒二値でスキャンして潰れまくった線をドット毎に細々と修正した苦労の思い出…」もあって、
今回は最初から「白黒二値で手描きのタッチを残したい」と思っていたので、鉛筆の線をそのまま使いました。
デジタルのペン入れは線が機械的に綺麗になり過ぎてしまうので、あえて使いませんでした。
【 グール / ダズル 】

ステージで囲んでるので最初の「街〜下水道」の中ボス「ダズル」、
「グール」はデザインが好きなので…というかコイツらのデザイン好きなんです、
いかにも当時のゲームの中ボス的なデザインが;
Tシャツの絵面的にも結構いいアクセントになったと思ってます。
【 ログレス / ヴァリア 】

「ヴァリア様は正義の方でしょ?なんでこんな恐い顔なの?本当は悪い人?」と、当時からよく聞かれました。
『夢幻戦士ヴァリス』には“人の心の明(善)と暗(悪)”というテーマがあるので、
「明暗一体の人の心に一元的な善や悪はない。ヴァリアも自分の都合を人に押しつけるような一面もある」と、
最初のビジュアルシーンで夢幻界に半ば誘拐(?)され、戸惑い嫌がる優子を無理矢理戦士に仕立てあげる様子を描きました。
そのためヴァリアは「自分の表情に心の動きが出てしまうのを恐れ、仮面のような無表情をしている」という設定でそれを絵にしたものでしたが、
1枚320KBのFDに全てを入れなければならない当時は「あと3文字削ってくれ」「なんとかここの1色削ってくれ」といった、
いまでは考えられない数バイトの死活問題が常にあり、それら様々な設定にまったく触れることができないままゲームを作るしかありませんでした。

…とはいえ、30周年なので当時のデザインのままにしようかとちょっと迷いました。
ログレスは最初からわかりやすく悪を前面にした強面なのでどっちでもいいのですが、
(ログレスも仮面:小説では部下の身の上を思いやるような心があることを示す会話があります)、
やはり仮面をかぶっている=隠し事がある、というわかりやすさがありますので、
ヴァリア様も仮面で無表情を強調した20周年同人誌のデザインを使いました。
【 線画 】

麗子はどう描こうか迷ったものの、絵をステージで囲んであるのでやはり最初に
夢幻界で出会うシーンにしようと思い、いくつかラフを描いてこの表情にしました。
笑顔過ぎるのではとかいろいろ迷ったのですが、
かわいい感じというか子供っぽさというか、そんな感じを残したかったので
こんな表情かなと…;
【 グレースケール 】

トーン化するとあまり細かい部分は再現されないので
そこそこでやめようと思いつつ、ついつい細かいところまで塗ってしまいました;
【 トーン化(二値化) 】

一応トーンの調子を確かめながら塗ったのでまぁなんとか再現できていると思います。
【 AF6C原画 】

「フフッ…大丈夫、私の記憶には残るから…。とどめは私が刺してあげるわ!」

当時の原画です。
夢幻界へ行った後の最も麗子らしいシーンと思っていたのでこの表情にしようかと迷いました;
が…なんというか、いま見るとちょっと悪者っぷりが堂に入り過ぎというか、そんな感じがしないでもない…的な?;
上記の「子供っぽさ」が気になったのもそんなことからで…30年も経つと同じ感覚では見られない感じです;
絵柄もずいぶん変わりました…;
30年も経ったから当然とはいえ、この頃の画風というか絵柄はもう自分でも模写しないと描けないです;
【 下水道パーツ 】

「仕上がりに手描きのタッチを残したい」という狙いがあったので
ステージも手描きにしようとしたのですが、同じパターンの繰り返しなので
手描きでパーツを描いて組み立てることにしました。
【 パーツ組み立て 】

当時のゲーム製作と同じにパーツを使って1ステージ組み上げているうちに、
ステージを作っていた当時のことをいろいろと思い出してしまいました。
【 グレースケールで塗り 】

二値化することに決めていたので細かいところまで描かず、
大雑把に汚しを入れただけです。
【 トーン化(二値化) 】

トーン化してみて、ここまで当時の荒いドット画面を
彷彿とさせる絵になろうとは思いませんでした。
なんかちょっと嬉しかったです。
【 街 パーツ 】

ビルなどいくつかのパーツの絵はただの四角なのでPCで直接描きました。
当時、この「街」ステージはテスト版で最初に作ったので、キャラが動くようになってから
セーラー服の女の子が高いビルや橋の上までジャンプする様子に
開発室のみんなで笑い転げてしまったのを覚えています。
いまでは別に違和感などな何もないことですが、
当時は超人という設定でもない“普通の女子高生”がそんな動作をすることが
奇妙に見えたのかも知れません(笑; 30年…時代は変わりました;
【 ログレス城 パーツ 】

ゲームは「街〜下水道」で右上角の中ボス「ダズル」を倒し、
右下角の「夢幻界」へ行って様々なステージをクリアし「ログレス城」を目指す、
という流れなので、Tシャツのステージ枠もそのように配置しようと思いました。
左下角の中ボス「麗子」は彼女と戦うステージの「ボルセドムの森」、
そして最後は「ログレス城」…でもログレスは真ん中にいるので
左上角の「グール」は絵面的に選びました;
【 ボルセドムの森 パーツ 】

このステージはパーツを個別に描くのも組み立てるのも面倒そう、というか不可能っぽかったので丸ごと模写しました(笑;
描いてないところは適当に切り取ってきて貼り付ければそれっぽくなるとの判断で(笑)、実際そうなりました。
左下角の麗子は夢幻界で優子と出会う(待ち伏せですが)ところのビジュアルシーン、
「あなたにはこの醜いヴォーグ達がお似合いね」のシーンです。
『30周年記念Tシャツ』原画展 End