誤審
詩 さだまさよし
あの日 ドーム球場の高い
ピッチャーマウンドに登っていた
君はマウンドの僕へ向かって
サイン細い指でかざす
それをしばらく見つめた後で
『必殺』と言った後で投げる
指の隙間からベースの上に
白い色の風が舞う
切れかけの打球 あの篠塚が放つ
ドームのポールの白い色がそれとすれ違う
真面目に柳田がファールの仕草した後
小さなため息まじりに振り返り
ところが大里はホームランの判定
審判は信じられぬものよ
僕はマウンドを少し斜めに
降りながら不意に涙ぐんで
まるでドームの審判だけは
巨人びいきみたいだと言う
ねえほら そこにもここにもかつて
誤審したことあるやつが立ってる
大里晴信という名のボケが
ファールなのにそれをホームランにする
勝ちかけの試合 勝利信じて投げる
大里のバカのジャッジだけがそれを噛み砕く
2点のリードをしっかり守ってやろうと
懸命に気合の投球繰り返し
取られる時にはこうしてあっけなく
ファールでも点になるものよ
<解説>
元唄はさだまさしの「檸檬(れもん)」
これも定番の篠塚の疑惑のホームランネタです。
さだの曲に私が詩をつけました。
−以上ー