糸電話

詩 さだまさし

 

 ※ 糸電話みたいな恋でした
   近づきすぎたら聴こえない
   離れすぎたら切れてしまう
   不器用な恋でした

 出始めのポインセチアの 天鵞絨のような紅の鉢植を
 小脇に抱えて立っていた 人なつこいあなたの笑顔
 肩に降りつもる ぼたん雪の白 澄んだあなたの茶色の瞳
 多分あの時にあなたを 愛したいと思った

  風ひといろ 吹き抜け
  時代遅れの恋人たちは
  もどかしい位 小さな歩巾で
  歩き出そうとしてた

 ※ くり返し


 故郷へ帰る夜汽車で 息を殺して泣き続けた
 数え切れない程のさよならを あの町に置き去りにした
 あなたを失くしたあの頃に 流行っていた悲しい唄を
 掌でなつかしむ程 嘘はつけないけれど

  夢ひといろ 駆け抜け
  季節はずれの旅人たちは
  愛は愛として 傷は傷として
  抱きしめられるようになった

  ※ くり返し


糸電話もしくは入らんわ

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