カラチの市内をタクシーで走っていたとき、少し郊外に寄ったところの川岸で写真のような光景に出くわした。遠くから見たときは何のことか分からなかった。ただやたらに大勢の人がうごめいているようにしか見えなかった。近づいてからタクシーの運転手に聞いてみた。彼らは何をやっているのか?
「洗濯屋」ですよ。
貧しい人達がこの界隈に集まって洗濯を仕事にしているとのこと。機械や道具類は一切無い。洗濯物を泥水につけて、まず足でグチャグチャに踏んづけ、ついで石や立木に叩きつけ、最後には棒で叩き上げる。まるで洗濯物を親の敵のように虐待しているのかと見まがうような異常な光景である。
しばらく見ていると、何人かが固形石鹸を衣類になすり付けている。そうか、泥水と思ったのは最初は石鹸水であったものが、汚れて泥水に見えたのであった。仕上げは、泥水のような川の水ですすぎ洗いし天日に干すのである。ビックリしたが衣類の形を見るとどうやら民族衣装のようである。
あまりスーツらしきものは見あたらない。そうか、ここは土地の人向けの洗濯屋さんなのである。
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