ピラミッドの前でラクダ商人に「登って見ろ」とけしかけられる
     ピラミッドを登る人
ピラミッドを登り始める う〜ん、危険がいっぱい

ラクダに乗ってピラミッドやスフィンクスなどあちこち見て回った後、歩いて直接ピラミッドに触れることにした。

遠方より見たピラミッドは幾何学的にまた物理学的に計算し尽くされた美しいシルエットを見せてくれているが、そばに寄れば数百万個の巨大なゴツゴツした石灰石や花崗岩で出来ている大きな山である。

それはもはや数字の世界ではなく、一辺の長さはただ途方もなく長く、高さは遙かに天を突き刺すが如く空に吸い込まれていく。

これが4000年の昔、人の手によって作り出されたものなどとは、到底信じ難いものである。

感慨に耽っていると、白服のラクダ商人が来て、ラクダに乗らないかという。 もうラクダで十分見て回ったというと、ではピラミッドに登って見ろ、登れるかと、商売を断られた腹いせに挑発してきた。

見ろ。あちこちで登っているだろう。出来ないのか。東洋人は弱虫だ。と毒づいてきた。

岩は写真のようにおよそ人間ぐらいの大きさでゴツゴツしている。落下したらひとたまりもないが、もともと登ってみたい気持ちがあったので「OK」といって登り始めた。

元来ピラミッドは、世界遺産保護と危険防止のため登頂厳禁である。見つかれば可成り重い罰則が待っている。それでも世の不心得者は多くクフ王のピラミッドの頂上まで登った人は多い。時には夜の闇にまぎれて登っている。

事故も多い。 毎年2名ぐらいが転落死しているという。

私の場合、幸か不幸か、登り始めて間もなく、遠くに警察官の姿が見えた。
私は急いで地上へ降りた。 ラクダ商人の姿は既になかった。

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