官邸前庭にて(右端が大統領)
左手に持っているのはトレードマークの白い絹のハンカチ。公式の場では必ず持っている。
大統領官邸の前庭にて(スピーチは大統領)
官邸での昼食前のティーパーティー 大統領が来客の好みを聞いてサーブする

グレーの半袖姿がアフリカで極めて有名なカウンダ大統領。
ザンビアは長期間の英国のアフリカ植民地支配下に置かれていたがカウンダ党首の率いる独立党による独立運動の結果1964年(東京オリンピックの年)に独立し、カウンダ党首が初代大統領に就任した。

1991年に大統領を辞するまで27年間の長期政権を維持し、絶大な権力者として君臨してきた。日本へも何度と無く来日している。

1960年代にはアフリカで西欧の植民地支配から次々と独立国が誕生したが、同国はその先駆けであり、カウンダ大統領は独立の父ともアフリカの父とも言われてきた、象徴的な存在でもあった。

大統領のカリスマ性の一つとして公式の場では絹のハンカチを左手にいつも持っていた。貴族的トレードマークとして。

日本では丁度、戦後の日本を導いた吉田茂元首相が「葉巻と白足袋」を愛用し、それがトレードマークとなり、国民はよくそれに馴染んでいたのを思い起こさせる。

大統領は官邸の大食堂に昼食を取るように招待するが、昼食の前に別室で来客に自らお茶をサーブする。
写真のように両手にティーポットを持ち、笑顔で次のように言う。
「Mister、 tea OR coffee、 black OR with milk? OK?」 と。

官邸はサファリーパークのように広大な敷地の中にある。大食堂の前は開放され、サバンナ風の敷地がよく見える。
食事をしながらびっくりした。

目の前を象やキリンが歩いて行くのだ。縞馬は勿論。サファリーパークそのものなのだ。動物が放し飼いになっている。勿論ライオンやハイエナはいない。専門のレンジャー隊員や警備の人がガードしている。

ダイニングテーブルは長さ15m位もある特別細長いもので、両端に大統領と党の書記長が座りホスト役をする。ゲストは両端から交互に座っていく。私は大統領の斜め前に座った。何とも落ち着かない。

話題にも、会話にも窮した。大統領も気を効かせて簡単な話にしてくれた。 私は食事の味を殆んど覚えていない。 食後の紅茶の味が濃かったことしか思い出せない。
次話へ