パキスタン人のコブラ使い 瀬良譲二  コブラを踊らせる

 ホテルを出て街の様子、風景を見ることにした。ホテルは大きな通りに面しているがホテルを出た直ぐ側で上の光景に遭遇した。ヘビ使いだ。No.1ホテルすぐ隣の路上で、写真では見たことのある毒蛇コブラを奇妙な形の笛でエキゾチックな、不思議な音色を奏でて、コブラをくねくねと踊らせる。
無害なヘビなら良いが、相手は猛毒のコブラである。しかも目の先50センチ。チロチロと舌出しながらこちらを睨んで今にもジャンプして跳びかからんとしている。

 気味の悪い思いで、おっかなびっくり見ていると、お前もやってみろという。コブラだ。毒蛇だ。と言って嫌がると、無理矢理笛を持たし、噛まれたら治療してやるとニヤッと笑う。

 冗談じゃーないよ、こんな異国の地でコブラに噛まれて死ぬなんて洒落にもならないと思ったが彼らがやっていることだし、こうなったら引き下がれない。OKと言って笛を受け取った。
全く無防備の至近距離に座り笛を吹き始めた。ヒューと息の抜ける音がするだけでメロディーにならない。それでもコブラはくねくねとしている。どうやら隣の本職のおじさんに操られているらしい結構。結構。もう結構。

 すると今度は蛇とマングースの決闘を見せるという。但し蛇を一匹失うことになるので、見物料ははずんでくれと言う。目の前で、何のガードもなく、とんでもないことを良く平気でやるもんだ。無防備で何のガードも無いのが怖いが「OKやってくれ」と目の前での「真昼の決闘」を見ることにした。

 蛇もマングースも、見る方も命がけ。特に負けるであろう蛇は命をおとすことになる。残酷物語ではあるが、1メートル先の弱肉強食、蛇と天敵とのありのままの闘いを見る機会を得た。生きとし生けるものの生存のための激しくすざましい闘いを思い知らされる。

左コブラ、右マングース、見届け人瀬良譲二。 ファイト開始10秒後マングウースが俊敏の動きによりコブラを噛み殺す
                          
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