カブール市内のバザールにて
タイムスリップした街
アフガン国境のカイバル峠の
上空を飛ぶ

パキスタンの国境の町ペシャワール空港を飛び立った小型飛行機は40人乗りであったが搭乗者数は丁度半分の20人。理由を聞いて驚いた。飛行機が老朽化していて離陸能力が半分しかでないのと。
客席の半分を網で仕切って貨物を積んでいる。しかも軍事用のようだ。つまり貨物機に人間を乗せているのだ。得体の知れない何でもありの世界である。
私の座席がわずか10ドルでなくなったり、出て来たりするのなど朝飯前だ。

飛行機はかなり低空を飛んでいるので地上の様子がよく分かる。
眼下のカイバル峠はパキスタンとアフガニスタンを陸路でつなぐ交通の最重要路であるが高い山岳地を右に左に曲がりくねった悪路の交通の難所でもある。
そこをオンボロトラックや山盛りに人を乗せたバスが黒煙を吐きながらウーウーうなりながらあえぎあえぎ走っている。いまにも未舗装の道路が崩れて深い谷底に転落しそうになりながら。

カラチにいたときアフガンに行くときは決してバスを利用してはいけないと忠告されたのはこのことだったのだ。
後で聞いたが、数日前もバスが谷底に転落し大半の人が死んだと。救助隊も来ない。外人などどうなっても分からない。

このカイバル峠は多くの人が通った。古くはインド遠征を試みたアレキサンダー大王、西遊記の三蔵法師、シルクロードの隊商の人達、多くの探検家そして盗賊達。

赤茶けた厳しい岩場には山岳ゲリラが潜んでいても、武装強盗団がバスやトラックを襲っても少しも不思議ではない。現実にそうなっている。

カブールは盆地のような所にある。盆地の中央に小高い山がありその周りが市街である。空港から山に向かって進むと右手方向に大使館や元王宮、そして官庁街、更に進むと山に突き当たりその左手がオールドバザール、右方向の山の中腹にインターコンチネンタルホテル、少し手前にスピンザーホテルがある。
市内の様子は次話以降でお伝えしますが、オールドバザールなどはタイムスリップした、まさにアラビアンナイトの雰囲気。こんな世界があったのだ。


ここまでアラビアンナイトの雰囲気と街の様子を残しているのは、ここカブールとアラビア半島の一番下にある北イエーメンであろう。
いずれも他国との交流を制限してきており、イエーメンでは今でもアラビアンナイト風民族衣装の帯に半月型の短刀をさしている。


 
アラーの神の思し召しか。  いまアフガンは燃えている

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