テント内のパキスタン陸軍将校のパーティーで |
エージェントの車でカラチ空港をあとにし、市内中心部にある米国系の一流ホテル「インターコンチネンタルホテル」へ向かった。 当時、世界はアメリカとソ連の両大国による冷戦時代で両国のスパイが各国で暗躍していた。 ソ連はこの地域では南下政策をとり、アフガニスタンを支配下におき、次いでパキスタンに勢力を伸ばし、インド洋に達し、そこで港を手に入れ、艦隊を配備し太平洋と極東に睨みを利かせるという遠大な勢力構想図を描いていた。 ソ連は海が欲しかった。 これに対し、アメリカはパキスタンをその防波堤とすべく、いろいろな面からサポートと同時に圧力をかけていた。 この両大国の力の争いと一方ではパキスタントと隣国インドとの民族、宗教、領土問題等が複雑に絡み合っていた。 かかる状況下、 実に不可解なことにパキスタンには「インターコンチネンタルホテル」が全国に4ヶ所あった。 最大都市カラチ、古都ラホール、首都ラワルピンディ、そしてアフガニスタンへ通じる国境の町ペシャワールの4カ所。縦長の同国を縦に4カ所。 これは正に戦略上の要所なのである。 4カ所はいずれも空港があり、パキスタン国営のパキスタン航空が飛ん でいる。 噂によれば、アメリカCIAの介入のもとパキスタン航空のパイロットの中にアメリカ人がいて空からの監視をしているとも言われていた つまりアメリカは飛行機とホテルを拠点として情報活動を行い、対ソ連戦略を実施していたとも言われている。冷戦下では、さもありなんとも思えた。 |
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空港から市内への道路は路面はあまり良くないが、幅はかなりあり時間も深夜未明のため通行量も殆どなく順調に飛ばしていく。 まだ暗いため周りの建物も道ばたの景色もあまり見えない。 約40分程で市内に入る。 あまり高層で大きな建物は見あたらない。 突然大きな高層ビルが目に飛び込んできた。 インターコンチネンタルホテル。 かって世界一周の航空会社としてその名はせたパンナム航空の指定ホテル。 エージェントの言うにはパキスタンは高温多湿、病気も多く、衛生管理も外国人にはキツイ。 慣れていない外国人が水道水を飲めばまず腹下し間違いなし。 煮沸してもコップや手から細菌が口に入る。 ミネラルウオーターかジュースを飲んで下さいと。 それでもまず一度、腹下しの洗礼を受けて下さいと。 部屋にあるポットの水は煮沸してあるが慣れない最初は?マークでしょうねとのことであった。 ホテルには明け方の5時着。ホテルのロビーは整然としており、正に一流。先ほどの空港の大混乱に比べ、たしかにホテルの中は別世界。但し、置き引きには十分ご注意下さいと。やっぱりね ここはまずエアコンが違う。これまでは。大型扇風機やききの悪い生ぬるいクーラーであったが、ここは空気が冷たい。さすがアメリカの力はビシッと決まっている。現地人よりも外国人の方が多いくらい。 日本航空のクルーの宿泊もここであった。 チェックインをすませ、部屋に落ち着くと、ちょうど夜明けであった。 |
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カラチ−インターコンチネンタルホテル |
ホテル内のプールサイドで |
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ホテル正面 |
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