大通りの大木の木陰の歯医者さん
テーブルの上に、抜いた歯を自慢げに並べている
木陰で客待ち。  歯の痛い人、通らないかなあ〜
未知の国へ、長期に出かけるときにまず準備をしておかなければならない事の一つが「歯の治療」である。歯の痛みは強烈なものがありどうにも我慢ができないものである。問題となるのは、先進国の場合は治療代金が高いこと。発展途上国の場合は、とんでもない治療をされかねないことである。

上の写真は、カラチ市内の大通りに面した「歯医者さん」である。パキスタンはかってイギリスが植民地としていたせいかどうか分からないが、通りの道幅は広く、両側には日本ではあまり見かけない大きな木が整然と程良い間隔で植えられている。

 いろいろな商人達はこの大木の根元に店開きしている。ちょうど大木が日よけになるし、目印やより所になる。「路上歯医者」もこの人達にならんで店を開く。

治療法は第一に痛み止めの薬草を塗るか飲ませる。それでだめなら第二にペンチで歯を抜き、薬草を塗る。以上である。従って、治療時間は短く、料金も安い。勿論市内には西洋式の大きな病院はあるが、貧しい人々はそこの治療は受けられない。

 そもそも日本でも西洋歯科治療技術が導入される明治時代以前はこちらと同様に、痛み止めの薬草を塗るか、歯を抜くしかなかったのである。

台の上にならんであるのは、これまで抜いてきた「歯」である。これが多ければ多いほど、この歯医者は腕が良くて評判が良く大勢の歯を抜いてきた証明であり、これを自慢し、宣伝しているのである。歯医者は木の後ろで椅子に座り、風に吹かれながら、ひたすら歯の痛い人が来るのを待っている。

 時には、通行人に「歯を抜かないか」と呼び込みを行っている。ちなみに彼らには「免許」はない。ただ腕前を信ずるだけ。
   自己責任で。
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