奴隷の家の窓の向こうは大西洋
上の看板には
この窓から海を見た者は再びここへ戻れない
奴隷の家の馬蹄形の階段下で

中央の女性の後ろが
再び戻れない窓


馬蹄形の階段の下の暗い部屋
奥には運命を象徴する窓が

奴隷達はこの大西洋の彼方へと

フランス人の青年と

奴隷の家 MAISON DES ESCLAVESは1777年に建てられ、奴隷集積所として使われた。
奴隷商人によって捕らえられた人々は、ここから新大陸への旅立ちを強いられた。
 
馬蹄形の階段が、牢獄や港へ通じる暗い廊下につながっている。

鎖につながれた奴隷たちは、ここからカリブ海のアンティル諸島へ向けての、長い航海に旅立っていった。

写真でご覧頂けるように、太陽が眩しい外から、真暗で狭い部屋へ入り、その暗闇から唯一小さく開かれた小窓を通して見えるのは、青く明るい大西洋。

それは奴隷達にとって、ほんの一瞬、希望のように思えた。
しかしそれは、鎖につながれた、自由と人格のない奴隷生活の始まりを意味するものだった。

運命の大西洋が見える窓のある暗い部屋の上にある看板には 「この窓から海を見て、旅だった者は再びここへ戻れない」と記されている。

数百年の間、ここから売られていった、奴隷たちの悲しみが、短い言葉に込められていて、日差しは眩しいほど輝いているが、暗い部屋とともに心の中は暗く、歴史の残酷さを思い知らされる。

第17話でお伝えする予定の、アメリカ映画「ルーツ」で知られるように、奴隷問題、黒人問題、人種問題、植民地問題、搾取、暴力問題等は実は全く身近なところにあった。

ゴレ島は黒人奴隷貿易の”悲劇の象徴”であった。

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