2002.11.9 |
1. アスベスト全面禁止の導入 @ クリソタイルを含めたアスベストの輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現されたい。 【回答】 まだ規制されていないアスベストの輸入や製造を禁止せよという趣旨だと思うが、5月17日に参議院の中村(淳夫)先生から「アスベスト禁止措置に関する質問趣意書」が提出された。それに基づいて7月(6月?)1日付けで経済省―実際の窓口は昔の厚生省になっているが、そこの方に(答弁書を)提出して国会の方に提出し、つい先日7月(6月28日)に閣議の了解を得ている。それを見ていただければわかるが、現状使われている石綿についても、他の物質により代替できないかどうかというようなことを調査して、その結果を踏まえて、石綿の使用等の禁止措置について検討を行っていきたいと考えている。 スタンスとしては、従前どおり、国内法でいろいろ禁止あるいは使用条件等々厳しく規制されているので、それらを重視するというのは当然のことであり、なおかつ、メーカーや関係者に石綿の比率を低減化させるとかの自助努力を行っていただきたいというのを合わせてやっていきたいというのが現状。 A 要請書まえがきで述べたような、内外情勢に関する貴省の認識をお聞かせ願いたい。 【回答】 要請文の前段でいろいろと国際・国内情勢についてご説明いただいているが、私たちが認識というか理解しているところについて若干、簡単に説明させていただきたい。まず国際関係だが、フランスとカナダのWTOの件について記載されていたと思うが、これは先ほどの中村先生からの趣意書でもふれられている。趣意書に対する回答にあるように、「WTOの判断については、WTOの紛争解決機関が、フランスとカナダとの紛争に係る審査の過程において、カナダの主張する石綿の『管理した使用』の手法は、ビル関連産業及び個人での使用において効果的に機能しない等の点で、フランスが設定した石綿に対する健康保護水準を達成するために同国が行った石綿の使用、流通等の禁止措置に代わるべき合理的手段として採用し得るものではないとの考えを示したものと承知している」。 現在ヨーロッパを中心に使用を禁止している国が30か国程度あるということだが、詳細については、各国の状況は承知していない。ホームページ等を見る―記載されているものがあるので―かぎりでは、1999年7月にEUの委員会の指令が出されたわけだが、それに従った措置で各国の状況をまとめたものがあった。それによると、フランスやオランダは以前から全面禁止の体制を継続している。ベルギーは2005年以前に全面禁止を打ち出している、というようなのを見た覚えがある。その他の多数の国もECの指令を支持して、2005年に向けた各国の体制整備を努めていくという。とくにイギリスでの最新の動向は、国内に安全衛生執行部(HSE=安全衛生庁)というのが組織上あると記載されていたが、そこが石綿を管理する新規義務ということで提案をしているようだ。これは、このとおり通るかどうかということはわからないが、そういうような状況になっているということを、ホームページ等で見ている。 これは皆様の方が詳しいと思うが、石綿協会が発行している「せきめん」という雑誌の今年2002年のたしか2月号に「EU加盟各国における石綿規制法律最新情報」ということで整理されていたので、目を通していただければ私の説明よりも理解できるのではと思う。 それからロッテルダム条約についての動向。これについても詳細は把握していないのだが、条約の中で技術専門委員会という対象物質等を決める場があって、そこの会合で対象物質の追加ということが決まったと聞いている。ただ、対象がアスベストのどういうかたちなのか、あるいはアスベストを含む製品についてもいろいろな範囲というものがあると思うが、そこは全然ふれられていないようで、今後の検討課題のひとつではないかと理解している。厚労省の方がどういうかたちでされたのか ILOの動きの記載があるが、そこらへんはどうもつてがないもので、勘弁していただきたい。 それから、使用量が世界第3位という記述があるが、3位なのか1位なのか何位なのかというのは、正直なところわからない。実際に日本の輸入量は減少傾向をたどっていて、(後述する)アンケート調査によれば5年後にも結構な比率で下がっているものと考えられるので、おそらく…全体のパイの数字がどれくらいあるかわからないので何とも言えないのだが、順位がつけられるかどうかはよくわからないので、ご理解いただきたい。国際情勢はそのようなところ。 国内の関係では、先ほども説明したように、従来から各種の法律―労安法とか大気汚染防止法等の法律等による規制により、アスベストの適切な管理に努めてきているということは事実。さらに業界においても、規制を上回る自主基準を策定していろいろ運動してきているところだが、それに加えて、アスベストの代替化だとか低減化等に積極的に取り組むよう行政もしてきているし、個々のメーカーもぼちぼちと思うがそういう問題に…(聞き取れず)…きているところである。固有名詞を言うのは何だが、屋根材のある1社は、平成14年度から、すべて石綿を使わない製品を販売しているというところもある。 引き続き法規制の遵守はもちろん、現在使われている石綿についても、他の物質により代替できないかどうかを調査して、その結果を踏まえて今後の対応を―当然役所だけでできる問題ではないので、アスベストの関係の業界あるいは他省庁とも連携を取りながら、努力をしていく必要があるのではないかと考えている。 B 今後40年間の悪性胸膜中皮腫による男性死亡者数が過去10年間の約50倍、10万人にも達するという将来予測は、(i)アスベストの禁止、(ii)アスベスト健康被害対策、(iii)既存アスベスト対策を含めた総合的対策の見直し、確立を迫るものであると認識しているが、貴省としてどのように受け止めておられるか、お聞かせ願いたい。 【回答】 これも先ほどの趣意書に回答したものがある(こちら側から答弁書の当該部分を読み上げる必要なしと指摘)ので、一読していただきたい。 C 4月28日付け毎日新聞報道の「省庁間協議」(正式な協議といったものでないことは承知しています)への貴省からの参加者、部局、また、 貴省として、どのようなスタンスを表明されたのか、お聞かせ願いたい。この報道に対する貴省内外から寄せられた反応、意見等についてもお聞かせ願いたい。 【回答】 これは私が聞くところによると、非公開の会議であって、なおかつ担当者レベルでの情報交換の場であったと聞いている。当省からは担当(の課長)補佐が出席している。残念ながら、他省庁からどのような方が出たのか、議題がどうであったのか、どのような情報交換がされたのかということは、議事録的なものが残されていないので、この場で紹介することは難しい。 D 6月16日付け東京新聞朝刊は、「協会としても禁止はやむを得ない流れと考えている。アスベストを使わない屋根材や外壁材に切り替える動きもここ1、2年、目立ってきている」という日本石綿協会・福田道夫専務理事の発言を紹介している。同協会のこの姿勢の変化について、貴省からの働きかけがあったのかどうかも含めて、承知しているところを、お聞かせ願いたい。 【回答】 私たちもその場にいたわけではないので、正直なところは真意はわからない。ただ今までのこの趨勢からいって、こういう流れは必然的に考えられるのではなかろうかなと理解していて、即この発言の内容を実行に移すとか移さないとかいう話ではなくて、流れとしてはそういう方向性で少しずつでも石綿を使わないようにというかっこうでの対応を考えているのではないかと思う。 これについては、役所の方からどうこうということは言ってないので、専務自身あるいは協会幹部の方が判断されて発言したものと理解している。 E その他の業界団体についても、アスベスト禁止の導入に関して、何らかの意見・要請が寄せられたり、話し合いを行ったり、または働きかけていることがあれば、お聞かせ願いたい。 【回答】 個々の会社に問えばいろいろな団体に会員として入っている可能性はあると思うが、石綿を扱っている団体というのは、社団法人の日本石綿協会ひとつだけあるので、そこの会員に対してはいろいろと指導をしてきたところであり、結局、会員以外のところについても、会員のところから関係者に話を伝えていただけるように要請はしている。組織的にはどこの協会団体に説明したとかというのはしていないが、会員会社から取引関係等を通じて関係者に周知徹底をしていただいているものと理解している。 2. アスベスト製品の使用・輸入および代替化等の状況 @ 昨年はクボタ、松下電工のアスベスト自主的使用中止の動きがあったところであるが、それ以降のアスベストの自主的使用中止の動きについて、把握されていることがあればお聞かせ願いたい。合わせて、アスベスト輸入量の今後の見通しについてもお聞かせ願いたい。 【回答】 当省で毎年アンケート調査を関係者にお願いして取っているわけだが、石綿を購入あるいは使用した企業に対して、6月現在でどういう状況ですかという質問を問い合わせていただいて。その結果を見ると、約12社ほどが、要するに石綿を使わない製品に切り替えたいと回答している。(全体数は)正確ではないが60社程度だと…記憶で言っているので、間違っていたら申しわけないが。そういう状況で、各メーカー、関係企業も考えてきているのかなと思います。 A アスベスト含有建材の代替化、低減化について、製品別に状況および貴省の方針をお聞かせ願いたい。 【回答】 技術開発的なものは、私どもの方で平成2年から平成12年にかけて、最初の2年―平成2年と3年については(財)建材試験センターに、後半の平成4年以降は(社)日本石綿協会に委託をして、石綿の代替の可能性等々について調査をしてきたところで、一応、技術的には代替も可能ではないかと―品目によってもいろいろ多少のずれはあるが―方向としてはできるんではないかという方向付けのレポートをいただいている。それを受けて各メーカー、関係者、技術的にできるというのであれば、最終的にはやはりコストがどうなってくるかということにかかってくるので、企業努力も…実現すべく鋭意検討中と聞いている。 そのへんのレポートは、以前、差し上げているかと思う(「いただいている」と応答)。ご要望があればまた、専門家を呼んでご説明してもよろしいのかなと思っている。 B 建材以外のアスベスト含有製品について、製品別に代替化、低減化の状況および貴省の方針をお聞かせ願いたい。 【回答】 建材以外の製品では、大部分がジョイントシートと理解している。このほかにもシール材とか電気絶縁版といったところがあるようだが、まあここでは…(窯業建材統計では「その他の石綿製品」とされている)。平成12年度の石綿使用量は、統計を見ていただければおわかりのように、10年前に比べて約2割程度(に)低下している。平成17年度―私どもが調査―先ほどのアンケート調査で、将来5年後の姿はどうでしょうかという質問をしているわけだが、そこを見ると、今年のレベルから約25%強で約450トン(平成12年のジョイントシートの生産数量が1,928トン)くらいになるのではないだろうかというようなアンケート結果。各企業者によって、どこまで将来の計画を立てているのかは何ともわからないが、表面上の話であればそういうことかなと思う。 C 代替品が存在しない、アスベスト使用禁止が困難と考えられる製品、用途があれば、具体的にお聞かせ願いたい。また、そのような製品、用途の特定および代替化の計画的推進のためにイニシアティブを発揮されたい。 【回答】 建材については、一番代替がスムーズにいくであろうと思われるのはスレート、波形のスレートじゃないかなと、素人の考えだがそういうふうに考える。実際にやってみないとわからないとは思うが。工業製品の用途は代替化が難しいと、私たちが関係者から聞いている状況ではそういう答えをいただいている。だから、今後はそういう石綿の使用実態調査をもうちょっときめ細かく検討して、何が代替化ができて何ができないのか、どういうふうなことであればできるのか、そういうことを含めて関係の皆様と相談しながら、対策を立てたいということを考えている。これは最初に、規制されていない石綿のことを(…一部聞き取れず…)と一緒の考え方だと思う。 D 窯業建材統計による、波形スレート、石綿セメント板、ジョイントシード、自動車ブレーキライニング、その他用ブレーキライニング、その他の石綿製品の平成12年の生産量について示していただきたい。よりくわしいアスベスト含有製品別のデータがあれば、過去にさかのぼって提供していただきたい。 【回答】 年ベースでの統計で、平成12年の1月から12月までの統計ということでご覧いただきたい(提供された)。 E 貿易統計によると、「6811 石綿セメント製品、セルロースファイバーセメント製品その他これらに類する製品」については、たしかにここ5、6年で半減しているとはものの、2001年で86万トンの輸入と約3万トンの輸出がみられる。このうちにアスベスト含有製品が占める割合を含めて、その実態および見通しについて、承知されているところをお聞かせ願いたい。 【回答】 貿易統計でよくあることかと思うが、石綿の製品のところは「6811」とかいろいろに含まれていて、肝心のところが把握できないのではないかという疑問だと思うが、私も素人的にはそう思う。しかし、コード番号はこうなっているので、その中から必要なやつを分類するというのは、私ども把握しきれないというのが現状。相当の会社はインボイスというのを提出しているはずで、それを仕分けしてこれはこのコードに分類されれるというようなことをやっていたような時期もあったように聞いているが、ここもう10何年、そういうものがインボイスに載らない状況になっている。そのため大枠の中での話しか把握ができないというのが現状で、大変申しわけないが、そういうこと。 F 貿易統計によると、「6812 6811・6813以外の石綿製品」については、輸出は全体的に漸減傾向がみられるものの、輸入は必ずしもそう言いきれず、とくに過半を占める「6812.70-000 ジョイント用の圧縮した石綿繊維(シート状又はロール状のものに限る)」ではここ数年増加傾向がみられる。「6812.90-000 その他のもの」の内容が何であるかを含めて、その実態および見通しについて、承知されているところをお聞かせ願いたい。 【回答】 これも同じようなこと。ただ、ジョイントシートの国内メーカーは海外でも生産拠点を持っているところがある。そういう海外で作ったものを逆輸入というか、そういうやつも「6812.70」に入っていると思われるので、統計上差異が出てくることも考えられるのではないか。「6812.00」の「その他のもの」の内訳も、やはり私ども把握しきれないというのが現状である。 G 貿易統計によると、「6813 ブレーキ・クラッチ用等の摩擦材料及びその製品」については、全体的にも減少傾向はみられず、「自動車用ブレーキライニング・ブレーキパッド」の輸入および「その他用ブレーキライニング・ブレーキパッド」の輸出については増加傾向がみられる。このうちにアスベスト含有製品が占める割合を含めて、その実態および見通しについて、承知されているところをお聞かせ願いたい。 【回答】 これについても、輸入の増加傾向が見られているのが自動車のブレーキライニングという、摩擦を防ぐための製品が増えているようなことを聞いている。輸出については、単体では輸出されなくて、自動車の部品の中に組み込まれてしまったかたちで輸出されているので、自動車の部品の輸出が増えればそこに使われている製品も増えるというかっこうである。くわしいことはよくわからないが、そういうことはある。ただ、最近自動車用の研磨(摩擦?)材に使われているやつは、石綿が使われていない製品が多く使われているというふうに、関係業界から聞いている。以前は石綿を使った製品も使っていたということだと思うが、最近はそういうはないと聞いている。まだ在庫があるのかないのかわからないが。 H すべてのアスベスト含有製品の輸出入禁止のためにイニシアティブを発揮されたい。 【回答】 これについても、現在使用が認められているクリソタイルについても、他の物質で代替できないか等の調査をしていきたいと考えている。当然、私どもは一義的に考えなければいけない部分ではあるが、ただ私たちだけでできる話ではなく、関係者の皆さんと一緒に考えていきたいと考えている。 3. 調査研究委託、支援助成事業 @ 平成13年度は、11年間継続した日本石綿協会に対する「石綿含有率低減化製品等調査研究委託事業」については、予算がつかず、実施できない。中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業を、代替化や業種転換等に活用できないか等考えられているとのことであったが、進展があれば、お聞かせ願いたい。 【回答】 先ほどちょっと説明したが、平成2年から12年度、技術開発等の調査研究事業を実施してきた。この調査研究事業は終了しており、結論的には(代替化は)可能ではないかということであり、なおコスト的な面で実用化が可能かどうかということは、個々の業界の(…一部聞き取れず…)と考えている。関係者にも尻をたたいて徹底していただくようにお願いはしているが、まだ具体的に、ではこの製品はこういうものの方でやっていくというのが見えてきてないというのが現状である。引き続き関係者には働きかけていきたいと考えている。今日明日でできることではないので、ちょっと時間をかけて指導していきたいと考えている。 A 日本石綿協会以外の石綿製品関係業界団体(例えば、繊維強化セメント板協会ややその前身であるスレート協会、耐火被覆板協会等)に対して、石綿代替化、石綿含有率低減化等に関連した調査研究委託等の事業を行っている、および/または行っていたことがあれば、過去にさかのぼってその内容をお示しいただき、また、成果物を提供していただきたい。 【回答】 平成2、3年に(財)建材試験センターに委託した以外には、(他の委託事業も含めて)ない。 B 今後も関連する中小企業に対する調査研究、支援助成が必要であるとすれば、もはや、禁止の導入を前提とした、迅速な代替化ないし業種転換の支援助成以外はありえないのではないかと考えるが、いかがお考えかお聞かせ願いたい。 【回答】 これも将来的な話で恐縮だが、クリソタイルについても現在使用が認められている物質ではあるが、それについてもやはり代替をすべき対応をする必要があると考えているし、なおかつ関係者が中小企業が多いということもあり、きちっとした技術的あるいは実用化のメドがたてば、関係者と相談してなんらかの方策を考えていく必要があるのではないかと考えている。 ただ、いつの時点か規制があるかどうかというのは、私どもでは…しないが、かりにそういう話があったときには、税制の関係とかいろんな支援はしていかなければ(…一部聞き取れず…)というような対策を今から検討してやっていく必要があるんだとは思うが、そのへんどんな対応があるのかということは、今後期関係者の方から… C 調査委託事業を実施する場合には、業界ばかりでなくNPOへの委託等を検討されたい。 【回答】 この質問の趣旨はちょっとわからなかったので、回答はあまり明確ではないが、今までたしかやってないのだが…。(現時点でやられていないということなので、今後やるようなことがあればという前提の話だということを当方で指摘)どこがよくてどこが悪いということは何もないのだが、問題意識としては、こういうことを調査あるいは技術解析お願いする場合には、そういったある程度の知識がないと難しいと思うし、なおかつ国のお金を使うわけなので金額は別としても、受ける方も今までほかの例を―経営基盤というのかもきちっとしていなくてはいけないし、そういうような条件がある。一応そういう条件をクリアされたところが候補というか、やはり知識あるところにお願いすることになるというかっこうになると思う。 もうひとつは、今まで石綿協会とかにお願いして、おそらく委員会形式とかいうことで全体の考え方を整理されるケースが多いと思う。その中に、関係者―製造、販売の関係者だとか、中立の先生だとか、当然平等に入ってもらわなければいけないと思うし、その場にNPOの代表の方も加わっていただくというケースも考えられないことはないのではないかと思う。 長々と話させていただいたが、私と古屋敷、赴任してまだ数週間もたっていないので、知識に相当余る点があり、大変失礼な言い方もしたのではないかと思うがご容赦願いたい。 [以下、ひととおり回答をもらった後の冒頭のやりとり] 6月28日に閣議決定された答弁書と同日の坂口厚生労働大臣の閣議後記者会見の内容の文字面を見ると、答弁書の方は「代替可能性の調査等を行い、その結果を踏まえて禁止措置について検討を行う」となっているのに対して、大臣発言の方は「原則使用禁止の方向で検討を進める」と、こちらの方が踏み込んでいるように読めるが…と聞いたところ、「ちょっと先走っているように見える。私たちも聞いたら、どうも―事実かどうかわかりませんが―一人走りしたんじゃないかというのが、事務方が言っていました」。原則禁止という方向が政府全体の方針と理解してよいかと聞くと、「そこまではまだ、私たちは理解していない。もちろん、流れはそういうことはあったとしても、具体的にでは禁止しましょうという話は全然出ていない」。調査・検討の結果代替化が可能なものについては、基本的には禁止する方向にもっていこうということではある?→「そういうこと。代替の結果がうまくいけばという話だと思う」。全体的に原則禁止の方針が確認されているわけではないが、代替可能なものは禁止にもってよいという理解でよいか?→「私たちはそう理解している」。 「(閣議決定の内容と大臣発言の内容が違うということではなく)内容的には同じだが、積極的にやるのかそうじゃないかと…(経済産業省は「消極的なのか」との声があり)…答弁書が別に消極的で大臣が積極的だとは思わないが、考え方は同じだと思う」。厚労省ホームページに掲載された大臣発言の内容を見ると「3か月くらいですぐに政令とかを改正して禁止されるのかなという含みも読めるのだが」との問いに、「まず、厚労省の方とは、規制をするかしないか、あるいは具体的に政令をいつどうするかというような話は全然していない。だから、3か月後には云々ということを言ったとしても、私たちとしては答弁書の範囲では理解しているが、その先どういうかたちで何ができるかというのは、相談もしていない」。「どういった代替ができるのかできないのかを含めて、そういうことをベースに、ではこれからどうしましょうかということにつなげていきたい」。 超一般的に代替化が可能かどうかの実態調査をしましょうということではなく、代替化が可能なものは禁止にもっていくということを念頭において、厚労省サイドから話があれば具体的な作業を進めていくという理解か?→「そうですね、(話が?)あればですね。代替化ができれば、別に禁止されてもいいわけですから。代替化ができるかどうかをまず見極めないと、先走ってでは禁止しましょうということは、到底私たちは理解しない」。 「大臣発言要旨」というメモは事務方が用意したものだろうから(「そうですね」)これに問題があるということではないだろう?→「私たちにも事前には知らされてなかった。後で聞いた話は、大臣が発言されたとは事務方も言っているので、厚労省の方がどういうかっこうでされたのかというのは、私たちの方では把握していないので、コメントと言ってもちょっと」。記者発表でごたついたというのは、「3か月云々」というホームページにも載った実際の大臣の発言の方であって、事前に事務方で用意した「大臣発言要旨」メモの内容が問題になったということではない?→「ないと思いますよ」。 12社が石綿使わない製品に切り替えたいと回答した等というアンケート調査については、平成13年6月に行ったアンケート調査の結果で、平成12年度時点の現況を聞いているとのこと。平成13年度分―平成14年度はまだ実施していない。これから。従来は8月にアンケートを出す。 答弁書に「現在市場に流通している石綿含有製品」のリストが添付されているが、これは経済産業省窯業建材課を忠臣に作られたものかとの問いに対しては、建材以外のものも含めて、「そうです」。「人間がやった仕事なので100%できているかというと、ちょっとということがあるかもしれないが、ほとんどが網羅されているのではないかと思う」。「(協会に加盟していない等の)アウトサイダーはどのくらいいるかというのは、私どもも実は把握していない」。そういう意味では、「経済産業省で把握できたかぎりのリスト」と理解してよいか?→「はい」。また、「特定の単一業界団体(石綿協会)のデータではない?」→「はい」。具体的には、「個別企業にお願いして出していただいた。石綿協会の会員企業に対しても個別に直接出している、回収も直接」。リストの作成時点を聞いたところ、確認のうえ後ほど、「平成14年6月作成」との返事があった。 そうするとアウトサイダーの存在があり得るということは横においておくと、このリストを出発点にした議論が可能と考えられるが、このリストを使ってどの製品は代替化が可能かとかどれくらいの期限が必要かなどという話ができないか? 先ほど建材ではスレートが一番移行しやすいのではという話があったが、これは直ちに可能か?→「そこが…。実態はいま関係者(へのアンケート調査を?)実行に移すところなので。まあ私たちの気持ちとしては、できるんであれば早くやっていただきたいと思うが、事業者の事情もいろいろあるだろうから、そういうのを勘案しないといけないのかなと思う。どういうところがネックになっているのかをきちっと把握しないと、むやみにやれやれと言っても、できないものはできないだろうから」。厚労省サイドからは、そこらへんこういうかたちで協力してくれなどという話は?→「全然そこまでは話し合いは残念ながらしていない。これから機会をもちながら、厚労省の方からイニシアティブを取るんだと思うが、協力しながらやって…」。 本日午前中に国土交通省と話し合いをして、答弁書の製品リストは経産省の方で作成されてものだろうという話は聞いていたが、国交省が発注者の立場になったときに、建材について言えばいま代替品はある―ちなみに総務省の24階建ての合同庁舎の建設に際してアスベスト製品でなければだめだというものはなかったと聞いたが、われわれも建材については代替不可能はなかろうと思うのだが?→「そうですね。すべての製品がということじゃない…大多数はそういう考えでよろしいのではないかと思うが、ただひとつ問題は、実用化するにはやはりコスト的な評価が必要になってくる。ここを各メーカー関係者がどういうようなクリアをされるかによって、結果として代替がちゃんといくのかいかないのかということにかかってくるのではないかと思う」。 期間として何年という単位で必要ということがありそうか?→「私も全然先が現状では読めないが、仮に例えば10年後に規制があると決まっていると言われれば、それに沿って各関係者も必死に切り替えていく措置をとるのだと思う。方向性はあるにせよ、そこはまだ決まった話ではないし、何とも言えない」。経済産業省として、規制に総論的には反対しないと立場にたったとして、目標時期はどれくらいというような議論がされたことがあるのか?→「議論したことがない。安易に例えば5年だ10年だという世界でもない」。(「10年ということはないだろう」の声あり)「2、3だとか、事業者の考え方ひとつにもよると思う」。 禁止が必要という方針であればなるべく早く、急がなければならないはずだ→「一個人としては思うが、これは私たち単独でできる話ではないので…」。「答弁書で方向性は確認されているので、各省庁ともその方向性に沿ってやらなければいけないという気持ちはおもちだと思う」。 (12社について)「企業名はわかるが、製品名はわからない。建材が大部分。アンケートを実施するときに約束をしているので、(企業名の公表は)できない。きちっとした計画がたって、会社の方針だと決まれば、必然的にプレス発表されるのだと思うが…。現時点ではまだアンケートの段階なので、本当にやるの?と詰めたところ、実は上からだめだと言われたとかいうようなこともあるのかもわからないし、実体的に、わからないが。もう少しそのへんは、今年も調査をして、どこが本当にクリアしなければいかないかというところを整理しないと、本当に品目別(…一部聞き取れず…)できないのかなと思っている。 例えばジョイントシートについても、部分的に一部どうしてもというところは残るかもしれないが、大部分はノンアス製品もできているし、欧米もそれでやっている。ところが今まで作っていたということがあって、進んでいない、スローモーだ→「先程来言っているように具体的なことがまだ決まっていない状況で、いま私たちはアンケートとかヒアリングを通じて、皆さんに意識をまずもってもらわなければいけないと思う。経営者がそういう意識をもたないと、いくら下の方―担当者が言っても、うまくいかないケースもあろうかなあと思う。意識改革が先ではないか」。 このリストの中で完全に代替品のない製品というのはあるのか?→「そこまではまだちょっと勉強不足で、調べてまた機会があれば…」。基本認識としては、昨年までの10年間の委託調査を踏まえて、総論いける(代替可能)という理解できていると?→「で個々の品目については今年のアンケート調査で、どういう問題があってそれをクリアしたら代替ができるのかできないのかという個別調査をしたいと思っているので、その結果を踏まえて個々の製品ごとに整理していきたいと思っている」。 それは例年のアンケート調査の今年版でそういうことをやろうと?→「まだ構想の段階なので白紙で聞いていただきたいが、今までやってきたアンケートは今年も同じように―5年後の状況を大雑把に聞くというのはやりたい。もう少し細かく、ではどこがネックになっているのかということをやらないとこれは全然進まないので、これを早い時期に関係者と相談しながら実施していきたい。その結果をもって、では個々にこの製品はもう代替ができている、規制しても大丈夫だなという整理ができていくと思う」。「ひとつで1回でできればいいが、後者の方はどういう方法でやっていくか検討の時間が多少必要かなとも思うので、前者は先行して、個別のやつはちょっと時期をずらして(ということもあり得るかもしれない)」。従来のものは8月頃にお願いしていつ頃までに?→「1か月くらいではないか。長引いてもそんなに回収率は変わらない」。 仮にカンフル剤―資金注入をしてくれなければだめだというような、それがあればできるというような話が出てきた場合に経済産業省として対応する可能性は?→「そこは今の段階で、何ともわからない。ただ、いろいろな支援措置は中小企業の関係で、ある。そういう支援措置を各関係者が適用していただけるのであれば、申請をして使っていただけるのであれば、そういった意味も含めれば可能だと思う」。これ単独で新設するというのは?→「そういうのはちょっと…」。労働安全衛生法で禁止されるという言い訳がついたとしても?→「禁止された場合は、補助金と委託費はあり得ないが、政策的支援―例えば税制―償却の話とか、融資とかいったことで融資枠を設定することも可能なひとつだとは思うが…。ただそれは、きちっといつまでにやるんだという、それが前提になる」。 ここでわれわれのスタンスとしては、まず建材については例外なしに速やかにいきたい。建材以外でもジョイントシートにしろガスケットにしろ一般的には可能だと思う。超高温だとかの超特殊な技術的な部分について時間的にも狭めていくということでないと、垂れ流しになってしまう(「たしかにそうですね」の応答)、カンフル剤を入れるにしても無駄な金遣いになってしまうと考えているということを表明。 「(カンフル剤による誘導策について?)昔は行政指導みたいなものがけっこうできた時代があったのだが、今はそういうのはあまり好ましくないと言われているので、ちょっと難しい。きちっと目標を設定してくれれば、企業にとってはきつい部分もあるかもしれないが、対応の仕方はうまくいくのではないかと思う」。 EUの2005年に流されて、2005年まではいいというように流されるべきではない→「輸出に限っていえば日本はあまり輸出されていない。だからEUの規制云々といってもそんなには影響がないと思う。それをひとつの参考にということはあり得るが…」。EUは関係ないということで規制実施の時期が遅れることを危惧する→「そういうことにはならないだろう。私は時期については全然わからないが」。「方向性をもっているところがきっと明確に方針を示していただければ、それに沿った方向も考えられると思うので、私たちも私たちの範囲の中で…させていただきたいと思っている」。それを示すのはどこか?→「どこなんでしょう。おそらく厚労省だと思うが(まだ全然打診なし)。ただ私たちもまだ赴任して数週間しかたっていないが」。 前回(3月末の非公式実務レベル情報交換)は厚労省からの働きかけだったが、その後答弁書を閣議決定したこともあるのだから、積極的に動いていただきたい→「窓口は厚労省がなっているので、もちろん厚労省が音頭をとって関係省庁―必要ならばやらざるを得ないし、やった方がよいと個人的には思っている」。 業界等から「禁止はやめてくれ」等々の働きかけはあるのか?→「私が着任してからは、ない」。 |