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省庁交渉 省庁交渉の記録


2001年度 

環 境 省
2002年7月24日(水)15:00〜16:00 合同庁舎第5号館共用第2会議室

環境省側出席者
@ 環境管理局大気環境課 排出規制係長 古川一美
A 環境管理局大気環境課 排出規制係 松崎
B 環境保健部環境安全課 専門官 福島
C 廃棄物リサイクル対策部リサイクル推進室 室長補佐 小林
D 廃棄物リサイクル対策部適正処理作業室 特別廃棄物調査係長 武藤
(窓口: 大臣官房政策評価広報課相談係、TEL 3581-3351内線6145/FAX 3591-5939)

全国連側出席者
12名: 古谷杉郎、老田靖雄、永倉冬史、名取雄司、大内加寿子、西雅史、西田隆重、信太忠二、飯田勝泰、林充孝、大森華子、大森美華子



1. アスベスト全面禁止の導入

@ クリソタイルを含めたアスベストの輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現されたい。

A 要請書まえがきで述べたような、内外情勢に関する貴省の認識をお聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】 @Aはどこが回答するかということが難しいので、まとめて大気規制課の方で答えさせていただく。アスベストの禁止等については、所管の問題がいろいろあろうかと思うが、国際的にアスベスト禁止の流れになっているということについては、環境省としても認識している。厚生労働大臣から、原則としてアスベストの使用禁止というような方針で検討していくという発言があったことも承知はしている。いずれにしても環境省としては、今後とも石綿の環境への排出や移動量の適切な把握、それから一般環境への飛散の防止等に努めていきたいと考えている。

要望書の前書きの部分に若干の記述があったが、ロッテルダム条約のことだが、これについては、1998年に採択はされているが、まだ発効はしていない。日本は、1999年にこの条約に署名は行っているが、締結と批准についてはまだしていない。現在、関係省庁で準備を粛々と進めている状況。

【環境安全課回答】 (ロッテルダム条約の規制対象にアスベストを追加するという話については)ご指摘のような専門家会議の動き等があることは認識している。輸出入の情報交換をメインにおいた条約なので、アスベストについて新たに加わって情報交換することになり、かつ、わが国が批准して発効することになれば、情報交換等を適切に行いたいと思う。


B 4月28日付け毎日新聞報道の「省庁間協議」(正式な協議といったものでないことは承知しています)への貴省からの参加者、部局、また、 貴省として、どのようなスタンスを表明されたのか、お聞かせ願いたい。この報道に対する貴省内外から寄せられた反応、意見等についてもお聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】 新聞報道された「省庁間会議」なるものは、ご承知かと思うが、政策を決定するような場ではなくて、石綿について関係省庁の各々がどのような規制等を行っているか等の情報交換の場として開催されたと認識していて、環境省としても規制の現状について話したが、当省としてこうしたいああしたという禁止に関しての特段の表明をしたものではない。部局としては、(環境)管理部と廃棄(物リサイクル対策)部がうかがっている。会議の性格からして実務担当レベルが出たということで、もう少し平たく言えば、都合がついたところが行った。連絡を持つということが重要なので、せっかくのお誘いなので参加させていただいたというところ。


C アスベスト禁止の導入に関して、貴省のいずれかの部局において、関係業界(建材メーカー、ゼネコン、設計業者、施工業者、解体業者等)から何らかの意見・要請が寄せられたり、話し合いを行ったり、または働きかけていることがあれば、お聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】当省のいずれの部局においても、そのような話はなかったと聞いている。


D 代替品が存在しない、アスベスト使用禁止が困難と考えられる製品、用途があれば、具体的にお聞かせ願いたい。また、そのような製品、用途の特定および代替化の計画的推進のためにイニシアティブを発揮されたい。

E すべてのアスベスト含有製品の輸出入禁止のためにイニシアティブを発揮されたい。

【大気環境課回答】 DEについてだが、当省として、アスベストからの代替が不可能なもの、それから困難な製品もしくは用途―これらについて具体的に何がどうだということは、今のところ把握していない。それから、代替化の計画的な推進、アスベスト含有製品の輸出入の禁止の部分だが、ここもやはり所管の問題がからんでくるが、当省としてまず所管している石綿の環境への排出量の問題であるとか、一般環境への飛散防止対策というものをきちんと進めていきたい。



2. 今後40年間の悪性胸膜中皮腫による男性死亡者数が過去10年間の約50倍、10万人にも達するという将来予測は、(i)アスベストの禁止、(ii)アスベスト健康被害対策、(iii)既存アスベスト対策を含めた総合的対策の見直し、確立を迫るものであると認識している。被害の将来予測の努力の継続、環境曝露の発生源の確認、とりわけ建築物解体および廃棄物処分(廃掃法の対象・非対象のアスベスト含有廃棄物双方)に係るリスクの評価、将来予測、対策など、貴省に関係する施策の見直し、確立を図るとともに、総合的対策の確立に向けて、関係省庁との協議のイニシアティブを発揮されたい。

【大気環境課回答】 ここも盛りだくさん、他省庁の関係も多分に入ってくるところなのかなとも思うが、当省としては各部局においてアスベスト対策の一環として―大気汚染防止法で言えば建築物の解体に伴う飛散防止対策、廃掃法の関係では廃棄物の適正な処理について、きちんと対策を講じていきたい。それから、何年か前から連絡会議の方からもご指摘を受けているところだが、非飛散性アスベスト含有建材の問題。これらについても解体もしくはそれで出た廃材の処理の実態をきちんと把握、情報を収集していきたいと考えている。2.について当省で答えられるのは、今のところそんなところ。


3. 大気汚染防止法に基づく建築物解体等に係るアスベスト飛散防止対策


@ 平成11年度以降の特定粉じん排出等作業を行う建設工事(特定工事)の届出件数および「(推定)カバー率」、計画変更命令、作業基準適合・作業一時停止命令、報告・検査の各件数、および、各々の違反に係る罰則提要件数を示されたい。

【大気環境課回答】 届出件数は平成11年度実績952件、12年度実績1,025件。ご承知のように大防法のなかでは規模要件が決められており、建物の延べ面積として500m2以上、それからアスベストの使用面積として20m2以上のものが対象になっているので、これらに係わる工事を対象としたものである。一方、労安衛法の方では、規模に関わらず除去に係わるものは届出が必要という整理になっていて、厚生労働省に問い合わせたところ、平成11年度は1,169件、12年度1,360と聞いている。察するに「カバー率」なるものは、だいたい約8割程度。まあ規模(要件)を考えると、だいたいそのようなところかなという感じはしている。

それから規制事務の実施状況だが、こちらも自治体等に調査をかけたところ、立ち入り検査の実施件数として、平成11年度168件、12年度159件という報告をいただいている。計画変更命令とか勧告、その他の行政指導については、両年度とも自治体からの報告は上がってきていない。そこまで至らなかったどうかというのは、ちょっと不明。今回、変更命令とか行政処分生じていないので、当然のことながら罰則の適用はできていないという状況だが、調査においても、罰則の件は司法の判決が下るまでの時間があるかと思うので、年度という仕切りでは件数の把握が難しいという面もある。周囲の状況によってはかなり長引く場合もあるということもあって、調査項目の対象としていないということもご理解いただきたい。


A 平成13年度の石綿飛散防止対策の施策についてお聞かせ願いたい。平成12年度の委託業務の成果物として、石綿飛散防止対策の一般向け・事業者向け・自治体用の手引きを提供していただいたところだが、これらについてのそれぞれの反応・問い合わせがあればお聞かせ願いたい。また、これらはインターネットとホームページを活用し掲載して情報を提供するとのことであったが、いつ頃体制が整うか、時期をお聞かせ願いたい。また、その中にアスベスト含有建材のリストを加えられないかご、検討願い回答をうかがいたい。アスベスト含有建材のリストなどについては、情報提供等私たちも協力できるものと考えるが、この点のついてもうかがいたい。


【大気環境課回答】 平成13年度には、ひとつは「石綿含有建材に関する基礎調査」を行っている。それから、地方公共団体の職員の方で、アスベストへの関心も含めて、そういう職務に就かれる方を対象にした石綿の測定実習の研修を行っている。前者については、いろいろとご指摘もいただいたなかでの取っかかりとしてということもあり、まず基本的なところからということで、各種文献収集であるとかアンケートといったものを実施して、アスベスト含有建材の製造、使用の状況、アスベスト含有建材を使用した建物の解体における飛散の状況等といった基本的な部分を調べる。合わせて、海外におけるアスベストに関する動向についても調べる。後者については歴史があって、平成2年当時、粉じん発生施設をまず大防法のなかに入れた時点から、自治体の方々に、非常に経験と技術を必要とすると聞いていており、かなり測定者によって異なるという実態もあるようなので、技術修得ということで行ってきている。

平成12年度の成果物については、昨年度、手引きとかパンフレットを作成したとご紹介させていただいたところ。その成果物を、予算の範囲で限られたが(100ちょっとくらい?)、各自治体―中核市、政令市も含めてとりあえず1部ずつ―ぎりぎりちょうどくらい、配布したところ。配布をして、各自治体の関係部署、出先機関に配りたいということで、追加してほしいという要望も上がってきている。また、一般的なパンフレットを、連絡会議と同じように、ひろく広めてほしいという観点からだと思うが、ホームページに載せてほしいというような問い合わせや反応が返ってきた。これらの要望が自治体からも上がってきたし、昨年来、連絡会議からもご指摘を受けているが、一応調整を図ってきて、つい先だってホームページに掲載した(PDFファイル)。また、先ほど話した研修の資料として―冊子だけをするというのが非常に厳しいので―できるだけ毎回配布できるようにということで、いま手続をとっているところである。そういった各機会を通じて、飛散防止、解体工事の留意事項についての啓蒙をしていきたいと考えている。

アスベスト含有建材のリスト等についていろいろ情報をお持ちだということで、それらをホームページに載せられないかということだが、今回ホームページに掲載したものはご承知のように吹き付けアスベストを対象としたもので、いまの時点では―載せたばかりということもあるが―追加は考えていない。ただ、吹き付けアスベスト以外の建材についても基礎調査を昨年度からはじめ、今年度以降も続けていくつもりなので、整理をしていきたいと考えている。その際、お持ちのリスト等も提供いただけるということだったが、活用していきたいと考えているので、ご協力をお願いしたい。

※ 平成12年度の成果物

【一般啓発用パンフレット】「私たちの環境とアスベスト」(4頁)
【事業者向け手引き」「建築物解体等に伴う石綿飛散防止対策について」(42頁)
【地方自治体向け手引き】「吹付け石綿の使用の可能性のある建築物の把握方法について」(28頁)

※ 環境省のホームページ上のアスベスト関連情報の充実(アメリカのEPA(環境保護庁)のアスベストに関するホームページもモデルに)についても若干議論した。→「情報提供がますます望まれる世のなかなので、ホームページの活用も含めても含めて、流れに乗り遅れないようにわれわれも努めていく」という姿勢は確認した。

※ 平成12年末の旧建設省の「非飛散性アスベスト含有建材の取扱い」通達はわれわれも宣伝し、環境省の平成12年度の成果物のパンフレットでも紹介されているが、(交渉日)午前中の国土交通省の話によると、「平成14年版 建築改修工事共通仕様書」に入れ込まれてしまっているという話も情報提供した(まだ知らなかった)。


B 平成14年度の石綿飛散防止対策の計画について、お聞かせ願いたい。昨年の話し合いでは、今後については吹付け石綿以外の形態のアスベストについて勉強していきたいと答えられているが、具体的な成果があればお聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】 昨年度着手したアスベスト含有建材等について引き続いてやっていこうと思っているが、今年度のいまのところのプランとしては、含有建材を使用した建物の解体に係る知見の収集とともに、飛散の実態調査を予定している、とくに今年度においては、ばらし方による違いとか、どこまで把握できるかわからないが、飛散の実態調査を主体的にやっていきたい。件数なりをできるだけかせぎたいと思っている。


C 委託研究に際し、アスベスト製品製造会社の方に重要な点で相談してきたとうかがっているが、そうしたことで中立的な環境行政は可能とお考えか、お聞かせ願いたい。また、民間のシンクタンクでなく、アスベストに詳しい環境リスクの学者等専門家、及び私たちNPO等を委託研究を行う時期と考えるが、いかがお考かお聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】 これまでもそうだが、委託調査を実施するに当たり、必要に応じていろいろな情報を提供いただくということでご協力をいただいたことはある。「重要な点で」というのが何を指すのか難しいところだが、ある意味方針を左右するような部分で相談なりをしてきたという認識は持っていない。報告書をまとめる際に掲載する写真の提供とか、解体現場にどんなところがあるという情報を提供いただいたというようなことはあった。また、委託先の関係だが、当然調査に当たっては内容に応じて決まってくるかと思うが、アスベストに関する知識と知見、情報収集、整理、さらにその分析能力等々を勘案して総合的に中立的に判断できるというところを選択しているところであり、ここのところは今後も変えるつもりはないというか、変える必要はないと考えている。ただ、平成10年度か11年度だったと思うが、連絡会議から吹き付け以外というような話をいただき、実際的に平成13年度の調査に反映させていただいたところなので、いろいろな民間の方からの情報であるとかご意見も参考にさせていただき、調査を企画していきたい。(平成12、13年度の委託先は(株)富士総合研究所とのこと。)


D 5月から建設リサイクル法が施行されるが、法の網のかからない「非飛散性アスベスト含有建材」とされるものの解体・改修・廃棄などにおけるアスベスト飛散防止対策の強化が必要であると考えられるが、いかがお考えかお聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】 廃棄以外の部分について話させていただくが、非飛散性―非飛散性という言葉は語弊があるかもしれないが―飛散しにくいアスベスト含有建材の解体に伴う…(一部聞き取れず)…とくに修繕関係への影響という観点からみれば、非飛散性アスベスト含有建材の建築物の解体等において実態を客観的に把握することがやはり重要ではないかと考えている。先ほどふれたが、昨年度より調査を開始したところなので、本年度以降も引き続き実態調査をさせていただき、その結果を踏まえて…(一規制の必要性等)…を検討していきたいと考えている。


E アスベスト処理工事の届出という観点からみると、労働安全衛生法、大気汚染防止法、廃棄物処理法および地方自治体の条例等に基づくものに、さらに建設リサイクル法に基づく届出が加わることになる。「非飛散性アスベスト含有建材」とされるものを含むアスベストの事前調査表を、各届出に共通する部分について書式を斉一化することによって、アスベスト処理工事を網羅的に把握することができるが、いかがお考えか、お聞かせ願いたい。


【大気環境課回答】 これも昨年度似たような要望があったかと思うが、一般的な話として、各個別法ごとの目的があり、それらの目的に照らして法律の範囲でやっていることなので、網羅的に把握するために斉一化するというのは難しいというか、どうかなというところもある。ただ、アスベストの処理工事については、法律が適切に守られるような解体事業者等への啓蒙なり、一般の方々へのPRが重要だと考えている。今般ホームページにも載せたところだが、掲載したばかりでPRはいきとどいていない。自治体をはじめ関係機関を通じて伝えていけるように検討していきたい。ホームページを見ていただけるように、連絡会議の方からも機会があればPRしていただきたい。


F 私たちのところには、改修・解体工事現場や産業廃棄物処分場等の周辺住民からもアスベスト粉じんについて多くの情報が寄せられているが、労働安全衛生法、大気汚染防止法、廃棄物処理法、建設リサイクル法および地方自治体の条例等が適正に遵守されているかどうかを関係省庁・地方自治体等が共同で調査・監督する体制を確立するようにされたい。

G 昨年の話し合いでは、行政以外の部分からの指摘があれば協力関係において解決していくのが望ましいとお答えになっているが、リスクアセスメントの観点からも、民間やNPOとの協力関係の構築をお考えかどうかお聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】 FGまとめて。こちらも所管の問題を多々含んでいるが、それぞれの法制度を所管する部門が施行状況についてはきちんと把握している、また、努めるべきであると考える。そういった体制のなかで、さらに共同で監督するような体制を必要があるかということは、そこまでは今のところ考えていない。建築物の解体作業であるとか廃棄物処理に係る調査・監督については、法令上は自治事務もしくは法定受託事務というかたちで各自治体が実施する制度になっている。適切に行われていないような解体作業もしくは廃棄物処理に関する状況があったら、やはり所管の自治体に知らせていただきたい。その他、不法行為以外でも有用な情報があれば、当省の方でも地方担当対策調査官というのをたしか昨年度から配置しているので、それらを通じてお寄せいただければと考えている。アスベストの処理工事については、おそらくPR不足が非常に否めないところ―平成8年改正、9年施行だったと思うが、労安衛法のように歴史のある法律でもないし、なかなか知れていないのかなというところもあり、その部分についてはこれまでの環境省の取り組みが薄かったと言えるかもしれないが、やはり、きちんと解体事業者、施主といった方々にご理解いただき、意識を持って当たっていただくことが重要と考えている。そういった意味では、今般載せたホームページも十分活用しつつ、当然必要があればその内容の見直しなども含めて努めていきたい。


H 要請書まえがきでふれたように、今年4月の日本産業衛生学会で、天井や照明器具の処理に際し、現行法令や「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説」に述べられた「除去作業の手順」では、吹き付けアスベスト対策では不十分であることを示す研究報告がなされている。早急に見直しが必要と考えるが、いかがお考えかお聞かせ願いたい。

【大気環境課回答】 この点については先だって来省いただき、いろいろご説明いただいた。内容については十分理解しており、たしかにマニュアル、手引き等をみていくと、作業手順のなかで天井部のアスベストの除去前に実施される無石綿の天井板の撤去作業が、区画の隔離もしくは養生の前に行われるのかどうか、非常に不明確な部分があるなという感じはしている。ご指摘の点については、実際の現場での作業の実態、周辺環境への影響等々についてきちんと情報収集して、必要に応じて作業手順のなかで明確化すべきところはするという方針で検討していきたい。



3. 化学物質管理促進法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)

@ 今年度の同法施行に関連した通達・通知等があればお示し願いたい。


【環境安全課回答】 昨年も説明したとおり、通達とか通知はとくに行っていない。「マニュアル」に則って統計をとってもらっているところだが、見本もお持ちしたし、ホームページにも載っているのでご覧いただきける。まず事業者向けには、「届出書の記入要領」というかたちで、こういうかたちで届け出てください、その際の注意事項はこうといった「記入要領」を作り、ホームページに載せるとともに、全国説明会を開いて事業者に配布、あるいは都道府県に配ってそちらから関連する事業者に渡すというかたちで周知を図っている。

また、去年出した「マニュアル」について、こういったところがわからない、あるいは法律の解釈や運用についてこういうところがわからないという質問が多々事業者から寄せられているところであり、そういったものに対して「質問と回答」というかたちで、だいたい30頁、60問くらいのものを作って、これもホームページに載せてある。都道府県の担当者にもこれを渡し、事業者に説明してほしい、あるいは事業者から質問があったときにはこれを見て適切に届け出てくれ、ということをしている。これは日付が6月になっているが、何回かに分けて出していて、最終的に6月時点で取りまとめて部厚くなったのがこれということ。


A PRTR対象事業種に含まれないこととされた建設業等、対象事業種であっても裾切り要件からもれる事業者(常用雇用者20人以下、年間取扱量0.5トン未満)、アスベスト含有ブレーキ・ライニング等装着車両の道路走行等や自然界に存在する非点源の排出源等から環境中へのアスベスト排出量についてのお考え、把握方法、独自のデータ収集の計画、利用可能と考えられるデータ等の把握状況について現時点までに検討されてきたことがあればお聞かせ願いたい。とくに今後建築物の解体改修工事現場からのアスベスト飛散が環境中への最大のアスベスト排出事業となる事が指摘されているところであるが、法の趣旨からいってもこの点がPRTR対象事業種に含まれていないことは化学物質管理促進法の欠陥と考えるがどうお考えかお聞かせ願いたい。

【環境安全課回答】 ご存知のとおり、PRTRでは、事業者から届出のない排出量については、国が推計して合わせて公表することという規定があり、推計作業を行っているところである。推計にあたっては基本的な考え方として、信頼できる情報を用いて可能な限り推計を行う。その量を合わせて公表することによって、事業者からの届出を補完するということを考えている。

アスベストについては、もちろん事業者から、製造業を中心に届出があるわけだが、それ以外の排出量について、今現在推計が可能と思っているのは、ご指摘のなかにもある、20人以下あるいは0.5トン未満と言った小規模事業者からの排出量については推計を行おうとしている。ただ、対象となる業種は届出がある業種―例えば電気製品の製造業とか、プラスチック関係の製造業とか、そういうアスベストを現に排出しているといった届出がある業種のうち小規模のものについては、その届出データとか、去年までのパイロット事業の結果といったものを使って、私たちの方で推計しようと考えている。あと、量的にはわずかだが、建設業のうち塗料、建築工事用とか土木工事用の現場で使う塗料について、耐久性を高めるためにごく微量だがアスベストが入っているということがあり、これについては業界団体からのヒアリング等により全国出荷量とかアスベストがどれくらいは言っているというデータを入手し、その環境への排出量の推計が可能と考えている。その他の発生源については、現時点では利用可能なデータが得られていないと考えており、当面は推計の対象にはしない。したがって、ご指摘の建築の解体・改修工事現場の排出といったものについても、私どもの判断としては、今の時点では十分なデータがないのかなあと考えていて、今年の12月に第1回の公表を予定しているが、そこには間に合わないと考えている。

この推計方法については、いま申し上げた小規模事業者とか塗料、その他、アスベストとは関係ないが自動車とか農薬とかいろいろあるが、そういったものについては、現在パブリック・コメントの手続中で、推計方法の考え方とか推計に使う基本的データについてはホームページ上にすべて掲載してある。分量も相当多くて、数百頁でしょうか―くらいあり、先週(7月)19日でご意見の募集期間が終了し、今後はいただいたご意見を踏まえて、推計方法の考え方を見直したうえで、秋以降に推計作業に取りかかり年末を目標に公表したいと考えている。年末の公表の際には、当然のことながら、事業者からの届出の分の集計結果も合わせて公表する。時期は若干前後するかもしれないが、われわれとしては年末に公表したいということでがんばっている。

個別にいくつか発生源についての考えを示されたいということだが、建設業は、いま申し上げたように塗料については推計が可能になったので一部推計するが、解体・改修に伴う飛散といったものについては、残念ながら今のところ信頼できる推計に利用できる情報がないと判断しているので、現時点では推計対象としていない。自動車のブレーキライニングなど自動車の部品に含まれるアスベストについても、同じく今のところ信頼できる情報が見いだせていないため、推計の対象とはしていない。ただ、自動車については、環境庁時代の平成8年をもって国内向けの自動車部品へのアスベストの使用はもう終わっているので、大本のところではもう抑えられているのではないか。中古車とか平成8年以前に作られた昔の車は残っているかもしれないが、それもだんだんに少なくなっていくのではと考えてはいる。ただ実際にどのくらい出ているのかということについては、残念ながら今のところ推計に使えるデータはないという状況。自然由来の排出については、現時点では法令上、届出外排出量の推計の対象にはなっていない。仮に推計対象であったとしても、同じく現時点では推計に利用可能な信頼できる情報が今のところないと考えている。

私どももデータ収集はもちろん必要だと考えていて、調査をかけているところ。昨年度は、海外でアスベストについて排出量の推計をしているところはないかといったことで調査をしていて、アメリカ、カナダ、オーストラリア、EUなどでの環境汚染物質の排出係数について調べたのだが、残念ながらアスベストについて推計を行っている例や排出係数を示している例はなかったという状況。海外によいお手本があれば、それを輸入しようかということも考えていたが、残念ながら知見は得られなかったということで、今年もなんらかのかたちで知見の収集は続けていたいと考えているが、どういった計画で、どの辺に重点を置いて調べるかということは、現在検討中。

最後の建設業が対象に含まれていないことはどう考えるかということだが、これについては法律の仕組み上、事業活動に伴って排出する事業所などを主なターゲットに置いていて、排出する場所が一定しないような、一定の事業所での排出といったものに該当しない建設業については、届出の対象とするのは適当でないと判断しており、国が推定しようとということであるのだが、ただ解体・改修からのアスベストの飛散については、われわれとしても推計はしたいのだが、推計に利用可能な信頼できる情報が現在では存在しないし、海外にも先行的な事例がないということから、残念ながら今のところは推計できていないという状況である。

※ 「非点源の推計について言うと、データがなくて困っているところであり、パブリック・コメントの方は終わってしまったが、それはそれとして、こんなデータがあるとか、こんな計算式があるんじゃないのという具体的な提案をいただけると大変ありがたい」。

※ 自動車用ブレーキライニングについて、直前に経済産業省から提供された「窯業建材統計」の数字も示して若干話したが、「(部品業界ではなく)自動車工業会の国内向けの生産には一切使っていないという話を聞いている」。「そういったことも含めて、データをいただけるとありがたい」。

B PRTR法では、データベースの作成と人材の育成がうたわれているが、それらの具体的な進捗状況についてお聞かせ願いたい。


【環境安全課回答】 データベースについては、去年の8月に環境省のホームページ上に「PRTR対象化学物質データベース」といったものを公開して、お使いいただくようなかたちにしている。中身としては、PRTR法の対象物質について、構造式とか分子式、物性とか特性、用途といったものについて、データをわかりやすいかたちで提供していこうという考えのもと、公開している。今後は、最新の知見といったものを調べ、データが得られれば、わかりやすい最新のデータに順次更新していきたいと考えている。PRTR法の対象物質は数百あるが、アスベストについてもそのひとつとして、現在得られているデータを提供している。

人材育成については、本年度から予算を認められ、アスベストに限らず化学物質全般について、環境リスクをわかりやすく説明できる人材育成をめざして、今現在、どのような制度があるか、あるいはどのようなやり方があるかといった検討を進めているところ。中身の方が固まってくれば、またご紹介できると思う。

また、人材の育成とはやや外れるが、並行して、教材の作成といったようなこともやっていて、小学生、中学生といったお子さんとか、あるいは一般の方を含めて、化学物質の環境リスクについてわかりやすく説明するような、理解を深めていただくような教材も作ろうとしているところで、教材作成のワークショップも公開で行っている。これも環境省ホームページで紹介しているので、ご覧いただきたい。

※ 人材育成に関する委託調査を行っていると聞いているが、どのような内容で、どこに委託されているのか?→「直接の担当でないので委託先は失念しているが、化学物質についてのリスクコミュニケーションで、市民、企業、行政の間で情報を共有して意志疎通を図ることが重要だと思うのだが、ポーンとやれといってもできないから、そういったコミュニケーションの仲立ちになることができるような人間―一種のアドバイザー的なもの、アメリカなどだとリスクコミュニケーションについてのファシリテータとか仲介者とかいう言い方をして、そういう職業も実際に成り立っているようだが―そういった仲介なり、交渉の場で進行を円滑にできる人間とか、を考えている。で、どういった議論をもっていただく必要があるか、どういったかたちでそういう方々を養成していけばいいのか、といったことについて調査していこうということにしている。

経済産業省のリスクコミュニケーション関係の施策との整合性を尋ねられて→「今の時点では、日本で今後、化学物質のリスクコミュニケーションを進めていくときに、どういった人材が必要なのか、その人材をどのように育成していくことが必要なのかという「お勉強」の段階であるので、それは、経済省は経済省、環境省は環境省の立場で、何というか、勉強というか知見を蓄えていく話だと思う」。「相談するに前にも知見の集積が必要だから、勉強していってある程度中身が固まってくれば、必要があれば話す場面は出てくると思うが、なにぶんわれわれもとっかかったばかりなので、いつ話をするとかそういったスケジュールがあるわけではない」。「何によらず、PRTRでもそうだし他の施策でもそうだが、それぞれ勉強していって、ある程度熟度が固まってきた時点で情報交換をして、では政府全体としてどうしましょうかと相談するのが行政一般のやり方なので、経済省は経済省で現時点でお考えになっていることについてパブリック・コメントを行っているのだろうし、われわれはわれわれとして今の時点で勉強すべきことについて調査をする。また、(委託調査の)結果の方は固まってくれば、随時ホームページその他で出していくことになると思う」。



4. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律

@ 要請書まえがきでもふれたように、旭川市では特別管理廃棄物の廃石綿が地上に露出し、袋が破れているなど廃棄物処分場のずさんな管理が報告されているが、この経緯について、貴省は承知しておられるか、お聞かせ願いたい。また、廃棄物処分場の調査等行っていればお聞かせ願いたい。

【リサイクル推進室回答】 旭川市の事例については、早急に私の方からも確認して、状況、原因、対策等についてくわしく聞いた。原因についてはなかなか特定できなかったということだが、発見後に飛散防止の措置をとり、早急に埋め立て等を行ったと対策を聞いている。それ以前に、どれくらいの飛散があったのかということも確認したのだが、目立つものなので長期間放置したものとは考えにくいと聞いている。現時点では、民間からの廃石綿受け入れているということは聞いていない。

廃棄物処理場の調査については、以前、マニュアルを作るときに調査を行っているが、最近はそういう調査は行っていない。

※ 全建総連から、「長期間ではない」ということだが、われわれの調査結果と違っている。写真もあるが、破れた袋の中からフキ(蕗)が出てきているのが写っている。問題提起に対しては、きちんと対応しないと、あなた方が努力していることも台なしになると指摘。再調査を要望。(→「はい」。「処理基準が守られていないことは、われわれも非常に問題だと認識している」)


A 建設省、通商産業省で検討されてきた「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」では、アスベスト含有建材は「再資源化」に適さないが、現行廃掃法ではアスベスト含有建材を廃石綿と規定していないために、中間処理施設に流入し、分別の際にアスベスト粉じんの飛散を防ぐことができない状況が予想される。これを防ぐには、建設解体現場での事前のアスベスト含有建材の調査、分別、事前除去を徹底する以外にないと考えるが、特化則に規定されている事前調査さえ実際には多くの解体現場で遵守されていないのが実状である。労働者のアスベスト曝露以外にも、一般環境汚染防止の立場から、建設解体現場での事前のアスベスト含有建材の調査、分別、事前除去を義務付けていくお考えはないか、お聞かせ願いたい。

【リサイクル推進室回答】 廃棄物処理法の立場から言うと、廃棄物として発生する前の解体のところでそういうような義務づけをするのは厳しいが、適正処理を行う観点から、アスベスト含有建材の分別等を行うことは…(望ましい?)…また、非飛散性アスベストについては…実態等を調べていきたいと考えている。(具体的な計画は?)それについては、こういう場をいろいろ使わせていただいて、調べて、調査等を行っていきたいと考えている。なお、廃棄物処理法で特別管理産業廃棄物と指定されないと何ら規制されないかというと、産業廃棄物として、いろいろ処理の基準がはある。


B 昨年の話し合いで、廃石綿等を受け入れている処分場の数、年度別・都道府県別の処分量等に関するデータについておうかがいしたところ、処分量等を把握することは必ずしも必要であるとは考えていないとのお答えであったが、実際には横浜市で不渡り手形を出して倒産し、その後市が管理している中間処分場に、相当量のアスベストを含む容量を超える廃棄物が持ち込まれている例や、旭川市で市営の廃棄物処分場で廃石綿が地上に露出し破れた袋から飛散性アスベストが露出していた例などの実態から、処分場の実態の把握とアスベスト飛散のモニタリングを行うべきことを要請させていただいたが、この点について、検討されていることがあればお聞かせ願いたい。

【リサイクル推進室回答】 横浜の件については、難しい問題もあるようで、アスベストに限らずかなりの量の廃棄物が容量以上に持ち込まれていた。これについては…(一部聞き取れず)…ところなのだが、措置命令等出していま廃棄物は持ち込まれない状況になっていて、市が…(一部聞き取れず)…行っている状況。アスベストが容量以上持ち込まれているなどの処理基準違反については、違反している事実があれば、速やかに対応されるべき、都道府県から措置がなされる必要があると考えている。

モニタリングについては、先ほど言ったように、調査を行っていきたい。


C 旧厚生省が推進してきた、地方自治法改正、産廃法改正を伴う「ごみ処理広域化計画」について概要をお聞かせ願いたい。同計画によって行政による廃棄物処分場の実態把握ができなくなること、処分場の実態について国民が情報を得る手段がなくなることについて強い懸念が指摘されているところであるが、この点についてお聞かせ願いたい。

【リサイクル推進室回答】 そもそもこの「ごみ処理広域化計画」だが、ダイオキシン類の対策ということで、一般廃棄物処理施設からのダイオキシン類の排出を削減するために、市町村に設置している一般廃棄物処理施設の集約化を図る計画を作成するよう、旧厚生省が平成9年5月に各都道府県に示しているもの。内容としては、1施設当たりの焼却能力について最低でも1日当たり100トン以上にするように等という指示を行っている。そういった計画であるので、地方自治法改正、産廃法の改正を念頭に置いたものではなく、処分場の実態把握ができなくなるといったようなものではない。少なくとも、現状においても、廃棄物最終処分場については、埋め立てた廃棄物の各月ごとの種類及び数量、記録などを備えおいて、求めがあれば閲覧させなければならないという仕組みに、廃棄物処理法上なっている。


D 特別管理廃棄物としての廃石綿等に関する規制の周知・徹底を、関係全般に対して強化されるとともに、廃石綿の法律上の規定から漏れる飛散性の高いアスベスト建材(カポスタックなど)の見直しと、天井裏に吹付けアスベストがある場合の天井材など、アスベストを含有しなくとも相当量のアスベスト汚染を受けている建材の処分について、特別管理廃棄物としての扱いが必要である点の見直し等について、ご意見をうかがいたい。

【リサイクル推進室回答】 ご指摘のカポスタックは煙突の内面に使うと聞いているが、そういった含有建材…(一部聞き取れず)…先ほども申し上げたように実態調査をしていきたいと考えており、そのなかで対応したい。後者の指摘については、相当量の吹き付けアスベストが付着しているような建材については、当然、混合物として特別管理産業廃棄物に準じて取り扱いがなされるべきであろうと認識している。

※ ひととおりの回答後、まず最初に、環境省は、厚生労働省の原則禁止方針支持の立場と思うので、何よりも一日も早い、全面禁止実現に向けて、強力な応援団になってほしいこと、及び、禁止が実現しても重大問題としてなお残る既存アスベスト対策について、現状把握から解体除去、廃棄に至るまでの一貫した総合的対策の確立の面でイニシアティブを発揮されたいことをあらためて要望。

また、大気汚染防止法関係でも吹き付け以外の「アスベスト含有建材」の調査を開始し今年は実験も行うとし、廃棄物処理法関係でも「非飛散性アスベスト含有建材」に関する実態調査を行っていくという方針が初めて示された。これらのデータは、PRTR法関係の国の推計の基本データとしても使えるものであるというように、各々の部局の関心がらむところもあるわけなので、相互に役立てることをプランの段階から考えてやってほしいと要望しておいた。

※ 複数の要望事項とからむが、われわれを含めたNGOとの関係に関して、「われわれに委託せよ」という要望と受けとめたようなやりとりもあったが、「調査の内容にもよりけりとは思うが、アスベストに限らず他の検討会なり何なりでも、メンバーのなかにNPOの代表も入れるということは通常の手法だと思う」(大気規制課)。「化学物質関係で、リスクコミュニケーションの方は、NGOに化学物質等関係円卓会議に入っていただいたり、委託先検討会に入っている例もある」(環境安全課)。

2-Hに関連して、独自の追加調査もしているが、やはり、養生しない状態で天井を壊しているという回答が解体業者の半分くらいから寄せられている。「(吹き付け以外の)アスベスト含有建材」の調査等も、デザインの段階でわれわれの意見なしでいってしまうと、結果が出されてからいろいろいうのは無駄だと思う。研究のデザインの段階で十分意見を取り入れるようなことをしていただきたいということだと、重ねて要望しておいた。




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