プレスリリース2004年2月25日
ローリー・カザンアレン/アスベスト禁止国際書記局(IBAS)
「ブラジルの裁判 判事が投獄されていることを理由に遅延」
2004年2月17日、労働安全衛生監督官フェルナンダ・ギアナージは、元ブラジル大臣に対する名誉毀損の告発を受けて、その公判の
ために刑事裁判所に出頭した。
この審理は、連邦判事ジョア・カルロス・ダ・ロカ・マトスが、ブラジル最大の組織的疑獄、オペレーション・アナコンダに関わる汚職の罪で投獄されていたので、審理を進めることができないでいたものである。
暫定判事は、マトス判事を替えるつもりはないとして、9月までは公判を開かないと発表した。裁判遅延に関する公式の説明はなさ
れなかった。
労働安全衛生監督官フェルナンダ・ギアナージは落ち着いて、 「ブラジルの司法は強力な企業権益に支配されている。この裁判
に指名された判事が汚職で告訴されていたという事実、及び組織的な疑惑に連座しているという事実が、ブラジルの支配階級の一部が怠慢な企業と癒着しているということを示す証拠である。」 と述べた。
これは過去6年間で2回目の同監督官に対する訴訟であり、両方とも彼女がアスベスト被害を受けた労働者を支援することを妨害するものである。
1998年、彼女は、ブラジルの主要なアスベスト会社であるエターニット社により、同社の病気の労働者に対する扱いについて彼女が述べたことが名誉毀損であるとして告訴されたが、この告訴は却下された。
今回は、彼女が、アスベスト多国籍企業サン・ゴバン社によって設立された労働組合を支援した元労働大臣を侮辱したという告訴である。
1985年、同社の労働組合は、同社最大の工場でストライキを組織した独立系労働組合を不法に乗っ取っている。
監督官ギアナージを黙らせるためになされた戦略には、死の脅し、嫌がらせ、旅行特権の剥奪などがある。
2003年12月2日、同監督官は翌日に予定されていたブラジル北部のアスベストセメント工場への訪問はキャンセルされたと通告された。
12月15日には他の工場に対する検査の許可が無効にされた。
2004年2月20日、彼女は最早、いかなる工場の検査も実施することが認められなくなった。
今後、労働安全衛生監督官ギアナージはサンパウロ事務所内での事務仕事だけをさせられることになる。
アスベスト勢力が監督官ギアナージの迫害で悪意ある役割をしていることの証拠は、彼女が2週間前に受け取った1通の脅迫の手紙である。
その手紙は、ブラジルのアスベスト産業の急激な下降の原因は、アスベストの危険性について皆が知るようになったことや需要が減少したためではなく、ギアナージ女史と国内アスベスト市場におけるアスベスト被害者の干渉のせいであるとしている!
アスベスト産業界、労働省、堕落した裁判所、及びブラジルの支配階級の圧力にもかかわらず、監督官ギアナージは彼女の無実を証明し、会社側の不法行為をあばき続けるであろう。
記者への注釈
- アスベスト禁止国際書記局(IBAS)は、アスベストの世界的禁止とアスベスト被害者の正義のために運動しているロンドンの非営利団体である。
我々のウェブサイトはwww.ibas.btinternet.co.ukである。
この件の情報に関しては IBAS のコーディネータであるローリー・カザンアレンあてにメール又は電話でお問い合わせいただきたい。
Laurie Kazan-Allen, the IBAS Coordinator,
at:
laurie@lkaz.demon.co.uk
phone: 0208 958 3887
- フェルナンダ・ギアナージ女史は20年以上、サンパウロ州で労働安全衛生監督官を勤めていた。彼女は、アスベスト被害者との活動により、ブラジル国内のみならず国際的にも誉れ高く、2001年には毎年ブラジル女性に授与される有名なクローディア賞の最終候補者となり、また栄誉ある
ラマッチーニ協会(Collegium Ramazzini)の会員に選出された。
- 公務員として監督官ギアナージは7年間、給与の引き上げがなく、ギアナージ女史の弁護士費用は彼女自身が負担している。
ギアナージ女史は、1998年にブラジルのアスベスト会社エターニット
S.A. が告訴し却下された名誉毀損の裁判において、自身の弁護にかかった法的費用をいまだに支払っている。
- 2004年1月28日、労働安全衛生監督官ネルソン・ジョセ・ダ・シルバ、エラトステネス・デ・アルメディア・ゴンサルベス、及びジョアオ・バチスタ・ソアレス・ラゲは、不法な奴隷労働を使用している疑いのある大豆栽培農園の検査に行く途上、公道上で残虐にも殺害された。
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