目に優しいPC 〜画質向上化〜


1.序

 最近のパソコン雑誌のビデオカード特集を見ると、もうお決まりのように3D描画ベンチマークテストやアクション系3Dゲームでの描画性能比較が行われていて、ちょっと食傷気味である。2D性能に関しては、もう飽和していて性能差が出ないといっても、何も描画速度だけがビデオカードの性能ではないのだが。
 もちろん3D性能はどんどん向上して欲しいし(かつては私もDOOMを骨までしゃぶりつくすくらい遊んだゲーマーであった。でも最近は年のせいか(^_^;)アクションゲームには手が出ない)、最近のビデオカードは極端に画質が劣るものは無いのが実状だが、もっと雑誌のレビューで画質のことが取り上げられてもいいはずだ。 たまに「昔から画質に関しては定評のあるMatroxの〜」という表現は見かけるが(^_^;)
 まぁ、画質に関してはCRTとの相性で変わってしまうし、数値化できない主観的なものだから致し方ないのかもしれない。

 さて、高画質を求めて新しいビデオカードを単に買うだけでは賢い消費者とは言えないので、ここでは現状のリソースのまま、簡単な改造で高画質を図る施策について考えてみる。(手段については「今日の必ずトクする一言」での情報からだが、私なりのスパイスを入れてみた)

2.CRTの調整

 あなたが使用しているCRTは、ビデオカードから出力された信号を正しく表示しているだろうか?
 CRTのコントラストや明るさ、歪み補正などが正しく調整されていないと画面は大きく変わってしまうし、その「正しく調整する」という作業も難しいものである。
 で、調整を行いやすくするために、色の種類や明暗、格子模様が入った画像を表示するプログラムがいくつかあるが、おすすめなのが、ナナオのホームページにあるこのプログラムである。まず、このプログラムを使用してCRTを正しく調整しておく。

3.ノイズフィルター除去

 モニターケーブルやビデオカードにあるノイズフィルターは、周囲の電気機器へのノイズによる影響を防ぐ為に不要反射を減衰するためのものであるが、ビデオ信号に含まれる高周波信号も同時に減衰されてしまうので画質も劣化してしまう。このノイズフィルターを除去して画質の改善を図る。

 まず、モニターケーブルのノイズフィルター(写真1参照。コネクタ直前に入っているコブみたいなもの。)を除去する。ノイズフィルターの中身はフェライトコアなのだが、このフェライトコアの被膜をカッターで切り裂いて除去する。そして裸になったフェライトコアを金槌などで叩くと、簡単に割れてしまう。この時、割れたフェライトの破片が飛び散るおそれがあり安全性や掃除のことを考えて、叩く時には紙などで覆っておくとよい。

ケーブルのノイズフィルター
写真1

 次にビデオカードのノイズフィルターを除去する。一般的にビデオカードのノイズフィルター(EMIフィルター)は、RGBの各信号に直列に入ったインダクタンスと、GNDとの間に入っているキャパシタである。これらを取り除けばよい。ただし、インダクタンスは直列に入っているので、ジャンパを飛ばす必要がある。 インダクタンスのチップの上に切り取った不要電線を半田付けしてショートさせるだけでよいのだが、今回はちょっとぜいたくに0Ωのチップ抵抗を使ってみた(^_^)
 実際の改造手術だが、まずキャパシタを除去する。チップキャパシタを半田ごてで暖めて半田を溶かし、ピンセットでつまむとうまくいく。同様にしてインダクタンスを除去して、0Ωのチップ抵抗を取り付ける。
 写真2に改造手術後の基板の状態を示す。チップ抵抗がちょっと斜めに実装されているのはご愛敬である(^_^;)

改造手術後
写真2

 (余談だが、この基板写真はニコンのCOOLPIX950で撮影したのだが、このような接写撮影でも鮮明な画像である。ホントにこのカメラは出来がいい)

 元々、Voodoo3とT560i-Jの組み合わせでの画質は非常に良く、不満はなかったのだが、今回の改造手術により更に鮮明な画質になったことははっきりと感じられる。写真3、4に改造手術前後の画面の様子を示す。(単にキャプチャした画面を載せても相対的なものであり、絶対的な画質を伝えることは出来ないが(苦笑)

改造前改造後
写真3(改造前)
写真4(改造後)

 これ以上の画質向上を図るには、CRTを開けてコンバージェンスやフォーカスの調整を行うことになるが、私はCRTに関しては技術的にド素人だし、感電も怖いので止めておく。だいたい、ナナオの最後の名機と言われているT560i-Jなのだから、変にいじる必要もないだろう。


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