ガープス 『百鬼夜翔』

発行:富士見書房
著者:友野詳

●漸く、と言った感もあるのかもしれない。
 G文庫亡き後、出る出ると言われていたものが遂に登場した。
 GURPSシリーズ中、通称「アメコミ・ヒーロー物」をカバーする「GURPS SUPERS」の『日本世界』ヴァージョンとも云えるサプリメントである。
 古来より、この国には…超人は殆ど登場していない。
 登場するのは…「鬼」「天狗」等々…すなわち「物の怪」あるいは「物の気」と呼ばれる、『妖怪』たちである。
 そして―――その様にアレンジを加えられたものが、この「ガープス・百鬼夜翔」である。

●前作、「妖魔夜行」に、時代の流れという監修を加え、新たに生まれ変わったようである。
 と、云うのも…小説「妖魔夜行」から「百鬼夜翔」へ移り変わる間に、実のところ妖怪世界に大きな変化が起こっているからである。
 その辺り、詳しくは是非小説を参照して頂きたい。
 と言うのも、世界観を知るためには…言ってしまっては何だが、ルールブックのみでは不完全だからである。
 恐らく―――殆どの、常識の中で生きている者には、この独特の世界観は理解できないであろうし、特定の宗教の敬虔な信者ならば、激怒する可能性すらある。
 故に、これは――この場で解説するのが不適切な話題なのだ。

●話を変えよう。
 このサプリメントでは、プレイヤーは特殊な例を除けば、ほぼ全員が「妖怪」を自分の分身とすることになる。
 人間より遥かに優れた能力を持ち(何を優れた、と云うかについては意見が分かれるところであろうが)、そして遥かに強靭な『生命』を持つ。
 この場合、『化物』に『生命』なんてものはない!と言ってはいけない。
 そう云った主義主張をお持ちの方には、このサプリメントを用いたプレイは――適さないであろう。
 何故ならば、本人が意識しないままに他のプレイヤーに対し不快感を与える可能性が存在するからである。
 故に、マスターはこのサプリメントを使用すると試みる前に、プレイヤーの意識調査を行っておく事をお勧めする。
 ―――世の中には、お遊びだと言っても、譲れない信念を持つ者も存在するからである。
 その場合、排除するのではなく、その者の信念を尊重し、いらぬ諍いを起こさぬようにするのも、マスターの勤めである、と私は考える。
2002/3/17