『魔法使いハウルと火の悪魔』
出版社:徳間書店
作者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
訳者:西村 醇子


●これは『スタジオジブリ』作品の映画『ハウルの動く城』の原作となっている作品である。
ジャンルとしては…これは童話に入るはずだ。
だが、童話というのは子どもの為の物ではない。少なくとも管理人はそう思っている。
童話とは、子どもと、そして読み聞かせる大人の双方の為のものだ。
大体にして、自分がつまらない、と思うものを読み聞かせて、子どもが果たしてそれに興味を持つだろうか?
●最初にこれが映画の原作となっている、と言ったが…読めば分かるが登場人物の基本が同じだけで別の話であると思うだろう。
少なくとも管理人はそう思った。
平たく言うなら。
管理人は映画よりもこの『魔法使いハウルと火の悪魔』の方が面白いと感じている。
……分かりやすい、というのもある。(悪く言えば単純なのだが)
が、落ちどころがないものよりもずっとスッキリするのではなかろうか?
●さて、この作品には姉妹編がある。
同じく徳間書店より出版されている『アブダラと空飛ぶ絨毯』がそれだ。
一応はシリーズとされているが…主人公は別人である。
そして。
魔法使いハウルは相変わらず性格がひねくれている。
そう。
原作と映画の最大の違いは…魔法使いハウルの性格の”ひねくれ度合い”であろう。
●因みにだが。
この作品では悪魔を”邪悪なもの”としていないように感じた。(良くないものとはしていたが。)
『ロードス島戦記』(スニーカー文庫/作:水野良)を知る人ならば”ファラリス”の教義”汝欲するところを為せ”を想像してもらえれば解り易いであろう。
この教義そのものは決して邪悪なものではない。
ただ、それを実行するものが邪ならば―それは悪行を為すであろうし、邪悪と呼ばれる行為に走るであろう。
だが。よく考えて欲しい。
『欲するところ』が一般的な善悪に照らし合わせて善行に分類されるならば、それを実行するものは決して邪悪な行いはしないであろうということを。
要は、人次第。――――話が逸れたな。
●私としては、この作品は是非大人の方々に読んでもらいたいと思う。
童話は決して、子どものものではない。
良い本は人を豊かにする。それが何であろうと。
2004/12/25