2006年4月
  元勤務者、現在失業者の無差別殺人事件に思う

高層マンションにて9歳の男児を投げ落とすという事件について。

1)報道では、先に精神科病歴が出たのには驚きです。医療情報がどういう方法で出回ったのか。この点追及すべき問題です。

2)2004年の退職時に会社とのやり取りが、治療を受けていたものが取るものとは思えず。治療者のミスリードがあったかもしれない。10年の勤務歴があったなら、ア)病休、休職制度を利用すること、イ)そのためなら診断書を作成・提出すること、ウ)病気退職か、一身上の退職かを明らかにすること、エ)その後は、失業保険受給か、傷病手当金(あるいは障害者年金)受給かになる。そのような手続きをすることは必要です。

3)反社会的行動異常は、表面的な道徳倫理にこだわる執着気質の病前性格者には出現の可能性があります。その論文を発表した下田教授は、その時代に闊歩していた軍人、その中で行き過ぎたバリバリの軍人、その世界の過剰適応者を典型例としてあげています。そのような方の発病は危険性を持つということでしょうか。
 私の症例では、隣人の些細なエチケット違反に敏感に反応する方が居ました。彼は電車の中で、エチケット違反者に突然の暴力を働いていました。被害者は無差別に狙われたと思うでしょう。彼はエチケット違反という属性で人を見てるのです。総合的な人格を見ていることはないんです。
 今回の事件では、犯人は9歳の男児や60歳台の清掃婦に何を見たのでしょうか?