『寒冷前線コンダクター』がルビー文庫に収録されてから10周年ということで、記念の書き下ろし単行本が出ました。圭と悠季の出会いを圭視点から描いた『天国の門』。悠季が留学から帰国後しばらくして、圭の振るM響とシベコンを共演する『雪嵐』。BLの掟破りのシルバージュネのふたりを描く『こよなき日々』。どれも面白かったです。昨日、amazonから到着するのを待ちきれずに本屋で立ち読みをしてしまいましたが、今日は最初からゆっくりと読みました。そして昨日、『しあわせにできる』を読んだ時も思ったんですが、好きなシリーズの続きを読む楽しみが味わえてとても幸せです。これはリアルタイムでしか味わえない楽しさですね。そしてこれからもまだ続くとあとがきに書かれていたので、楽しみがまだまだ続くというのもうれしい。さて、
読者がそういうふうに思い続けることができるのは、作品がそれなりのレベルを保って、さらに深みを増していく場合に限られるようです。フジミの場合は、作品に出来不出来が少々あるものの、上手く続いていると思います。今回の単行本は、本編のシリーズで留学の終わりを書いた『華麗なる復讐』が、これまでの作品の復習と反復に終始したのにくらべて、現在の秋月さんが書いたフジミにきちんとなっていると思いました。秋月さんはフジミのほかに『王朝ロマンセ』と『要人警護』のシリーズを書いていて、それぞれかなり面白い話になっています。その中で以前には見られなかった人間関係や視点を感じます。それがフジミにも現れてきたら面白いと思っていました。この『クラシカル・ロンド』はメイン作品の『天国の門』がシリーズの最初に戻っているので、読み始めは過去をなぞっているんだろうか、と思ったんですが、最後の最後で、いや、これは現在の秋月さんが見たフジミの圭なんだ、とわかりました。天国の門へいたる道は決して生易しいものではなく、その門をくぐったからといって、その先に平坦な道と幸福が約束されているわけではない。という認識は苦さを含んだものですが、だからこそ心に響くものがあります。そして、そういう境地ではなかった最初のフジミも、その時にしか書けないみずみずしさがあって、それゆえ貴重というか。作品がたどってきた道筋をもう一回たどることも本を読む楽しみのひとつかもしれません。『雪嵐』は、笑ってしまった。共演するたび仲直りに四ヶ月もかかっているようでは、大変かもしれません(笑)
投稿者 SOKE : 2005年03月31日 20:15