■ 2005年03月15日 ■ <本>剛しいら『愛しすぎた至福』

イラスト:新田祐克 (Shy novels ) 大洋図書 2003/02出版
愛されすぎて孤独』の続編。千尋と大樹の話がメイン。先にCDを聞いてしまったので、お話を純粋に楽しむことができなかった。CDの出来がものすごく良いので、小西さんとスズケンさんの声が頭に響いてしょうがなかった。大人で優しい大樹に小西さんはぴったり。
鵠沼の海辺の歯科医院に、三人の兄弟と一人の歯科医がいて、血のつながりのない長男と三男が恋人同士になるというのが前作だった。そして今度は次男の千尋と歯科医の大樹の話。大樹は兄弟の母親に恋をして、母親の死後も三人のめんどうをみている。千尋は小さい時から大樹のことが好きだった。思いを打ち明けて、受け入れられた今、大樹が鵠沼にいて三人兄弟のそばにいるのは、大樹にとって負担ではないかと考え始める。大樹のことを愛しているからこそ、離れるべきではないか?千尋の葛藤が、大人の大樹の落ち着きをついに崩して、ふたりは新しい関係へ進む。
特に大きい事件があるわけじゃないし、ラブシーンもほとんどないし、四人がそれぞれ悩んだり相手のことを思ったりする描写がメインなんだけれど、読んでいて面白い。三男の父親の遺体を引き取りに行く場面とか、大樹の父親の見舞いに行く場面が短いながらとても素晴らしくて、前作と全く違う仕上がり。それがそのままドラマCDにも反映している。性同一障害の父親が行方不明になっているので、その話で続編が書かれるような感じもする。死んだかっこいい母親マーの話も。マーはまだ天国に行かずに、湘南の海をただよっていて、兄弟が困っていると海から上がってやってくる、ということになっている。ほんの少しのオカルト風味も波の音に紛れて効果的。

剛しいらブックガイド

投稿者 SOKE : 2005年03月15日 15:09
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