イラスト:須賀邦彦(クリスタル文庫 ) 光風社出版(成美堂出版) 2003/03出版
脚本家志望の裕也は、友人の新人監督賞の受賞パーティーでカメラマンの真樹雄に出会う。出会った途端ふたりは恋に落ちて、ロマンティックな一週間を過ごす。おそらく、ロマンティックな一週間という主題がまずあったんだろうな。出会って恋に落ちて、その日のうちに寝て、それからだんだんお互いのことを知って、一週間目にこれからもよろしく、と二人でお祝いをする。初出の記載がないので、この作品がどういう発表のされ方をしたのかわからないんだけれど、雑誌掲載ならここで終わりだったんだろう。ところが、この本には続きがある。「二週間」「三週間」「一ヵ月後」。出会ってからの七日間が、裕也の一人称による夢見がちな乙女の日記風なのにひきかえ、その続きは妙にリアル。脚本を書くときの裕也は、気持ちの表と同時に裏も読む。そして話を組み立てる。自分の日常から話の種を拾って育てる。その時には、真樹雄のことをかまっていられない。真樹雄はそのことを知っているので、脚本ができるまでは、離れていようと提案する。そうして脚本は完成する。リアルな後半部分の方がずーっとロマンティックだと思う。この部分があるから剛さんの作品は面白い。脚本を書くときに裕也が思うことは、そのまま作者の考え方かもしれない。あとがきを読んでいてそう思いました。あとがきには映画に対する思いについて書かれていて興味深いです。