■ 2005年02月13日 ■ <本>剛しいら『見知らぬ男―顔のない男2』

音彦に、初めて二時間ドラマの主演のオファーが来た。新米熱血刑事の役。ただし、その役を得るためには、ゲストとして映画で共演した天才俳優飛滝(ひたき)を引っ張り出さなければならない。映画での共演以来、私生活では恋人同士のふたりだが、刑事と殺し屋という役を演じて大丈夫なのか?飛滝は役に深く入り込んでしまうので、音彦を憎むかもしれない。
飛滝は役に入ってしまうと、役と自分の区別がつかなくなる。音彦は映画の時は、なんとか自分のところに飛滝を引き戻すことができた。今回も上手くいくのか?そんなことで二人の関係が気まずくなるくらいなら、自分は俳優をやめて飛滝のマネージャーにでもなったほうがいいのではないか?そんな危惧を口にする音彦に飛滝は言う。「逃げるな。五日間、役になりきってみよう。そうすればお互いの気持ちが変わるか変わらないかわかるだろう。」そうして、二人だけの、真剣勝負のリハーサルが始まった。
すごく面白かった。主人公達が役を演じる。その演技が本物に変わる瞬間が描かれている。このところ、話のための話みたいな本も何冊か読んで、ウソとホントの境界線はどこだろう、と考えたりしていたけれど、この本では、その境界線を行き来してみせてくれる。読んでてどきどきする。そしてまた、彼らのプライベートの生活でも、役の顔が現れる。俳優二人の生活は多重構造になっていて、同じ相手なのに浮気をしているような、不思議な関係が読んでいて楽しい。

剛しいらブックガイド

投稿者 SOKE : 2005年02月13日 19:59
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