これは、面白かった。(イラストも可愛かった。健全。笑。)嘘と本気と、本気と嘘の境界線を描いて、仕掛けが壊れたあともお話を壊さずに着地できた作品。主人公はまだ駆け出しの新人俳優。彼は有名な監督から、ある一流俳優の相手役として指名される。ただし、台本の人物になりきって、兄弟としてしばらく暮らすという条件つき。それから映画を撮るのだという。役に同化するうちに、嘘が本当になる。撮影が終わった後、ふたりはどうするのか?
劇中、主人公演じる弟が殺される。そのことによって兄の怒りと悲しみがクライマックスにつながるという筋書きだ。しかし主人公は思う。架空の話とはいえ、兄弟で幸せな日々の生活を送っていた弟の気持ちがある。弟を大事に思う兄の気持ちがある。それを踏みにじるような筋書きでいいんだろうか?と。そういう視点があるからこそ、剛さんの作品は読んでいて安心できるのだと思う。