ドクター×ボクサーシリーズ最終巻。徹はライバルの東とついにリングの上で再戦することになる。勝利を手にするのは果たしてどちらか?
とても好きになったシリーズで、あまり長く待たずに最終巻を読めてラッキーでした。10年をかけて書かれたお話なので、剛さんの作品の変化を一度に読んでしまうのはもったいなかったかなとも思います。文庫本書き下ろしになってから、BLというよりは、ボクサーとしての徹の成長と、外科医としての加藤の成長を描く物語になっています。そして最終巻は、東との試合への期待感よりも、終わってしまうことの哀しみが全編にただよっているようにも思います。加藤との時間も東との試合も、瞬間を境に終わってしまう。そのあとに続く時間は何なのか。それまでの時間は何なのか。実は間を埋めるその時間こそが永遠ではないのか。寂しささえも楽しむという言葉が前にもでてきたんですが、幸せな瞬間を留めることができない哀しさを知りつつ、毎日を愛する人と過ごすことに感謝する。拉致監禁暴行で始まった物語は、そんな場所にたどりつきました。
ところで、今回の話で、ジムオーナーの清水さんは実に良い役でした。男前でした。あとがきにもそういうふうなことが書いてありました。それから、出てきた時はどうしようもなかった藤原さんのがさつな親切もかっこよかったです。主人公だけではなくて、脇を固める人たちもみんな一皮むけたようでした。