男ばかりが三千人の大奥に、新しい女の将軍様がやってきた。パラレル時代劇の第三回。総触れの場で将軍吉宗に気に入られた水野は、夜伽を命じられる。しかし、それは思いがけない事態を引き起こす。感想は以下↓
悪い冗談のように、男女の役割を入れ替えて、大奥のお話が続く。実は今回、読みながらなんとも言えない不快感を感じてしまった。作品にではなくて、大奥というシステムに対して。それから、自由意志のない夜伽の場面に対して。それはよしながさんが巧妙に作り上げたこの作品の世界で、普段は見えなくなっている理不尽さを目に見える形にしたのだ。かつては女性に対して行われていた人権の無視。それが今はBL作品で日常茶飯事になっている。それをもう一回引っくり返してみせたのがこの作品だ。全く、よしながさんは人が悪い。そして素晴らしい。
巧妙にハッピーエンドに仕立ててあるが、今ひとつものたりないのは、せっかく水野という、魅力的なキャラを登場させたのだから、もう少し、将軍とのからみが長く続いて欲しかったということかな、四回以降はどんな話になるんだろ。吉宗中心のオムニバスになるのかな。
いやあ、sokeさん。本当にうまい感想です。心のもやもやがはれます。
さて、巻頭カラー表紙までよしながさんという、扱いに、表紙カラーに描いたのが、例の黒に銀の流水紋の裃というのが、渋い。しかし、扱いが大きいのは、うれしいけれど、あのよしながふみって字をもうちょっと小さくして欲しかった。せっかくの絵にかぶってしまう。それから、よしながさんの載っていない号までかわせようという全プレかっと思いこんでいたけれど、今月号だけでオッケーなんですね。
でも私としては、あの柄の袱紗が欲しかったんです。
そして、ハッピーエンドはうれしいが、水野の退場は寂しい。だんだん、登場人物が増えていくパターンで、水野には、東山の金さんのように、町人と大奥を行き来して欲しいです。
そして、人夫(ひとづま)になった後も、公方さまと絡んで欲しい。
よしながさんのことだから、あっという、人をおどろかせる展開がまっていて、
予想を裏切られるとは思うので、その展開も楽しみです。
立ち読みで済ませましたが、将軍吉宗と水野がもう少しからんで政治劇になるのかなと思っていたので、肩透かしをくったような。
ただ、「普段は見えなくなっている理不尽さを目に見える形に」するのが目的なら、これでいいのかも。
よしながふみの作品にでてくる登場人物は、男はロマンで女はリアルなのが常なんだけど、「将軍吉宗」をどれだけ魅力的に描けるかが、これからの課題だと思います。
魅力的な男性はいても魅力的な女性はいない「やおい」作品は多いんだけど、この設定だったら男性だけが魅力的であるべき必然性はないんだから。
作品が優れていると、よい感想が書けます(笑)。切り込むべきところが明確だから。私、久々に読んでて鳥肌立つような感じ。この作品も世間の評価はコミックスになってから来るんだろうな。『愛すべき娘たち』みたいに。でも、あれよりも、もっと問題作だよね。これをテレビドラマにしてくれるような太っ腹なテレビ局はないものだろうか・・・
表紙のデザインは、確かに字が大きすぎて、よしながさんより山口さんが目立っているのも、ちょっとセンス悪い。でも、メロディ誌のこの力の入れようは尋常じゃない感じで、そのへんはうれしいかも。
あ、有里さんだ。「男はロマンで女はリアル」というのは、どれをさしているのかちょっとわからない・・・・将軍吉宗の本領発揮はこれからでしょうから、次の回を楽しみにしています。私はこの作品が「やおい」になるのかどうかまだ判断がつきかねてます。最終的に彼女が何を目指しているのか、それはこれからかな。今のところ、常識をひっくり返してくれてるだけで、すごく満足。
>「男はロマンで女はリアル」
うーん,もっと的確な言い方はないかな。
男性のほうは「こんないい男現実にはいねーよ」という方向に(微妙に)美化されていて、女性のほうは「ああ確かにこういう人いるわ」という感じなの。
女性のほうがリアルな分、欠点も見えてしまって、魅力的ではなくなるというような意味。
女性が悪役/困った人の役を振られることの多い「やおい」/BLが多いように思えるなかで、よしながふみ作品はかなり魅力的な女性を描いていると思うんだけど、それでもやっぱり華がないんだよね、男性陣に比べると。でもそれは「やおい」というジャンルの構造(というかお約束)からくるものかもしれない。
『大奥』は「やおい」ではなく「パラレルワールド物」だから、そんなお約束に縛られる必要は無いし、「現実」に制約を受ける必要もない。
だから、「将軍吉宗」をどんな風に描くのか、お手並み拝見というところ。
うー、うまく文がつながりませんが。
有里さんの読まれたよしなが作品って『愛すべき娘たち』と『こどもの体温』の他にありましたっけ?日記内検索でヒットしたのは、このふたつだったんだけれど。やおい作品の方にこそ、彼女の本領があると思うんですが、それに出てくる男達は美化はされているけれど、一言では片付けられないいろいろなものを持っていると思います。でもまあ、彼女の描く女の人は現実的というのは確か。でも魅力的な脇キャラが多いですよ。名前うろおぼえだけれど、なるちゃん、だっけ。弁護士志望の。あと、AVに出ていた法学部の女友達とか。西洋骨董の小説家とか。私(とくーみんさん)は、おそらく他の人よりもよしなが作品にはまっているので、普通の基準で捉えることはしなくなってるかもしれませんが。
ジェラールとジャックも、魅力的な女性がたくさんでおすすめです。
ジェラールがやとっている料理人の女性のつくる料理とお菓子は絶品だし
ジェラールの最初の奥さんは、すごい強烈に貴族の女だった。
ジャックの実母もある意味!!だし。
BLであそこまで、強烈に女が描かれるとはおもわなかった。
あの作品を書かせたBBGはフトッ腹。
常識とか、いままでのパターンを裏切って再構築するアイデアがよしながさんだと思う。
あれはベルばらの世界を違う視点で見た世界だもの。
BLと同人誌でたっぷり私たちを楽しませてくれたよしながさんが、一般誌に打って出たのが『愛すべき娘たち』あれを読んで、最初は割りとオーソドックスに攻めていくんだな、と思ったんですが、『大奥』は全開って感じでわくわくする。『フラワー・オブ・ライフ』は、少女マンガ的なものを全部取り込んで、馬鹿にしたりせず、楽しんで、その上で引っくり返して見せている、これもまた再構築の試みですね。
よしながふみは、ビブロス以外の商業作品は全部読んでます。(ビブロスのは濡場で引いた)
だから読んでるのは半分強ですね。
私が読んだよしなが作品で一番好きな女性は、女性の板前さん。(『月とサンダル2』?)
ゲイと聞いたとたんに「セクハラのない職場だ」って思うのって、ああリアルだなと。
西洋骨董の小説家が魅力的かというと、ワタクシ的にはちょっと微妙ですが。
ああ、失礼しました。「本日の・・・」で触れられたことがないようなので、勘違いを。ビブロスはだめですか。『ジェラールとジャック』は面白いです。シノワのシリーズも。苦手な人におすすめできないのが残念ですが。
吉宗は、質実を旨とするすっぴんの顔みたいな描き方をしているように思いました。だから今後に期待かな。
>ビブロスのは濡場で引いた
「ジェラールとジャック」白泉社文庫は、一応修正入っていますから、おすすめです。(笑)読めたら、是非、黒いBBG版コミックもご覧ください。ジェラールとジャックは、波瀾万丈の純愛の物語であり、濡れ場の描写としては、よしながさんが、同人誌(スラムダンクの三井×小暮)で実験し、確立した、左利きの漫画家のための濡れ場の構図(絵)の集大成です。BLを描いていく過程で、よしながさんにとって大きな問題は、右利きの漫画家と同じ構図では勝負できないっということでした。決めコマは、どうしても、右向きの顔になってしまいます。つまり、右利きの漫画家と同じ、体の向きだと、顔の向きが逆になってしまうんです。体と体の向きをどう組み合わせて、見せたら、うまくいくかっていうのを考えると、ジェラールとジャックの濡れ場の構図というのは、うまく考えてあって、同じパターンにならないようになっています。裸の線も、多分、作品の中で、一番旬というか、私にとってはイチ押し。あと、ジェラールの裸(腰とお尻)に漫画の中の時間の流れを感じるんです。
>SOKEさん長いコメントですいません
長くても全然かまわないんですが、くーみんさんがおっしゃる左利きの構図というのは、何度か聞いてるのに、実はよくわかっていない私。気がつかないくらいさりげなく描いてあるってことかしら。よしながさんって左利きなんですか、と今さら言ってたりして。左利きの人には左利きの絵の人がわかるのかな?そういえば右利きだと左向きの顔を描くほうが楽かな。