ジブリが出している『熱風』というPR誌がある。羽海野チカさんのイノセンスに関するマンガが載ったときに、年間購読を申し込んだので、毎月送られてくるのをぱらぱらと読んでいる。これは驚くほどジブリの作品については載っていないPR誌で、ジブリの中心になっているおじさん達が自分達の趣味に関することを友人達を動員して書かせているような、そんな雑誌なのだ。12月号の特集は『テレビCMのいまを考える』というテーマで、表題のような糸井さんの談話が載っていた。
「広告」の仕事を長くやってきた糸井さんはこのごろは、広告の仕事はあまりしていないと言う。ジブリの広告くらいしかやっていない。そのかわりに「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営がメインの仕事になっているという。かつては広告主と消費者の間にたって、もののやりとりがコミュニケーションだというような提案をしてきたが、バブル崩壊後は、価格破壊をうたうか、一瞬当てたら成功というような仕事がふえてきた。なかなか景気が回復しない中で、広告の仕事をする人たちは「仕事であれば嘘もつけますよ」と職人に徹する仕事をする人も増えてきた。しかし、広告主自身に迷いが見られる時代に、自分が信じられない内容を広告することにどんな意味があるのか、と糸井さんは考えるようになった。
そんななかで1998年に『ほぼ日刊イトイ新聞』を始めた。個人ではさばききれないほどの情報を整理してセレクトして紹介していく。そうするうちに、読者側からの情報提供という形で、HPはさらに充実していった。その中で商品開発をし販売し購入者からの感想をフィードバックしてさらに商品を完成させていく。よいものを作ればものは売れる。そういうシステムをもって、糸井さんはいずれはテレビの広告主になって「ほぼ日」を宣伝したいと思っている。そういう広告を見て人が集まればほぼ日は倍の力をもったメディアになれるはず。いつかはそういうことをやるべき時がくると思う。
ざっとまとめると、そんなことが書いてあった。私はほぼ日はアンテナで今日のダーリンだけを読んでいる。興味がある記事のときはバックナンバーをさかのぼって読む。『イノセンス』のイベントだけには、一度のってしまった。私は糸井さんがあんまり好きではなかった。「機を見るに敏」な人だと思っていたのだ。ほぼ日に載る記事には興味深いものがたくさんある。それでも全面的にファン、とか応援する、とか好き、というふうにはなりたくないような気がする。お友達のように語っていても、どこか油断できないような気がする。糸井さんという個人と、糸井さんという商売人の境界が読めないせいかもしれない。それなのに、橋本治とか井上陽水とか引っ張り出してきたりするので、困る。一度、糸井さんは陽水との対談の中で、自分達の活動のバックアップをしてくれないか?というようなことを言ったことがある。途端に陽水は逃げた。笑ってしまった。メディアの中で糸井さんがどんな活動をしていくのか、遠巻きに見ていたいとは思うけれど・・・
投稿者 SOKE : 2004年12月18日 14:12