■ 2004年10月22日 ■ 『招かれざる十六人の客が来た日』

『バッコスの民』のすぐあとに続く話。圭視点の外伝。これが未だに文庫に収録されていないのは不思議。内容的にもいろんな話に切りをつけている重要な短編なのに。思うに、二人のカミングアウトが、本編になじまないと判断されたんじゃないだろうか。でも、この短編の中のいろんなエピソードが本編に反映しているところもあったりするので、どうだろう。詳しい内容についてはネタバレなので、下に書きます。

(文庫本未収録。小説JUNE2001年五月号(通巻131号)掲載)

イタリアから一時帰国してフジミの定期演奏会で悠季がチャイコフスキーの協奏曲を弾いた翌日の話。朝早くチャイムが鳴るので、圭が玄関に出たところ、そこにいたのは五十嵐君が連れてきた16人の女子大生たち。門前払いをしようと圭が身構えた途端、寝坊して起きてきた悠季がみんなを家にいれてしまう。せっかくのオフなのに。次の日にはイタリアに帰るのに。憮然とする圭の前で、話はどんどんとんでもない方向へ転がっていく・・・圭は悠季の本来の姿が彼の音楽に現れることを、最初は勧めておきながら、実際実現しそうになると、積極的になれない。それは自分の独占欲であることに気がつく。女子大生達の前でもその気持ちが現れてしまい、ついに悠季は彼女達に自分達のことを言ってしまうはめになってしまいました。
その他、玉城医師のところで診察を受けたところ、頚椎のトラブルは40代くらいまでは大丈夫。ということで、このことは棚上げになったようです。悠季の提案で、圭の指揮者コンクール入賞の報告に、桐院家を訪問するふたり。両親と祖父と圭と悠季がぎこちないながらも、夕食のテーブルを囲んだ席で、圭は自分のこだわりが一枚づつはがれていくのを感じるのでした。陽気に笑う圭を見て、祖父は「のろけにきたんだな」と苦笑していました。ハツは老人施設に入所したことになっています。そしてこの慌しい一日の間に、例の写真の現像と引き伸ばしまで手配している圭でした。

親しくもない女の子達にカミングアウトして、古いフジミの人たちに内緒だなんて、無理があるでしょう。という話でした。圭視点になるとどうも話が甘くなるのは何故だ。短編としては出来はいまいちだけれど、でも読めてうれしかったです。

投稿者 SOKE : 2004年10月22日 16:03
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