(『水にたゆたふ乙女』の内容に触れています。)
『英国妖異譚』を最初から順番に読み返してみて、どうしてこんなに気になるのかやっとわかりました。これを書いている人は、24年組の漫画を読みふけって、彼女達の作品を食べて育って、それを形にしているので、同じような本を読んできた私の心にひっかかるようです。最初に読んだ時からなんとなくそんな気がしていたけれど、再読してから『水にたゆたふ乙女』を読むと、それがはっきりとわかりました。竹宮さんや山岸さんの影響もあるけれど、やっぱり萩尾さんの作品の影響が一番強いみたい。
『水にたゆたふ乙女』は、主人公たちの親の世代から話が始まります。仲の良いふたりの少女がいて、一人が水の事故で死んでしまう。このふたりは、学園祭で『ハムレット』を演じることになっていたので、それ以来、『ハムレット』をやろうとするとオフィーリア役の女の子が水の事故にあうようになり、「オフィーリアの呪詛」という伝説になりました。主人公のユウリは「オフィーリアの呪詛」を解こうとするのですが・・・
ふたりの少女のうちのひとりは、お互いの友情をそのままの形で永遠にとどめておきたいと願っていました。水に落ちた少女は、友情から進んで恋人になりたいと思っていました。ふたりの思惑が交錯し、(柳の木の呪術的な力もあって)少女の死によって、ふたりの願いはかなえられ、生き残った少女の心の中には変わらない友人の姿が残り、死んでしまった少女は自らの死によって、友人の心に永遠に残ることになりました。
これって、形を変えた『トーマの心臓』みたいじゃありません?そして、この話がそれにとどまらないのは、このエピソードに主人公のユウリとシモンの関係を重ねているところで、BL的要素を撒き散らしながらも、ぎりぎり友情の範囲でこれまで話をすすめてきているわけですが、もしかしたらその先へ行くつもりなのかしら?という感じが見え隠れしています。いったいその先には何があるんでしょう。
シモンとユウリの話がどういうふうに進むのか、先のことはわかりませんが、 『水にたゆたふ乙女』で作者は少女達のエピソードによって、時間を止めることも関係を変化させることも、両方とも可能性としては否定したのではないかと思います。そうしたら、三番目の道は何なんだろう。外見とはうらはらに処世に長けたシモンが、ユウリを抱えたまま、世間に出て行くのか?(大人になることができるのか?)そういう話が読めたらとってもおもしろいと思うんだけれど。
作者には「オフィーリアの呪詛」ならぬ「トーマの心臓の呪詛」がついているのかも。「グレンスミスの24ページの呪い」と同じように。そんなふうに第二世代の作品が世にたくさん出てくるようになったんですね。
追記:しかし、この作者は第一作発表の2001年当時30歳と書いてありました。とすると、リアルタイムの読者ではないわけで、後から読んだのかな?
投稿者 SOKE : 2004年08月11日 16:15リアルタイムにある程度育った読者だったら〜ユウリとシモンという名前はそのもの過ぎてあまりに掟やぶりというか、恥ずかしくて使えないんじゃないかと‥
子供の頃にうっすら知っているぐらいだと、誰もが知っている共有財産として入ってるから、後から詳しく知ったとしてもどうしてもこれがインプリンティングされていてぴったりに感じる‥のじゃないかと思われます(^^;
このシリーズ、一冊目をだいぶ前に読んだことがありますよ〜。
ユウリはわかるんですが、シモンって、なんかありましたっけ。私も基本図書の抜けがたくさんありそうです・・・まるマの主人公もユーリ(渋谷有利)って言うんですよ。これってどう考えてもユリスモール?
リアルタイムでない方が、かえって自由に人を動かせるのかもしれないですね。このところ読んできた本は、みんなネーミングで「うっ」とか思ったんだけれど、もうすっかり慣れてスルーの方向で(笑)
シモンといえば大島さんの「ジョカへ…」のソランジュの元の名前。 「至上の天使(ソランジュ)」の方が強烈だったけど。
「男性失格」もシモンだった。
今ちょっと本が箱の中で出てこないんですか(汗)、山岸さんの「白い部屋の二人」の主人公の一人がシモンだかシモーヌだったような…。
間違ってたらごめんなさい。
でもこの作品は絶版になって長いから、その年齢の読者だと読んでないかな。
(実家から)あ、それなら読みましたよ。ジョカへのシモンか〜『白い部屋の2人』は女の子だったからシモーヌかしら。
ピンポ〜ン、おクチ様なら当然ですわね(^^)
SOKEさん、
シモンはまあ珍しい名前ではないので、一人ならどうってことはないんです。私の同級生に洗礼名シモンていう男の子もいたし(赤ちゃんの時に親がさせたので本人はそういう雰囲気なし)
アシュレイだって強烈な名前なんだけど〜まあユーリの特異性に比べれば字やキャラが違うからといっても‥‥私の世代じゃ使えないです(^^;
わ〜、Yusaさん、「白い部屋の二人」の名前は忘れてました。な、懐かし〜(^^)
『ジョカへ』はフラワーコミックスで出たときに読んだんですが(確かポーのあとくらいに出たのでは)、もしかしてリアルタイムで読むと、すごく印象深い作品でしたか?私の大島さん体験って、少しずれてるかも。つぐみの森はリアルタイムなんですけれどねー